ART FUN FAN Vol.15 21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」
ART FUN FANでは、広告・マーケティング・クリエイティブ業界で働く皆さまにアートの情報をお届けします。おすすめの企画展をピックアップして、美術を専門とするライターが独自の切り口で解説。「アートってなんだかよくわからない。」方から「興味があるからもっと知りたい!」方まで、誰でも楽しめるアートの魅力に触れていきましょう!
コラム第15回は、東京都・六本木の21_21 DESIGN SIGHTを訪問。現在開催中の企画展「デザインの先生」は、6名の偉大な先生たちに出会いながら、社会や暮らしに根ざすデザインとは何か?デザイナーとはどうあるべきか?を学ぶ、発見に満ちた展覧会です。
書き手は文筆家・アートライターのさつま瑠璃。デザイン初心者の目線で今回感じたことをレポートします。先生、単位くださいね!
コラム第15回は、東京都・六本木の21_21 DESIGN SIGHTを訪問。現在開催中の企画展「デザインの先生」は、6名の偉大な先生たちに出会いながら、社会や暮らしに根ざすデザインとは何か?デザイナーとはどうあるべきか?を学ぶ、発見に満ちた展覧会です。
書き手は文筆家・アートライターのさつま瑠璃。デザイン初心者の目線で今回感じたことをレポートします。先生、単位くださいね!
十五度めまして! さつまです!

21_21 DESIGN SIGHTの吹き抜け、ワクワクします!
21_21 DESIGN SIGHTさんといえば、広告・マーケティング・クリエイティブ業界で働く皆さんの中には、行ったことがある人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。「デザインを通じて日常を考え、提案を行う展示施設」と表現されているこの場所では、さまざまなインスピレーションが湧き起こる魅力的な企画を発信しています。
3月8日(日)まで開催中の企画展「デザインの先生」は、デザイン教育の現場や自身の制作を通じて時代の先を探り、社会に新たな局面をもたらした人物たちを「デザインの先生」として紹介する展覧会です。若い世代のデザイナーにも、そんな先駆者たちの功績や思想に現物を通して触れてもらい、次なるクリエイションへのヒントを得てほしいという願いが込められています。それでは行ってみましょう、出席!

21_21 DESIGN SIGHTは六本木駅・乃木坂駅より徒歩5分の東京ミッドタウンにあります
ようこそ!私たちが、デザインを教えましょう
まずは展示室の入り口、6名分のバナーが来場者を迎えます。
左右に3名ずつの巨大バナーは圧巻!

それぞれが語った力強いメッセージを伝える、縦の垂れ幕にもご注目
現代も、社会が大きく動いているという点では、先生たちの時代に重なる部分があるかもしれません。先人たちの取り組みから何を感じ取れるか、というのが本展の見どころの一つです。
激動の時代にデザインで向き合った、6名の先生
展示室へ進んでいくと、最初に現れるのはミニチュアの椅子。これはエンツォ・マーリが手がけたプロジェクトの展示です。このプロジェクトでマーリは椅子の図面を公開し、「誰でもこの図面を使って、自分の手でつくってみなさい」と呼びかけました。自分でつくる、つまり手を動かし自分で考えることに意義があると訴えたのです。
図面を公開するのは当時では斬新なことで、賛否両論が巻き起こったとか

ブースのように6つに区切られている空間は、さながら各先生のクラスルーム!
日本でも有名なムナーリの絵本は、絵柄が描かれたページを並べたり、順番を入れ替えたりすることで、子どもが自分でストーリーを考えられる仕組みになっています。

感性を育てる絵本、小さい子どもにプレゼントとして贈りたくなる

「旅行のための彫刻」
照明をはじめ、インテリア用品を手がけたカスティリオーニ。よく見てみると、意外な素材が使われていることに驚きます。自動車のヘッドライト、釣竿のパーツ、イーゼルの脚にバネ……こうした既製品の組み合わせから新しいものをつくり出したのが、カスティリオーニの面白いところです。

バネの部分で煙草の灰を落としやすい灰皿

例えば、電話がかかってきたときに少し腰掛けられるようなラフさが良い
エンツォ・マーリ(イタリア生まれ、1932–2020年)
先ほど見たミニチュア椅子の実寸大がここに。今回は多摩美術大学の学生が、図面のとおりに製作しました。図面には寸法などが書いてあるものの、詳しい組み立て方は載っておらず、頭を使いながらつくる必要があったそうです。

「自分で手を動かし、考えなさい」というメッセージを改めて考えさせられます。
その根底にある熱意を感じられる作品の一つが、こちらの磁器のシリーズ。「タタラ」と「紐」という技法に基づく、紐状のパーツと平らな面を組み合わせたお皿です。

マーリは、「この技法を応用してデザインの種類をもっと広げてほしい」と職人たちに伝えていました
1972年のミュンヘンオリンピックのデザインを担当したオトル・アイヒャーは、グラフィックを多く手がけていました。本展でもポスターなど、平面のデザインを中心に紹介しています。

90年代前後の作品とは思えないくらい古さを感じず、洗練されていてかっこいい

マスコットキャラクター(?)の犬が何ともいえずかわいい
マックス・ビル(スイス生まれ、1908–1994年)
ビルを一言で表すなら、超多才。建築家でもあり、グラフィック作品や彫刻作品、家具などのプロダクトも手がけたデザイナーです。
数ある作品の中では、まずこのスツールにご注目。持ち上げるとコの字の面に物を置いて持ち運べる、という発想が面白く、さまざまな用途に転用できる設計です。奥の丸テーブルにはスリットが入っていて、折りたたむことで四角いテーブルに変わります。

今日は丸の気分?四角の気分?なんて選べるのは楽しそう

ビルの試行錯誤の形跡が見えるような、複数のパターン
ディーター・ラムス(ドイツ生まれ、1932年–)
長くドイツのブラウン社でデザイン部門の責任者を務めていたラムス。彼の作品には個人のコレクターも多く、今も高い人気を誇るのだそうです。

温かみのある木の素材や、白よりもグレーを基調とした色彩は現代の感覚にも合う

背面も見えるように展示したのが今回のこだわり
「もし好奇心がなければ、おやめなさい。」先生の格言を刻んで
最後は先生の一人、カスティリオーニの格言を心に刻みました。これは大学で講義を行っていたとき、「良いデザイナーになるためにどうしたらいいですか?」と学生から質問を受けた際の回答です。デザイナーはもちろん、あらゆる仕事や社会活動をする私たちにとって、深い学びとなる言葉たちが出口までを飾ります。
「もし好奇心がなければ、おやめなさい。」
おわりに
デザインの先生たちの授業、アートライターの私にも刺激や発見の多いものでした。これを見て若いデザイナーたちが学び、成長していくことが、今回の展覧会に込められた願いだといいます。広報担当の横川さんは、「開催にあたり、先生たちと実際に接していた方々にもたくさんご協力いただいたことで、一次情報としてお伝えできる内容がたくさんあります。今この展覧会を開催する意義の一つは、そこにあると思っています」と伝えてくれました。皆さんも、この先生たちに会いに行ってみませんか?
[イベント情報]
会期:2025年11月21日(金)~2026年3月8日(日)
開館時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2








