トランスコスモスのAI研究所である「Communication Science Lab(コミュニケーションサイエンスラボ)」は、「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2019」を発表した。 今年で4回目となる同調査では、経年で実施している通常の調査結果の解説に加え、消費者をファンに育成するためのプロセスを独自に模式図化した「優良顧客育成地図」をスペシャルコンテンツとして特設サイトに公開している。
「優良顧客育成地図」は、過去の調査結果と継続性を保ちつつ、新たなテーマとして、消費者が企業・商品を認知し、比較検討の結果、購入を決定し、リピーターやファンになり、クチコミを拡散するまでのプロセスを、独自の視点を加えつつ数値で可視化したもの。主な内容としては以下の3点が挙げられる。

1.消費者が興味・関心ごとを情報収集する際の情報源として、ネットの利用率(82%)はテレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4マスの利用率(77%)よりも高く、家族・知人(44%)やSNS(41%)などクチコミの影響力も大きい。また、消費者の72%が新たな商品の購入に先立ち、店舗やWebを使って知らない商品の情報も積極的に収集・検索する。

2.消費者の84%は、商品選びの比較・検討時に誰かに相談する。その方法としてSNS(60%)や知人(56%)を頼る人が多く、「自分にあったアドバイス」「公正な選定基準」「アフターサポートの情報」を重視する。また、消費者が最終的に購入を決定する際には、品質や価格だけではなく、クチコミ(35%)や企業とのコミュニケーション体験(33%)も決め手になる。

3.消費者の56%が、接客やサポート等のコミュニケーション体験がきっかけで特定の企業・ブランドのファンになる。そのようなファンの好意的な評価がクチコミの形で広まると、他の消費者の購買行動にも良い影響を及ぼす。逆に、不満を持った消費者が広めた悪評は、他の消費者が比較・検討時にその商品を購入候補から除外する原因となる。

トランスコスモスのCommunication Science Lab所長の北出大蔵氏は、「今年度の調査で発表した『優良顧客育成地図』の作成は、我々にとって挑戦的なテーマだった。この取り組みのねらいは、現在の日本の消費行動をモデル化し、消費者と企業のコミュニケーションの価値や良質な顧客体験が生み出すクチコミ波及効果を明らかにすることにある。デジタル時代の消費者理解とコミュニケーション戦略やカスタマーケアの施策立案の参考として同調査を活用してもらいたい」と語っている。