ジェイアール東日本企画(jeki)は、2019年5月15~29日の期間中、生活者の消費行動の実態を把握するため、全国の16~59歳の男女を対象にインターネット調査「移動と買い物調査 2019」を実施。その結果、3件に1件の買い物が衝動的な動機にもとづくことが判明した。

同社が収集した特定の2週間の買い物レコード(計5184件)のうち、33.3%が「店舗を見た瞬間」もしくは「前の場所を出た後の移動中」に決めたもので占められていた。jekiはそうした「移動中に突如生まれる衝動的な消費」を衝動消費、略して「衝費(しょうひ)」と命名している。
また、買い物全体に占める「衝費」の比率(=「衝費率」)を年代別で比較すると、若年層ほど衝費率は高い傾向が見られた。
さらに、「衝費率」を店舗への来店交通手段別に比較してみると、電車やバスのスコアが4割超と極めて高いことが判明。同社は、「これは運転を第三者に委ねられ、移動時間を自由に使うことのできる公共交通ならではの特徴と考えられるが、自家用車においても今後自動運転が普及していくことで、公共交通と同様に『衝費』が生まれやすくなっていく可能性はあるだろう」と指摘している。
最後に、チャネル別では、コンビニエンスストア、自動販売機、飲食店、デパートの「衝費率」が4割を超え、これらのチャネルの利用、さらにはそこで販売される商品のかなりの部分が「衝費」によるものであると考えられる。

同社は、「ネットショッピングが浸透し計画購買がそこへシフトしていく中で、リアルな店舗は移動する生活者に積極的に働きかけ、『衝費』をいかにすくいあげるかが経営戦略上、重要になってくるだろう」と述べる。
同社は「5GやMaaS、自動運転といったモビリティ領域のイノベーションに注目が集まる中、『日常の移動時間』が格好のマーケティング機会へと変容していくものと考えられる。特に若年層の『衝費率』の高さは示唆的だ。彼らは、インターネットを巧みに活用し、興味を持った商品・サービスを手元のスマホで瞬時に調べてネット上で購入する賢さがある一方、偶然出会ったモノやコトを運命的に感じ、即時に『衝費』へ向かうという二面性を持ち合わせているようだ。これらは新しい時代の消費スタイルの萌芽と捉えられるかもしれない」と総括した。