全日本広告連盟は、第14回 全広連鈴木三郎助地域キャンペーン大賞に『#ThankYouFromKAMAISHI』を実施した同・実行委員会(事務局:岩手日報社)が、同・選考委員会特別賞に、『防災・減災キャンペーン』を実施した福島民報社が選出されたと発表した。

また、同・地域クリエイティブ大賞 最優秀賞に中京テレビ『BREAST CANCER CHECK!』(ポスター)、優秀賞には九州旅客鉄道『熊本フォーリンラブ』(テレビCM)が選出されている。

鈴木三郎助地域キャンペーン大賞

『#ThankYouFromKAMAISHI』(同・実行委員会)
2019年のラグビーワールドカップにおいて、東日本大震災被災地から唯一の開催地となった岩手県釜石市から世界に向けてこれまでの支援への感謝を伝えようと企画されたもの。官民あわせ19団体による実行委員会で、「すべての人に、ありがとう」を合言葉にイベント・OOH・新聞・テレビ・Web・SNS など多面的な活動を行った。

同年に全線開通した三陸鉄道リアス線のラッピング車両制作、試合会場である釜石鵜住居復興スタジアムに三陸特産のホタテ貝によるモザイクアート「ありがとう貝画」の設置、感謝を伝える歌「ありがとうの手紙#ThankYouFromKAMAISHI」の制作などが行われた。歌はその後、行政による各種行事や映像にも使用されている。

ラグビーワールドカップというチャンスを活かし、支援への感謝を伝えるというコンセプトをもとに、子供から大人まで多くの市民を巻き込んだ幅広いメディアでのコミュニケーションが高く評価された。

鈴木三郎助地域キャンペーン大賞 選考委員会特別賞

「防災・減災キャンペーン」(福島民報社)
東日本大震災がもしも夜に発生していたら……。日中に行われることが多い避難訓練だが、夜間在宅中に地震が発生した場合の避難行動について啓発と備えを呼びかけるキャンペーンを新聞・ラジオ・Webで展開した。

災害時に強みを発揮するラジオの特性を活かし、電気を消した暗闇の状況下でラジオの音を聴きながら、布団の中から玄関まで避難する訓練プログラムを、地域防災支援協会監修のもと、福島民報社とラジオ福島が、共同で開発。ラジオ福島の番組と提携して『夜の避難訓練』をオンエア、大学生が避難訓練した様子を採録紙面で紹介した。また、一連のキャンペーン期間中に台風19号で甚大な被害がもたらされたため、「いのちを守るために~住民の声から~」シリーズを追加展開している。

「夜間の避難」という福島のみならず日本全国に共通する課題を捉えた着眼点と、災害に強いメディアであるラジオの特徴を生かしたキャンペーン設計で、人を動かし社会に貢献する取り組みである点が高く評価された。

鈴木三郎助地域クリエイティブ大賞 最優秀賞

「BREAST CANCER CHECK!」(中京テレビ)
中京テレビのアナウンサーが乳がんに罹患したことをきっかけに、乳がんで悲しむ人を少しでも減らすべくキャンペーンを企画した。従来は乳房を使った説明が一般的で、女性が抵抗感を感じやすかったという課題に対し、セルフチェックの指の動きそのものをマーク化することで、認知がアクションにつながりやすい仕組みを構築した。

乳がんの啓発は社会的に重要な課題でありながら、ダイレクトには表現しにくく、またなかなか自分事化しづらい。ポスターを見た人が思わず試したくなる、行動を促すチェック動作の開発とシンボル開発を目指し、親しみやすさと洗練を両立させた高いデザイン性を実現して表現にまで着地させた点が、評価された。

鈴木三郎助地域クリエイティブ大賞 優秀賞

「熊本フォーリンラブ」(九州旅客鉄道)
熊本地震から4年目を迎え、復興応援ではなく明るい気分で旅を楽しむ雰囲気をつくるため、JR九州の人気の観光列車を舞台にしたドラマ仕立てのテレビCM・Webムービーを制作した。

熊本の人気キャラクター「くまモン」を主役に起用したトレンディドラマならぬトレインディドラマとして、思わず続きが見たくなるストーリーの面白さと、熊本の魅力を伝えるという目的の両立を実現。

シリーズ累計で100万PVを獲得、同社のキャンペーンツイッターアカウント史上最高のフォロワー数となるなど、高い広告効果を実現した点も評価された。


両賞とも全日本広告連盟理事会で承認を得て正式決定される。

贈賞は、5月21日の第68回全日本広告連盟ふくしま大会式典(新型コロナウイルスの影響によりインターネット中継形式で開催)にて行われる予定だ。