富山県朝日町、スズキ、博報堂は、先に締結した「地域の移動課題解決に向けた連携に関する協定書」に基づき、富山県朝日町にて地域住民の移動サポートに関するMaaS実証実験を開始する。
この実験は、朝日町の住民の移動課題の解決を目指すとともに、国土交通省の「自家用有償旅客運送」制度に即し、自家用車を活用したMaaSソリューションの開発、実用化の推進を目的としている。朝日町が提供する公共交通サービス「ノッカルあさひまち」として、スズキの軽自動車および博報堂が開発中の自家用車を活用したMaaSシステムを使用する。

ノッカルあさひまちは、各地区と中心街を行き来するドライバーの車に、移動したい乗客が「乗っかる」仕組み。開発中のMaaSシステムを使用し、朝日町が認定した町内各地域のドライバーとユーザーをマッチング。認定ドライバーは助け合いの精神のもと、自家用車を活用し、自分の予定に合わせて、近所の利用者を目的地まで送迎する。利用者は、ドライバーの予定を見て事前に予約し、ドライバーの車で目的地まで移動できる。
朝日町は、高齢に伴う運転免許返納者の増加などにより、住民の公共交通サービスへの需要が高まっている。バス・タクシーなどの公共交通に加え、将来にわたり持続可能な規模で行う住民同士の送迎という新たな移動手段を提供することで、地域コミュニティの再興を図る。将来的には、地方への移住・多拠点居住の動きのなかで、町に居住するうえでの移動課題を解決し、関係人口の創出につながるような公共交通サービスを目指す。

博報堂は、日本版MaaSのあるべき姿の一つとして、地域の自治体や住民とともに考える「地域交通全体の次世代化」が、地域の移動課題解決に不可欠と考えている。今回の取り組みにおいても、地域の生活者や交通事業者とともに、交通課題解決につながるサービスやシステムの開発を推進していく。

実証実験期間中、まずは、スズキの軽自動車を町の職員が運転し地域住民を送迎する形で「ノッカルあさひまち」のサービスを開始。その後、自家用車を保有する地域住民からドライバーを募り、同じ町内の住民を送迎する形へサービスを移行していく。2020年8月から2021年3月までの実施を予定しており、有償サービスへの移行も検討している。