商品のデザインや機能性と、社会問題を解決する社会性を兼ね備えた商品・サービスを称える「ソーシャルプロダクツ・アワード」(ソーシャルプロダクツ普及推進協会主催)の結果が2月12日に発表された。障害を持つ人が描く文字や絵柄をフォントとした「シブヤフォント」(渋谷区、桑沢デザイン研究所ほか)、コルク栓を回収し再資源化する「TOKYO CORK PROJECT」(GOOD DEAL COMPANY)が大賞を受賞した。

8回目となる今回は、年度テーマとして「障害者の生きがいや働きがいにつながる商品・サービス」、自由テーマとして「持続可能な社会づくりに参加できる商品・サービス」について募集。有識者で構成される審査員と、一般公募による生活者審査員による審査を経て各賞が決定し、同日に授賞式が開催された。

年度テーマの大賞となった「シブヤフォント」は、渋谷区、桑沢デザイン研究所、フクフクプラス、渋谷区内の障がい者支援事業所が連携し制作された。障害のある人が描いた文字や絵柄をもとに、渋谷でデザインを学ぶが学生らがフォントやパターンデザインを制作したもの。著作者として90人以上が参加している。土産物などで採用されることを想定したデザインとし、渋谷スクランブルスクエアなど区内でシブヤフォントを使った雑貨やグッズが販売中だ。
渋谷区公認のパブリックデータとして公開しており、フォントのダウンロードは無料。パターンは有料(ワンコイン)となる。区民や企業の採用が広がっており、渋谷区役所庁舎や「LINE CUBE SHIBUYA」(旧渋谷公会堂)、アディダスの店舗の内装やGoogleのフォントとしても採用された。昨年度には2000万以上の売上実績があり、売上の一部は、区内の障がい者支援事業所に還元される仕組み。ダイバーシティ&インクルージョンへの対応とともに、“産官学福”のつながりを生み出した。

自由テーマの大賞はGOOD DEAL COMPANY(東京・江東区)による「TOKYO CORK PROJECT」。飲食店を中心にワインなどのコルク栓を回収、再資源化する取り組みだ。2010年に開始し、積み木やスツールなどの生活雑貨やインテリアを生み出しているほか、美術館の館内什器やホテルの装飾、企業とのコラボレーションなども実現している。再生コルクとその他の廃棄物などを組み合わせた新たなコンセプトブランド「anela」も立ち上げた。
飲食店でコルクが大量に捨てられることからプロジェクトを始め、リサイクル工程や商品製作では障害者施設と協力し就労支援にもつなげている。同社代表の北村真吾氏が10年かけて回収や加工の仕組みをつくり上げ、これまで約400万本、25トンのコルク栓を回収した。今後もプロジェクト参加者などを募る。

このほかの主な入賞作は以下のとおり。

■年度テーマ
〇優秀賞
ココ・ファーム・ワイナリー「陽はまた昇る」

〇生活者審査員賞
バターのいとこ「バターのいとこ」

■自由テーマ
〇優秀賞
ローカルフードサイクリング「LFCコンポスト」

〇生活者審査員賞
宮本製作所「洗たくマグちゃん」

〇審査員特別賞
縁の木「KURAMAE +Coffeeプロジェクト」
住友生命保険「健康増進型保険“住友生命『Vitality』”」