2020年の総広告費は6兆1,594億円、リーマンショック以来の下げ幅

電通が、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2020年 日本の広告費」を発表した。

2020年の総広告費は6兆1,594億円で、前年比の88.8%となった。3月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による各種イベントや広告販促キャンペーンの延期・中止により、4~6月期を中心に大幅に減少した。7月以降は徐々に回復の兆しを見せ、10~12月期には前年並みに回復しつつあったものの、通年では東日本大震災のあった2011年以来、9年ぶりのマイナス成長。リーマンショックの影響を受けた2009年(前年比88.5%)に次ぐ下げ幅となった。

日本の総広告費の推移

インターネット広告費はマス4媒体に匹敵する2兆2,290億円

日本の広告費は、「マスコミ四媒体広告費」、「インターネット広告費」、「プロモーションメディア広告費」と大きく3分類されている。この媒体別に見ると、唯一プラス成長を続けるのはインターネット広告費。1996年の推定開始以来、一貫して成長を続けており、マスコミ四媒体広告費の2兆2,536億円(前年比86.4%)に匹敵する2兆2,290億円(前年比105.9%)となった。

媒体別広告費<2018年~2020年>

インターネット広告費も4~6月期は新型コロナの影響を受けている。しかし、デリバリーやネット通販、オンライン会議やオンラインイベント・セミナー、リモートワーク、キャッシュレス決済など、社会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が一気に加速。それにともない、インターネット広告費が先行して回復し、通年でプラス成長となった。特に、Amazonや楽天市場などに掲載する「物販系ECプラットフォーム広告費」が1,321億円(前年比124.2%)の二桁成長となり、全体をさらに押し上げている。

一方で、プロモーションメディア広告費は、東京2020オリンピック・パラリンピックをはじめ各種イベント・展示会、従来型の広告販促キャンペーンの延期・中止にともない大幅に減少。それらに付随した広告展開を担うマスコミ四媒体広告費も大幅減となった。特に「イベント・展示・映像ほか」「折込」などが大幅に減少した。