“究極のチーズケーキ”づくりに舵を切った理由

開店わずか2カ月でミシュラン1つ星を獲得し、2018年に惜しまれつつクローズした東京・白金台のフレンチレストラン「TIRPSE(ティルプス)」でシェフを勤めていた田村さん。SNSなどを中心に“究極のチーズケーキ”と呼ばれ、話題を集めている「Mr.CHEESECAKE」を売り出したことでも知られています。現在は、シェフとして働きながらベンチャー企業を立ち上げ、“お店を持たない料理人兼デザイナー”として活動しています。

田村さんがチーズケーキづくりに舵を切ったきっかけは、フランス発の美食ガイド「ゴ・エ・ミヨ ジャポン2018」での「期待の若手シェフ賞」受賞でした。“変わった料理をつくる有名シェフ”の肩書きに違和感を覚え、自身の追求するべき料理を見直したと言います。チーズケーキを選んだ理由について、田村さんは「単純に、誰が食べても美味しくて、みんなが笑顔になる料理をつくりたくて。自分の大好きなチーズケーキにたどり着いた」と話します。

“店を持たないシェフ”への道は?

田村さんは、2006年に調理師専門学校を卒業後、日仏両国の多くの名立たるレストランでシェフをつとめ、現在のフリーランスの道に進みます。シェフでありながら“お店を持たない”という選択は、「めちゃめちゃ怖かった」と胸の内を明かします。「仕事がなくなりますからね。いつも足を運んでいたキッチンという場所に行かないし、最初の1~2カ月はつらかった」と当時を振り返ります。

それでも続けてきた理由を、将来、家庭をつくって子どもができたとき、業界の常識とされる働き方が、「自分の人生にとって本当に幸せなのか」と疑問に感じていたからと話します。「料理の仕事をしつつ、子どもとの時間も取れるような労働時間にしたかった。食の世界って、まだまだ広がりが少ないので」と語ります。

“美味しい”の先にあるもの

そんな田村さんは、2017年にシェフやマーケター、科学者を中心に“食の領域”の課題解決に取り組むスタートアップ企業「dot science(ドット サイエンス)株式会社」を設立しています。最近では、“木を食べる”というコンセプトのもと、間伐材(かんばつざい)を用いたパウンドケーキ「Eatree Cake(イートリー ケーキ)~木から生まれたケーキ~」を手がけました。

間伐材とは、森林の成長過程で、密集化する立木を“間引く”過程で発生する木材のこと。このパウンドケーキをつくった理由について、「日本の林業の衰退などで、間伐材が“育ちっぱなし”になっている。これを、うまく使って、(多くの栄養成分を含む食品である)スーパーフード的に食べることができるんじゃないかと考えた」と話します。

田村さんは、漁師町に生まれ育ったなど、以前からサステナブル(地球環境を保全しつつ、持続可能な産業や開発)について深く興味を持ち、活動を続けてきたとか。「食べることで世の中の課題に気づいたり、環境を守ることにつながったりする感覚・情報を知ってほしい。“美味しい”の先にあるものを見てもらうために、いろんな活動ができれば」と熱く語ります。

続けて、「理想は、みんなが家庭で料理すること」と言います。多忙な現代人はなかなか料理をする時間を確保することが難しい中で、田村さんが料理レシピ本を出版したり、SNS上で調理法を伝えたりするのはそのため。「料理に意識を持つことで、最終的には食材や生産者とつながってほしいと考えています」と語りました。

次回5月18日(土)の放送も、引き続き田村さんをゲストに迎えてお届けします。お楽しみに!

番組概要

番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mosonoizumi_TFM

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【パーソナリティ】
ハヤカワ五味
課題解決型アパレルブランドを運営する株式会社ウツワ代表取締役。1995年生まれ。大学入学後にランジェリーブランド《feast》、2017年にはワンピースの《ダブルチャカ》を立ち上げ、D2Cで販売する。「ファッションデザイナー」と「事業家」の2つの顔を持つ。
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