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ずっと思い続けていたBMSG の設立

今回ゲストに迎えたのは、ラッパー、シンガーソングライター、トラックメイカー、音楽プロデューサーと多才な顔を持つSKY-HIさん。2020年9月には、音楽レーベルやマネジメントを手がける会社、BMSGを設立し、自らが代表取締役CEOを務めています。

アーティストとして精力的に活動するなか、なぜ起業に至ったのか。ハヤカワさんがその理由を尋ねると、SKY-HIさんは「才能を殺さないために」とBMSGが掲げるスローガンを述べます。そして続けて、「日本の音楽業界は、20~30年前にCDバブルがきましたけど、そこから仕組みや契約の内容などが全然変わっていない」と指摘します。

音楽シーンを席巻するK-POPアーティストを引き合いに出し、「ほかの国で活躍しているアーティストに比べて、日本のアーティストは自由度が下がり、実入りが少ない。“活動すること自体が難しくなっている”と思っていた」と実感を語ります。

34歳となった現在、若いアーティストから相談を受ける機会が増えるなか、「10代のときに抱えていた自分の悩みと、さほど変わらない悩みを抱えている子がいて、通ずる部分があった。10年以上も活動してきて、(いまの若いアーティストも)同じような悩みを抱えているということは、自分の10~20代のときの苦しみはなんだったのか、という思いがすごく強かった」と本音を吐露。

「自分はたまたま運が良くて、たくさんの人に支えられてまだ現役としてギリギリやれているだけ」と話し、自分よりも才能がありながらも志半ばで辞めていくアーティストを目の当たりにしてきたと明かします。

日本がそうした現状にある一方で、K-POPが盛り上がりを見せている要因の1つとして、SKY-HIさんが真っ先に挙げたのは「クリエイティブのクオリティの高さ」。日本では、かつて活躍したアーティストが第一線を退いた後にプロデュース業に携わるケースがありますが、SKY-HIさんは「それだと遅い」と断言。

「現役感のあるうちにやらないと、どういうものがイケているかなどの感覚が絶対的にズレてしまう。だから、3年前ぐらいから“早くやらないと!”とずっと思い続けていた」と胸中を明かします。それだけに、起業も「やっとという感じで、決して早くはない」と話します。

10代のころから思い描いていたこと

SKY-HIこと日高光啓さんは中学時代に音楽活動を開始。当時は「(先々)就職したとしても、音楽は続けていくだろうなと思っていた」と言います。そんななか“10代のうちになにかを始めたい!”という思いが芽生え、その勢いのままにavexのオーディションに応募。そして2005年、男女混合パフォーマンスグループ「AAA(トリプル・エー)」のメンバーとして、18歳のときにメジャーデビューを果たします。

なぜavexを選択したのかというと、創業者である松浦勝人さんの存在が大きかったそう。松浦さんが学生時代にやっていた貸しレコード店のアルバイトから、一代で大手レコード会社と肩を並べるまでにavexを成長させた姿に刺激を受けたと言います。「それこそ、Damon DashやJAY-Zみたいに道端でカセットテープを売るところからレコード会社やマネジメントをやっていくというのは、自分のなかではすごくカッコイイことだった。これがやりたいという思いは、10代のころからありました」と振り返ります。

「やり残したらきっと後悔すると思った」

続いての話題は「BMSGのこれから」。SKY-HIさんいわく、旧来から音楽業界はCDの売り上げから逆算してミュージックビデオやプロモーションなどの予算を組むそう。「大きな船が、氷山が見えているのに船が大きすぎて曲がり切れないのと同じ。みんなそのやり方ではダメとわかっているけど(舵を切れない)」と指摘します。

逆に「自分のような立ち上げたばかりの会社は小回りが利く」とメリットを挙げ、「一体、音楽の“なにがお金を生む可能性があるのか”をもう一度考え直せば、制作費を捻出し続けることは不可能ではないと思っている」と語ります。旧来のようなやり方に凝り固まるのではなく、さまざまな企業の人たちと話をし、現代ならではの手法を模索中と語ります。

現在、進行中のBMSGが主催するボーイズグループのオーディション「THE FIRST」では、SKY-HIさん個人が1億円を出資したことでも話題に。才能を感じる若者たちのエントリーが想像以上に多かったことから、「ちゃんとした番組をつくろうと思って予算を少しずつ上げていった」と言います。

オーディションを開始した当初に予定していた予算はすぐにオーバーしてしまい、SKY-HIさん自ら営業に奔走。その結果、4月からの地上波及び動画配信サービスでの放映決定を取りつけました。1億円という大金を、身銭を切ってまで出資したのは「才能ある子たちがこんなに集まってくれているのに、やり残したら5年後ぐらいにきっと後悔するだろうと思ったから」と理由を明かします。

ハヤカワさんが「オーディションの模様を、地上波や配信でやる意味は?」と問うと、SKY-HIさんは「旧来から『ASAYAN』(テレビ東京系)などをはじめとするいわゆるオーディション番組があった。韓国では、毎シーズン1~2つは必ずあるし、日本でも去年は『PRODUCE 101 JAPAN』や『Nizi Project』が盛り上がった。いまやるのは、“風を見ていてもいいことだろう”と思ったのが1つ」と回答。そしてもう1つは、「メッセージになると思ったから」。

あらためて、SKY-HIさんは「クオリティファースト、クリエイティブファースト、アーティシズムファーストを掲げて『THE FIRST』という名にしたんです。日本の芸能に対して悲観的な人も少なくないので、それをひっくり返したいという気持ちは強いですね。(オーディションの放映は)そういうメッセージになるんじゃないかと思います」と期待を込めていました。

次回3月13日(土)の放送も、オンラインイベント「『妄想の泉』YouTube LIVE配信 第3弾」でのトークの模様をお届けします。どうぞお楽しみに!

番組概要

番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mosonoizumi_TFM

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【パーソナリティ】
ハヤカワ五味
課題解決型アパレルブランドを運営するウツワ代表取締役。1995年生まれ。大学入学後にランジェリーブランド《feast》、2017年にはワンピースの《ダブルチャカ》を立ち上げ、D2Cで販売する。「ファッションデザイナー」と「事業家」の2つの顔を持つ。
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