SKY-HI「“小規模でも大スターが生まれる時代”になっているのは、クリエイターにとってすごくいいこと」 SKY-HIさん、ハヤカワ五味さん
ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味さんがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。3月13日(土)の放送は、前回に引き続き、2月24日(水)に開催したオンラインイベント「『妄想の泉』YouTube LIVE配信 第3弾」でのトークの模様をお届けしました。
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バイタリティや決断力の原点にあるもの
SKY-HIさんは2020年9月、音楽レーベルやマネジメントを手がける会社、BMSGを設立。自らが代表取締役CEOという責務に就きながらも、ラッパー、シンガーソングライター、トラックメイカー、音楽プロデューサーなど、マルチに活動をしています。SKY-HIさんにとって、バイタリティや決断力の原点は「RPG(ロールプレイングゲーム)の宝箱を開けるころくらいからじゃないですか」と話し、笑顔をのぞかせます。RPGをするとき、フロアの宝箱の開け残しがあるのが嫌なタイプだったそうで「村人全員と話がしたいし、壺は(なかになにか入っているかも、と)とりあえず割っておく一面はありますね。知らない、やらなかったで後悔をするのが嫌で、知識欲や好奇心などがベースにある」と自己分析します。
さらには、「音楽そのものが好きになったのも、それだと思う」と断言します。好きになったアーティストのことを深掘りしていったSKY-HIさんは、「知っていくことの楽しさやその場所に行ったことによる経験、それこそクラブに足を運ぶのもそうだった。今日クラブに行かなければ出会えなかったアーティスト、観られなかったライブがあったので“(行動)してよかった”という経験があまりにも大きかった。やらなきゃよかったという後悔は打ち消せない」と語ります。
「なりたい自分になればいい」
アーティスト・SKY-HIとして一番大事にしているのは「開いておくこと」。オファーは極力受けるスタンスでいるそうで、その理由は「セルフマネジメントというよりも、人生的に後悔しないほうがいいから。いまの自分は、人間として“生きる”ということを特に大事にしたい。なりたい自分になればいい」と話します。また、“なりたい自分になる”ために「自分の人生におけるギャップのすべてをなくしたい。“つくりあげた自分を演じるアーティスト”も当然いていいと思いますけど、そうではないやり方も“アリ”ということを提示できる人もいなければ。『音楽をやること=旧来のものに飲み込まれないとやっていけない』となると、それこそ文化的な損失が起きてしまう」と危惧。だからこそ、こうあるべき、というものを「壊していきたい」と声を大にします。
音楽業界、アーティストのこれから
新型コロナウイルス感染拡大の影響でライブやイベントが開催中止となるなど、音楽業界も大打撃を受けました。ウィズコロナ時代となったいま、ハヤカワさんは「アーティストのこれから」について尋ねます。SKY-HIさんは「小規模でも大スターが生まれる時代になっていることは、クリエイターにとってすごくいいこと」と見解を示します。「家のなかで音楽を録れて、自分でミックスして……。原価はゼロで、かかるのは時間だけという形もある。ストリーミングで1回再生されても1円にもならないけど、ある程度のヒットになると、いままで食うのに困っていたインディーズのアーティストが裕福な暮らしになった、というケースも増えている」と現状を説明。
近年、SNSやインターネットを介して曲がヒットする例や、他国のヒットチャートにチャートインすることも珍しくない時代となっています。SKY-HIさん自身も「タイのTikTokで曲がバズったことがありましたね」と振り返りつつ、「そういう意味では、大衆的なところにわざわざ寄せる必要はなくなってきている。やり方はいくらでもあるから、夢があることだなと思う」と話します。
日本の音楽業界について、前回の放送で「20~30年前にCDバブルがきましたけど、そこから仕組みや契約の内容などが全然変わっていない」と指摘していたSKY-HIさん。一方で、漫画をはじめとする出版業界は「インターネットで漫画を見れることに対する適応がすごく早かったように思う」と評します。マネタイズ(収益化)についても「(掲載ページに)広告を入れて、漫画が読まれた数に対して収益を得る形、新しい収益の生み方などへの適応が早かった。それはすごく参考になりましたね」と言います。
BMSGの代表取締役CEOとして会社の舵を取りながらも、アーティストとしてはavexとの契約を継続しているSKY-HIさん。そんな自身の立ち位置について、「わりと特殊な形なんですけど、それが許される時代になったというか、一部の人が(自分に)期待をしてくれて。いつも勝手に泳いでいたし、勝手に泳がせてもらっていたらたまに結果がついてくるから、“勝手に泳がせておこう”と思っているのかもしれませんね(笑)」と話していました。
次回3月20日(土・祝)の放送は、クリエイティブディレクターの佐藤可士和(さとう・かしわ)さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!
番組概要
番組名:マスメディアン 妄想の泉放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mosonoizumi_TFM
advanced by massmedian読者へ
SKY-HIさんから特別メッセージ
「挑戦しないと」「成功しないと」という時代は終わったように思います。SNS時代のデメリットというか、人と比べてしまうこと、それで自分を卑下してしまうことも多いと思います。しかし、「ただ生きている」ということがこれだけ大変で尊いと、皆身に染みた時代に変化しました。毎日ただ息を吸って、吐いている自分をもっと尊重してあげていい。人に勝つより、人を愛した方が自分を愛せるのは当たり前だと思います。
その上で挑戦したい人はすればいい。例えば自分が挑戦するのは成功のためではないです。ただそれが自分のために必要だったからしているだけです。