「飲食業界をアップデートしていきたい」

現在、西條さんは事業の1つとして、飲食店と卸売業者をつなぐプラットフォーム「クロスマート」を手がけています。そもそもこの事業を立ち上げたきっかけは、飲食店のIT化が進み、予約や集客、決済やアルバイトの管理などが便利になる一方で「肝心の食材の発注は、いまだにFAXなどでやっているところが多い。翌日の食材を発注しようとFAXしても、混み合っていてつながらなくて帰れない、といった不便な声を耳にして、IT化しようと思った」と話します。

提供しているサービス内容について、西條さんは「飲食店さんが普段仕入れている納品書をスマホで撮って、その画像をアップロードする。そうすると、卸売業者がそれを見て“ウチならもっと良い食材があるよ”とか“もっと卸価格を下げられますよ”など、逆提案できる仕組みをつくっています」と説明。ネット上でマッチングできるこの仕組みによって「これまで卸売業者さんは、足を使って泥臭く営業していても、なかなか取引につながらないという悩みがあった。(この仕組みでその)ハードルが下がったこと、かなり営業が楽になったことは1つのイノベーションだと思う」と自信をのぞかせます。

そして、同サービスを通して「“日本の飲食業界をアップデートしていきたい”というビジョンがある」と西條さん。出身地の徳島県に帰省した際、「外食しようと思っても、車で30分圏内にイケてる飲食店がほぼない。流行りのタピオカを飲もうと思ってもお店がほとんどない。唯一、最新のものが入ってきているのはコンビニぐらい」と現状を語ります。

西條さんは、ウイスキーの事例を引き合いに「以前は、おじさんじゃないとウイスキーってあまり飲まなかったと思うけど、ハイボールが出てきたことによって消費がすごく伸びた。そんな感じで、美味しいものが出てきたら、すぐに地方の飲食店にもバッと広がるような“食のアップデート”をやっていきたい」とも。

“食×テクノロジー”で広がる妄想

ハヤカワさんが、「扱うメニューや食品ロスなど、飲食店にはいろいろな課題があると思うんですけど、『クロスマート』によってユーザーの選択肢を増やすことができればおもしろいと思う」と感想を口にします。すると、西條さんは「例えば、ある家で昼食をつくり過ぎて余ってしまったとします。スマホアプリを開いて(その情報が)出ていたら、そのお宅にお邪魔して、昼ごはんを一緒に食べるとか、できたら良いと思う。個人宅ランチの『Airbnb(エアビーアンドビー)』(※アメリカ創業の民泊サービス)みたいなものがあれば、旅行者などにはうれしいかも」と妄想を膨らませます。

ハヤカワさんは、静岡県の友人宅を訪れたときに、おろしたてのわさびと海苔に醤油をかけただけの丼をご馳走してもらい、「“こんなに美味しいものがあるんだ!?”と衝撃だった。普通に出してくれたお茶もすごく美味しくて。確かにその土地によって“現地にいると気づかないような驚き”って、ありそうですね」と話します。

そして、「地方の都市や場所と連携していくような流れも、今後ありそうですか?」と問うと、西條さんは、高知県の卸売業者を探していたときに、ひょんなことからスタートしたある取り組みを紹介します。「四万十町と提携することができまして、『クロスマート』のプラットフォームを通じて、地元食材を飲食店に広めていきたいという話になった。業者だけでなく、地域と連携することも今後加速していきたい」と力を込めます。

ハヤカワさんは、「良いものがあっても、どうやってそれを届けたらいいかわからない人をサポートするような仕組みも今後出てきそう」と妄想。さらには、全国の農家や漁師から直接食材を買える産直アプリ「ポケットマルシェ」を利用したときの体験談として、「箱いっぱいに詰まった野菜が届いたんですけど、見たことのないようなオクラとかが入っていて、良い体験だなと思った。(物流の新しい形態などにより)今後は、スーパーではなかなか見ることのないような食材に出会えるような機会も増えてくると思う」と話していました。

次回10月12日(土)の放送は、エンジニア兼マンガ家の千代田まどかさんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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西條晋一さんから特別メッセージ

今の時代、テクノロジー以外に、クリエイティブとデータがすごく大事だと思っていて、クリエイティブというのはスマホの操作のUIやUXもそうですし、見た目のデザインだけでなく、どういう風にお店の中を歩いたら物が見やすいかとか、そういうのも含めてデザインと定義しているんですけども、デザインをやれる人、センスがいい人が少ないんですね。あるいはノウハウを持っている会社も少ないので、そういう所で働く人や能力が高い人がいっぱい出てくると、僕らもぜひ採用したいなと思います。

今は、いきなり転職というのも一つの選択肢だと思いますし、僕が活用してもらいたいと思うのは、副業ですね。副業で社会人インターンができると思っていて、学生時代にほとんどの人がインターンをして、就業経験を積んだ上で、この会社いいな、やっぱり違うなと判断すると思うんですけど、副業は今多くの会社で認められるようになってきてると思うので、興味があったら、まず副業で、少しその会社なり、関連業務をやってみればいいと思います。で、もし気に入ったようであれば、転職に向けて動くと、合理的だし、失敗も少ないんじゃないかなと思います。

番組概要

番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mosonoizumi_TFM

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【パーソナリティ】
ハヤカワ五味
課題解決型アパレルブランドを運営するウツワ代表取締役。1995年生まれ。大学入学後にランジェリーブランド《feast》、2017年にはワンピースの《ダブルチャカ》を立ち上げ、D2Cで販売する。「ファッションデザイナー」と「事業家」の2つの顔を持つ。
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