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10代で起業し9年…いまあらためて思うこと

前回は、これまでの仁禮さんのキャリアに迫りました。中学2年生のときに起業し、高校1年生のときに自身の母校を買収。そして23歳となった現在は、慶應義塾大学総合政策学部に在学しながら、TimeLeapの代表を務めています。

起業をして早9年目。10代のころは、その経歴がいま以上に目を引いたそうで「恩恵もあれば、そこから受ける弊害もあった。それを認識して、自分たちはその事実と向き合って解決してきた」と話します。

ハヤカワさんも若くして起業していたため、「どうしても調子に乗っているように見られやすかった。それも多少なくはないけど、『バックに誰かついていて、お金を出してくれているんだろ』ってよく言われて、操り人形的な見られ方をされることが多くて落ち込んでいた」と、当時の悩みを吐露。法人化して6年目を迎えたいまは「最近、やっと減ってきた」と似た境遇に共感を示します。

仁禮さんは、むしろ起業した当時よりもSNSでの発信を解禁したいまのほうが、さまざまな声が届くそうで、「まだ五味さんのように回収できていない感があるのでもどかしい(苦笑)。いま、向き合わなければいけないタイミングだなって。『親にお金を全部用意してもらったんだろ』とか、女性だとどうしても『(バックに)男がいるんだろ』って言われて……9年もやってきたのに、不本意ですね」と胸中を打ち明けます。

「TimeLeap Academy」のプログラムとは?

2020年6月にローンチした、小学5年生~高校3年生までを対象としたオンライン起業家プログラム「TimeLeap Academy」。8カ月に及ぶプログラムは、「前半と後半でデザインが分かれている」と仁禮さん。

前半はほぼ毎週授業があり、そこでは、起業家や研究者、大学教授、アーティストなど、さまざまな分野でプロフェッショナルとして活躍している人が、メンター(指導者)として参加。毎回さまざまな“学び”を提供しており、メンターの専門分野や事業によってプログラムを組んでいくそう。

また、“質問”をテーマとした授業もおこなっているとのこと。「質問は、コミュニケーションの基本。その人の考えを引き出せるような質問をしないと、その人の本質にはたどり着けないし、お互いにいいコミュニケーションができない。メンターの授業を聞いて終わりにするのではなく、その授業と同じくらい“質問の時間”を設けている」と、そこに込めた意図に触れます。

メンターとの質疑応答の時間を通じて、「生徒たちが疑問に思ったこと、まだ回収しきれていないこと、もっと深く聞きたいことをちゃんと捉えて質問できるようにする。そのためにも、最初にコンサルタントにきてもらい、“(メンターが)コンサルティングをするときのコミュニケーション”について話してもらう」と仁禮さん。

そのほか“検索”に関する授業もあるそうで、「メンターの授業を聞いたら、その会社の事業についてどれだけ生徒たちが深く検索できるか、次回に質問する内容を考えるための検索をするとか、そういうワークを取り入れています。リサーチは、事業をつくっていくときなど、そのあとも使うので、そういうところもやりますね」と多種多様な学びについて語ってくれました。

「アイドルは人間の本質を体現している」

これまで9年にわたり“理想の教育”を求めて走り続けてきた仁禮さん。そこまで彼女を突き動かしてきたのは「“心の潤い”という意味では、アイドルの存在が1つある」と言い、「嵐の大野(智)くんのことがずっと好きなんです」と笑顔をのぞかせます。

「アイドルって、音楽とかさまざまな表現で(ファンに)幸せや笑顔を届けてくれる職業ですよね。だけど、表舞台に立ち続けている人たちには、私たちには見えない苦労もたくさんある。みんな大変だけど、そのなかで輝こうとするし、その輝きで誰かを支えようとするのは、人間の本質だと思うんですよね。それを体現しているのが、アイドルという存在」と独自の目線で魅力を語ります。

そんなアイドルの姿を見て「アイドルとは違う表現だけど、自分の才能を使って、誰かのなにかを輝かせることができれば……私の場合、それは“教育”です。向き合っている子どもたちの才能を発揮させることが、自分が一番やるべきこと。“自己認識に至るプロセスを応援してあげられるのか”など、地道なものに向き合っていくときに、輝くものがあると“明日も頑張ろう!”っていう気持ちにもなれる。そういうものって、人間には必要だと思う」と自身を重ねます。

また、これまでの人生において最も影響を受けた存在を尋ねると、「初恋の人」と即答します。「外国にいらっしゃる方なんですけど、彼は自分の仕事にすごく熱心で、そのなかで孤独を感じているところもたくさん見てきた。職業は私と全然違うんですけど、起業家って、常識に寄りすぎても幻想に行きすぎても成立しないと思っていて。そのバランスを見つけなくてはいけなくて、彼もそれに近い仕事をしていたなって。

バランスを取っているときって、自分だけでやっているとパンクしそうになるのですけど、その人を見ていると“いま、ちょっと偏りすぎているのではないか”と気づけて、支え合えるような人がずっといたということは、本当によかったなと思いますね」としみじみ。

「自分のまわりに、いろいろなベクトルで輝ける人たちがいてくれるだけで、自分の視野はすごく広がる。アカデミーでやりたいこともそこなんですよね。(生徒たちの)視野を広げるためには、いろいろな限界のないところを見せてあげないと幅が狭くなってしまう。だから、そこを取っ払ってあげる作業を最初にやりたくて、メンターの授業が前半にあるんですよね。それを取っ払ったうえで、“なにをつくる?”という感じ」と話していました。

次回9月19日(土)の放送は、元フェイスブック・ジャパンの代表取締役であり、MOON-Xを創業された、長谷川晋さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

※2020年9月18日 イラストレポートを追加しました。

advanced by massmedian読者へ
仁禮彩香さんから特別メッセージ

自分の得意なこと苦手なことについて、理解が深まれば深まるほど、生きやすくなると思います。好きなことがわかっている人たちは、具体的になにが好きでどんなことを自分がやりたいのか、それがわからない人は、どんなことはやりたくないのか、避けたいのか、ということを言語化していくと、少しでも生きやすい人生が送れるのではないかなと思います。

番組概要

番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mosonoizumi_TFM

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【パーソナリティ】
ハヤカワ五味
課題解決型アパレルブランドを運営するウツワ代表取締役。1995年生まれ。大学入学後にランジェリーブランド《feast》、2017年にはワンピースの《ダブルチャカ》を立ち上げ、D2Cで販売する。「ファッションデザイナー」と「事業家」の2つの顔を持つ。
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