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ラジオから「いろいろな世界を知った」(尾崎)

前回の放送では、ゲストの4人組バンド・クリープハイプの尾崎世界観さんとライターで小説家のカツセマサヒコさんが、どのようにして言葉を紡いでいるのか。その視点や思いに迫りましたが、今回の放送では「ラジオ」についてトークを交わしていきます。

尾崎さんがラジオにハマったのは中学生のときだそうで、「成績が悪くて、夏休みに親から『テレビを観るな』と言われて。そのときに、CDコンポに搭載されていたラジオのスイッチを押してみたら、流れてきた深夜のラジオ番組がものすごく面白かった。小学生のときは普段昼間に流れているAMのラジオしか聴いたことがなかったので、そのときの(ラジオの)イメージとは真逆の番組に“こんな世界があるんだ!”って。そこからいろいろな世界を知りましたね」と話します。

カツセさんも中学生時代にラジオにのめり込んだそうで、「当時、音楽の解禁はラジオが最速のことが多かった。“解禁日”の意味もわからなかったんですけど、“聴いたことのない音楽が流れた!”って、すごく衝撃を受けた。当時の僕は“世の中の最先端はラジオだ!”って思って、ずっと聴いていた」と振り返ります。

そんな当時のカツセさんが好んで聴いていたのは、月~木曜の22:00から放送されていたTOKYO FMの番組「やまだひさしのラジアンリミテッド」。現在も「やまだひさしのラジアンリミテッドF」(毎週金曜日 25:00~29:00)として続いており、尾崎さんもこの番組にまつわるエピソードが。

「昔、ライブハウスがアマチュアバンドを(番組に)推薦して、何週か勝ち抜いたらスタジオに出してもらえる、というコーナーで下北沢のライブハウスに推薦されたことがあったんです。1週目は勝ったんですけど、2週目にリスナーからボロカスに言われて……そのときの恨みがずっとあります!」と告白し、笑いを誘います。そう言いつつも、「そのときの悔しさがあったからこそ、ここまでこられた(笑)」と、自身でフォローします。

2人とも、ラジオならではの番組とリスナーとの距離感に魅力を感じている様子ですが、尾崎さんは「生放送のラジオ番組でのトーク」と「ライブでのMC」は、同じ生モノですが違いがあると言います。

「ライブだとなんとなくの空気感で思いが伝わってきます。一方ラジオでは(生放送中に届く)メッセージでなんとなくの空気感はわかるけど、リアルタイムではなく“自分が少し先を進む”という感覚なので、その怖さはありましたね。でも、そういう緊張感や不安要素がラジオの良さだと思う」。

また、「やっぱり緊張している人じゃないと、いい表現はできないと思うんですよね。自分は、めちゃくちゃ自信のある人の言葉って、あまり聴きたくない。だから、それは必要だと思う」と語っていました。

「どんどん吸収しないと…」(カツセ)

またこの日は、イベントをリアルタイムで視聴していただいていたリスナーからのメッセージにも答えました。

<リスナーからのメッセージ>
「お三方とも、アパレルや歌、言葉など、それぞれの得意分野かつ異なる視点から、多くの人にメッセージを伝えていてすごいなと思います。普段の生活で、どんなことにアンテナを張って、アイデアを考えているのか。また、それを目に見える形で表すときに、意識していることがあれば教えてほしいです」

この質問にカツセさんは、「本を書くようになって、初めて“インプットしなきゃ”っていうほうに頭が向くようになった」と言います。それまで、映画を観るのは年に1本ペースだったそうですが、「(作品を)つくる側になったときに、どんどん吸収しないと圧倒的に早く(知識が)枯渇していく感じがした。だから、“映画、音楽、小説”を“観る・聴く・読む”ようになりましたね」と語ります。

尾崎さんも知識が枯渇する感覚は常にあると言います。「“曲がつくれなくなるかもしれない”って焦ることもある。でも、“できなかったら仕方ない”という感じで、そこは気にしない。むしろ、『枯れたな』『終わったな』って、まわりから言われるのがムカつく(笑)。とはいえ、その怒りでまた(次に)動けるので、そういうときの気持ちはすごく大事にしています」と答えました。

ネガティブな気持ちを切り替えるには?

<リスナーからのメッセージ>
「私は、自分にとってマイナスな妄想ばかりをしてしまいます。特に“あのときの発言が、誰かを傷つけたかも”と考えてしまいます。そういう想いになったとき、どうやって気持ちを切り替えていますか? また、自分に自信を持つにはどうしたらいいですか?」

そんなメッセージに、尾崎さんは「僕もよく気にしますよ、“あのときの一言は余計だったかな”って。でも、楽しければ楽しいほど、自分の調子がいいときほどそう思うので、(リスナーさんのように)マイナスな妄想をしてしまうということは“やりきっている”からなんだと思いますね。“恥ずかしい”というのは大事」と考えを口にします。

ここでハヤカワさんが、「SNSをやっていると、そこで誰かを“傷つけちゃった……”ということもけっこうあるから、こういう心配事って多いと思うけど、どのように向き合っていますか?」と尋ねると、カツセさんは「SNSとリアルは、かなり切り分けている」と回答。SNSでなにかを言われたとき、「受け止めることは受け止めるけど“自分の読者ではなかった”と思うことで、一旦フィルターをかけている」と話します。

そう言いつつも、「怒りや悔しさは当然あるので、(尾崎さんの言う)“次はこの人がいいと思うようなモノを書こう!”っていう思いもちゃんと蓄積している」とも。

また、カツセさんはこのリスナーからの質問が“リアルな友人関係における悩み”だと推測し、「それは後日、時間が経ってでも『ごめん。勘違いかもしれないけど、もしかしたらあのときは言い過ぎたかも』って、恥ずかしくてもちゃんと言ったほうがいい」とアドバイス。

面と向かって言うことで、「自分に負債がなくなる。“あそこでちゃんと謝れたからオーケーでしょ”という形で、1個自分のことを好きになれると思う。そういう“自分自身との約束を守る”ということは大事なこと」と言葉を届けました。

次回12月12日(土)の放送は、dot代表の冨田侑希さんさんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

advanced by massmedian読者へ
尾崎さんとカツセさんから特別メッセージ

【尾崎世界観さん】
生きることも大事な仕事だと思っています。だから、危なくなったら逃げる。逃げてでも生き延びる。それも挑戦の1つです。


【カツセマサヒコさん】
社会に出ると、これまで想像したこともないような大きな理不尽に襲われることがあります。そう言われて脳内に想像したものの、4倍くらいの理不尽が襲いかかるのです。そのとき、ダメージを受けすぎないように、なにができるか。僕はそこに妄想があり、エンタメがあり、クリエイティブがあると思っています。理不尽から生き延びてください。

番組概要

番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mosonoizumi_TFM

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【パーソナリティ】
ハヤカワ五味
課題解決型アパレルブランドを運営するウツワ代表取締役。1995年生まれ。大学入学後にランジェリーブランド《feast》、2017年にはワンピースの《ダブルチャカ》を立ち上げ、D2Cで販売する。「ファッションデザイナー」と「事業家」の2つの顔を持つ。
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