「Clubhouse」の魅力とは? リクルート、Google、楽天など10社の企業を渡り歩いたIT批評家が解説 尾原和啓さん、ハヤカワ五味さん
ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味さんがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。2月6日(土)の放送は、IT批評家の尾原和啓(おばら・かずひろ)さんが登場しました。
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いろいろな人のご縁や未来をつなぐために
尾原さんは、マッキンゼー・アンド・カンパニーでキャリアをスタートさせたあと、リクルートやGoogle、楽天など10社以上の会社を経験。現在はインドネシア・バリ島に在住し、IT批評家として活動しています。また、リンクトイン「インフルエンサー・オブ・ザ・イヤー2020」で最も発信力のあるリーダー10人にも選出されています。自身のキャリアをあらためて振り返り、「人を笑顔にするプラットフォームを立ち上げることが好きでこれまでやってきた」と胸を張ります。そして、新卒でマッキンゼーに入社する前に「自分の妄想を大事にするご縁があった」と言います。
それは、1995年の阪神・淡路大震災で1年間続けていたボランティア活動。そこで担当していたのは、ボランティアにきた人とボランティアする場所をマッチングさせる業務だったそう。「“どうすれば、ボランティアにきていただいた方と、その行き先の方々の双方に素敵な経験をしていただけるのか”を考えていた」と尾原さんは話します。
そこでの経験によって「善意でボランティアにきていただいている一方で、被災地では刻々と必要としているモノが変わる。それを適切に指示してあげるだけで場が回り、みんなの笑顔が増えていくことにやみつきになった」と当時を回顧します。
さまざまな大手企業を渡り歩いてきたなかで、尾原さんがバリ島への移住を決心したきっかけとなったのは、Facebookのユーザーが15億人を超えたこと。「中国の人口を超えて、ある意味“Facebook国”が世界一の国になった。Facebook国に住んでいれば(実際に)住む場所は関係ないやと思った」と話します。そんな意識の変化をきっかけに、「これまではプラットフォームをつくる側だったけど、これからはプラットフォーム上でいろいろな人のご縁や未来をつなぐことに専念しよう」という思いに至ったとも。
それからは家族とともにバリ島を引っ越し、尾原さんはシンガポールを仕事の拠点としながら週末に家族のいるバリ島に戻る、という二拠点生活をスタートさせました。
話題の「Clubhouse」の魅力
そんな尾原さんは、自らを「フューチャリスト」と称しています。これは、本人いわく「未来で当たり前になっていることを、現在の人たちにどうやってわかりやすく伝え、未来にワクワクしてもらい、未来により生きたくなるようにする職業のこと」。シリコンバレーやベイエリアではフューチャリストがいるものの、日本ではまだ珍しい存在だそうで、SNSや自身の著書などを通して発信を続けています。尾原さんが最近注目しているサービスは、日本でも話題となっている音声SNSアプリ「Clubhouse」。現在、自身も熱中しているというClubhouseの魅力については「日常のなかでのふとした出会い」だと言います。そこから新しい出会いやアイデアが生まれたり悩みが解決したりするなど、偶発的な物事を起こす「カジュアルコリジョン」の機会をもたらすことを挙げます。
そして、なぜ多くの人がClubhouseに魅了されているのかと言うと、尾原さんはある事例を紹介します。ルックスはとてもいいのに恋愛下手だという若者が「恋の休憩所」というテーマでルームを立てたところ、「その若者のために、いろいろな人が相談にのってアドバイスをしてあげて、場が盛り上がってくると著名人がふらっと来てくれる、などのハプニングが起こるんです。そういうバーのような場所が、コロナ禍でなかなかアクセスできなくなったなかにどハマりした」と話します。
さらに続けて、「ネット上だから、距離や場所など関係なく、いいテーマを設定しているお部屋にふらっと立ち寄ってくれる。まさにClubhouseですよね」と流行の理由を分析します。
オーケストラ型からジャズ型に
昨年から世界中に影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症。バリ島で暮らす尾原さんにとっても例外ではなく、「コロナ禍で劇的に変化するというよりも、いままであった流れが10~20年加速したのでは」と実感を語ります。例えば、「都市に住むことは“便利でカッコいい”という妄想があったけど、これはもう古い妄想。いまはどちらかと言うと、自分のライフスタイルに合った場所に住んで、“離れた場所に住んでいても仕事で貢献する”という妄想のほうが、現実になりつつある」と言います。
このように、「以前のルールのフィクションが剥がれて、新しい妄想が現実になっていくことがどんどん起きていく。“次はなにが起こるのか?”と考えることがすごく楽しい」と尾原さんは語ります。
また、山口周さんとの共著『仮想空間シフト』(MdN新書)で好評だった「仕事がオーケストラ型からジャズ型になる」という山口さんの発言を引き合いに出して、働き方の変化についても言及します。
「“せーの”でみんなが一斉に始めるオーケストラ型は、たくさんの人がハーモニーとして奏でる美しさや良さもある」としながらも、「これは変化の少ない時代のやり方」と指摘。「オーケストラを毎週丁寧に合わせて準備し、3カ月後に素晴らしいハーモニーを提供する、と思っているうちに時代が変わってしまう。現在のような変化の時代には(いま空いている人同士がセッションするような)ジャズ型で働いていくようになる」と声を大にします。
総じて、「インプロビゼーション(即興)でいろいろな人が絡み合いながら、新しいことをどんどんつくっていく、というような働き方に変わっていくと思う」と予見していました。
次回2月13日(土)の放送も、尾原さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!
番組概要
番組名:マスメディアン 妄想の泉放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mosonoizumi_TFM