Vol.29 デザイナーに求められるのは自己表現ではなく、ユーザーの課題を解決すること キャリアアップナビ
キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回は、ソフトバンクのデジタルトランスフォーメーション本部 エクスペリエンスデザイン課にてクリエイティブディレクターを務める梅津しおんさんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
──これまでのキャリアについて教えてください。
キャリアのスタートはWebサービス企業で、営業とサービス運営を担当しました。売上目標を順調に達成し続けたことで、子会社の経営を任される立場になりました。そのころの悩みの種は、サービスの開発・制作を依頼していた協力会社に、機能やデザインの要望をうまく伝えられなかったこと。それなら自分で制作までしたいと考え、働きながらデザイン学校に通い始めました。
1年ほどかけてプログラミングやデザインを一通り学んだ後、実務経験を積むため、Web制作会社に転職。Web制作を中心に、さまざまな業種・クライアントのデザイン・ディレクションに携わりました。
2年ほど経ったころ、クリエイティブの楽しさを教えてくれた先輩に誘われ、フリーランスのクリエイティブディレクターとして独立。ユニットを組み、Webや映像・CMなどのディレクションをしていました。同時に、安定収入を得るために派遣でも働いていたこともあります。
2010年にソフトバンクへ派遣就業したことがきっかけです。最初はソフトバンクの携帯ユーザー向けコンテンツを開発する部署で、UI・UX(顧客体験)デザインとディレクションを担当していました。2012年1月に正社員になったのですが、実は、その打診を初めて受けたのは就業開始から半年ごろのことでした。しかし、クリエイティブユニットの仕事と並行したい気持ちが強く、当時ソフトバンクは副業禁止だったので断っていたのです。その後、仕事を続けるうちに、ソフトバンクのダイナミックな成長戦略にもっと深く関わりたいと考えるようになり、3回目のオファーで承諾しました。派遣ながら裁量を持って従事していたので、当初は業務内容にそれほど変わりはありませんでした。
そして、2016年に顧客基盤推進本部に異動しました。当時の本部長だった佐々木一浩(現CDO/Chief Data Officer)との出会いは、一つの転機になりました。
この部署で、私は公式サイトのリニューアルという一大プロジェクトに参加し、情報設計とクリエイティブコントロールを担当しました。佐々木はユーザー体験を非常に重視しているため、私たちクリエイターの仕事の重要性を理解し、信頼して任せてくれました。
当時は、ソフトバンクがクリエイティブの品質向上に目を向け始めたばかりのころ。クオリティへのこだわりが理解されず、もどかしさを感じることもあったので、佐々木の存在は大きかったです。この仕事が社内外で高く評価され、他部署からもクリエイティブに関する相談が私に来るようになりました。
──2019年4月にDX本部に異動されています。
2017年に新設されたDX本部は、各業界・産業が抱える社会課題をソフトバンクとパートナー企業との共創により、両社のテクノロジーやアセットを活かして解決することがミッションです。
異動のきっかけは、「事業企画は立ち上がりつつあるのに、肝心の事業をデザインできる人がいない」と相談を受けたことでした。
クリエイティブディレクターとして着任した私の最初の役割は、エクスペリエンスデザイン課の立ち上げ。UXの専門家は社内にいなかったため、まずは未経験の若手を育成することに。5名で始まったチームも、中途採用で専門性の高い人材を多く採用した現在では、業務委託を含め32名になっています。
エクスペリエンスデザイン課は、事業に企画段階から参加します。エンドユーザーのペインやニーズをリサーチ・分析し、見つけ出した課題を解決するビジネスをユーザー体験も含めデザインしていきます。私の主な業務はマネジメントや全体のクリエイティブコントロールですが、プロジェクトに直接参加することもあります。 ──DX推進におけるUXデザイナーの役割とは?
先述のように、当社でビジネスデザインに携わるデザイナーは事業に企画段階から参加しています。表層的なデザインは外注することが多いですが、課題解決の根幹となる部分は、社員が責任を持ってユーザーが満足するものに仕上げるべきです。これが自社のビジネスを一番に理解しているインハウスデザイナーの使命だと思っています。
もしこれからインハウスデザイナーを目指すなら、誰のためにデザインするのかを常に考えてほしいと思います。デザイナーの役割は自己表現ではなく、ユーザーにとって良いもの、すなわちユーザーの課題を解決するものを生み出すことです。そのためには、技術やトレンドを学び続け、表現の幅を広げなければなりません。特に、サービスデザインに携わるなら、ビジネスやテクノロジーの知識も求められます。
もちろん、基礎となるクリエイティブのブラッシュアップも欠かせません。私も時折、手を動かしてデザインやコーディングをし、最新のツールにも触れ、常に自分をアップデートするよう心がけています。
キャリアのスタートはWebサービス企業で、営業とサービス運営を担当しました。売上目標を順調に達成し続けたことで、子会社の経営を任される立場になりました。そのころの悩みの種は、サービスの開発・制作を依頼していた協力会社に、機能やデザインの要望をうまく伝えられなかったこと。それなら自分で制作までしたいと考え、働きながらデザイン学校に通い始めました。
1年ほどかけてプログラミングやデザインを一通り学んだ後、実務経験を積むため、Web制作会社に転職。Web制作を中心に、さまざまな業種・クライアントのデザイン・ディレクションに携わりました。
2年ほど経ったころ、クリエイティブの楽しさを教えてくれた先輩に誘われ、フリーランスのクリエイティブディレクターとして独立。ユニットを組み、Webや映像・CMなどのディレクションをしていました。同時に、安定収入を得るために派遣でも働いていたこともあります。
──ソフトバンクに入社した経緯を教えてください。
2010年にソフトバンクへ派遣就業したことがきっかけです。最初はソフトバンクの携帯ユーザー向けコンテンツを開発する部署で、UI・UX(顧客体験)デザインとディレクションを担当していました。2012年1月に正社員になったのですが、実は、その打診を初めて受けたのは就業開始から半年ごろのことでした。しかし、クリエイティブユニットの仕事と並行したい気持ちが強く、当時ソフトバンクは副業禁止だったので断っていたのです。その後、仕事を続けるうちに、ソフトバンクのダイナミックな成長戦略にもっと深く関わりたいと考えるようになり、3回目のオファーで承諾しました。派遣ながら裁量を持って従事していたので、当初は業務内容にそれほど変わりはありませんでした。
そして、2016年に顧客基盤推進本部に異動しました。当時の本部長だった佐々木一浩(現CDO/Chief Data Officer)との出会いは、一つの転機になりました。
この部署で、私は公式サイトのリニューアルという一大プロジェクトに参加し、情報設計とクリエイティブコントロールを担当しました。佐々木はユーザー体験を非常に重視しているため、私たちクリエイターの仕事の重要性を理解し、信頼して任せてくれました。
当時は、ソフトバンクがクリエイティブの品質向上に目を向け始めたばかりのころ。クオリティへのこだわりが理解されず、もどかしさを感じることもあったので、佐々木の存在は大きかったです。この仕事が社内外で高く評価され、他部署からもクリエイティブに関する相談が私に来るようになりました。
──2019年4月にDX本部に異動されています。
2017年に新設されたDX本部は、各業界・産業が抱える社会課題をソフトバンクとパートナー企業との共創により、両社のテクノロジーやアセットを活かして解決することがミッションです。
異動のきっかけは、「事業企画は立ち上がりつつあるのに、肝心の事業をデザインできる人がいない」と相談を受けたことでした。
クリエイティブディレクターとして着任した私の最初の役割は、エクスペリエンスデザイン課の立ち上げ。UXの専門家は社内にいなかったため、まずは未経験の若手を育成することに。5名で始まったチームも、中途採用で専門性の高い人材を多く採用した現在では、業務委託を含め32名になっています。
エクスペリエンスデザイン課は、事業に企画段階から参加します。エンドユーザーのペインやニーズをリサーチ・分析し、見つけ出した課題を解決するビジネスをユーザー体験も含めデザインしていきます。私の主な業務はマネジメントや全体のクリエイティブコントロールですが、プロジェクトに直接参加することもあります。 ──DX推進におけるUXデザイナーの役割とは?
先述のように、当社でビジネスデザインに携わるデザイナーは事業に企画段階から参加しています。表層的なデザインは外注することが多いですが、課題解決の根幹となる部分は、社員が責任を持ってユーザーが満足するものに仕上げるべきです。これが自社のビジネスを一番に理解しているインハウスデザイナーの使命だと思っています。
もしこれからインハウスデザイナーを目指すなら、誰のためにデザインするのかを常に考えてほしいと思います。デザイナーの役割は自己表現ではなく、ユーザーにとって良いもの、すなわちユーザーの課題を解決するものを生み出すことです。そのためには、技術やトレンドを学び続け、表現の幅を広げなければなりません。特に、サービスデザインに携わるなら、ビジネスやテクノロジーの知識も求められます。
もちろん、基礎となるクリエイティブのブラッシュアップも欠かせません。私も時折、手を動かしてデザインやコーディングをし、最新のツールにも触れ、常に自分をアップデートするよう心がけています。