全日本広告連盟は、3月13日に第12回「全広連日本宣伝賞」各受賞者を発表した。また、5月15日開催の「第72回全日本広告連盟東京大会」式典内で贈賞が行われる予定である。

全広連日本宣伝賞とは、全日本広告連盟が、昭和30年代から行われてきた日本宣伝クラブによる「日本宣伝賞」の顕彰事業を2013年より継承したものである。

広告に関わるそれぞれの立場から、広告の社会的使命の促進に関わる広告界の向上・発展に尽くし寄与した個人または団体を対象に、広告主を「松下賞」として、媒体社その他のメディア関係会社及びイベントその他のコンテンツのプロデューサーを「正力賞」として、広告関連会社を「吉田賞」として、クリエーターを「山名賞」として、年1回顕彰している。また、「特別賞」として、広告の社会的使命の促進に特別に功労があった、と認められた場合は、上記4賞に加えて個人または団体を顕彰している。

第12回「全広連日本宣伝賞」における各賞の受賞者と贈賞理由は、下記の通り。

【松下賞】磯崎功典氏(キリンホールディングス 代表取締役社長)

慶應義塾大学経済学部卒業。1977年キリンビール入社。2004年サンミゲル社取締役。2012年キリンビール社長を経て2015年よりキリンホールディングス代表取締役社長。2024年3月28日より同社・代表取締役会長CEOに就任予定。CSV経営を掲げ、食・医・ヘルスサイエンスの3領域で世界を舞台にキリングループの変革・価値創造・価値向上を推進した。広告界においても、長年に渡り、ブランディング、商品開発、マーケティング領域などで高い存在感を示すとともに、広告関係者にとって大いに参考となる多数の成功事例を生み出している点が高く評価された。

【正力賞】戸田奈津子氏(映画字幕翻訳者)

東京都出身。1958年津田塾大学英文学科卒業。フランシス・フォード・コッポラ監督が来日した際の通訳がきっかけで『地獄の黙示録』の日本語字幕を担当し、以後長年にわたり洋画の字幕翻訳者として活躍。『E.T.』『タイタニック』『ミッション:インポッシブル』を始め、数々の映画字幕を担当し、字幕翻訳の第一人者としての地位を確立。年間50本もの映画字幕翻訳を長年続け、日本のエンターテイメント界の発展に大きな貢献をするとともに、数多くの洋画を日本に紹介し、映画ファンを愉しませたことが高く評価された。

【吉田賞】天野幾雄氏(天野幾雄クリエイティブ・スタジオ アートディレクター・グラフィックデザイナー)

東京藝術大学美術学部卒。1966年資生堂宣伝部入社。宣伝部部長、役員待遇宣伝制作室長を歴任。1998年に開催された資生堂企業文化展「美と知のミーム、資生堂」展のプロジェクトリーダーを務める。東京アートディレクターズクラブ(ADC)賞、カンヌ国際広告祭金賞、銀賞、日本雑誌広告賞金賞など受賞多数。現在、日本デザイン団体協議会DOO、ジャパンデザインミュージアム設立研究委員。日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)の運営に長年に渡り尽力。また、全広連日本宣伝賞選考委員および山名賞選考準備委員会委員長を21年間務めるなど、長年に渡り、次世代の人材育成と広告デザイン界の発展に貢献した。

【山名賞】篠山紀信氏(写真家)

1940年東京生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業。在学中の1961年に広告写真家協会展APA賞受賞。広告制作会社ライトパブリシティで活躍し、1968年よりフリーランスに。1970年日本写真協会年度賞。1972年芸術選奨新人賞受賞。1976年ベネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館の代表作家に選ばれる。1998年国際写真フェスティバル金賞。2020年第68回菊池寛賞を受賞。2024年1月逝去。三島由紀夫さん、山口百恵さん、ジョン・レノンさんとオノ・ヨーコさんなど、その時代を代表する人物を捉え流行語にもなった「激写」、複数のカメラを統合し一斉にシャッターを切る「シノラマ」など新しい表現方法と新技術で時代を撮り続け、広告・アート領域の発展に多大な貢献をした。