9月18日、キッズデザイン協議会は、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品などを顕彰する「キッズデザイン賞」の第18回優秀作品にノミネートされた33作品の中から、最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞を発表した。

なお、9月25日には表彰式・シンポジウムを開催し、最優秀賞・優秀賞受賞9団体によるプレゼンテーションと、審査委員による受賞ポイントのコメントの発表が行われた。
キッズデザイン賞は、0~15歳までの子どもや、子どもの産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度である。「子どもたちが安全に、そして安心して暮らす」「子どもたちが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」という目的を満たす、製品・サービス・空間・活動・研究の中から、子どもや子育てに関わる社会課題解決に取り組む優れた作品を選び、広く社会に発信していくことを目的に創設された。

子ども用にデザインされたものはもちろん、大人・一般向けに開発されたものでも、子どもや子育てに配慮されたデザインであればすべてが対象となる。また、キッズデザイン賞を受賞した作品には「キッズデザインマーク」をつけることが認められ、販売促進活動や広報活動などで、その成果を広く社会にアピールすることができるものとなっている。

第18回キッズデザイン賞では、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」の3部門に分かれて、各賞が選出された。特に優秀作品に選ばれた33点は、子どもたちにとって安全であることはもちろん、「子どもたちの意思を大切に、自主性・主体性を育む」「現代社会ならではのデリケートな課題への対応」などの観点で優れた作品となった。

最優秀賞、優秀賞を受賞した作品の詳細は以下の通り。

最優秀賞(内閣総理大臣賞)

あそび研究会「あそび大学」
講評(東京都):「子どもたちが主役となり、子ども自身が自発的に考え行動する視点が明確であり、それを支えるプログラムも完成度が高い。企業、大学、自治体、NPOの連携もよく、子どもたち自身が考え、つくり、選挙も行うなど多面的な取り組みがあり、最優秀賞にふさわしい。」

優秀賞(経済産業大臣賞)

オージーケーカブト「BUNNY-HOP」
部門:子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門、子ども部門
講評(大阪府):「子どもの自転車用ヘルメットは安全性担保の面からとても重要だが、デザインと価格を両立して普及促進に貢献する点を高く評価した。第三者認証の安全基準を満たしており、カラーバリエーション、入手しやすい価格設定も含め、優秀賞にふさわしい完成度である。」
ナスタ「Nasta Box +POST」
部門:子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門、一般部門
講評(東京都):「複数の投函口を設けているため、2個目以降の荷物でも対面せず安全に受け取れる。投函口にはガード機能がついており安全性や盗難防止の配慮もある。一般家庭向け製品であり、時代の要請に沿った作品である点を鑑み、優秀賞に選出した。」
福井県立恐竜博物館「化石研究体験」
部門:子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門、クリエイティブ部門
講評(福井県):「科学体験は多くのミュージアムの事例があるが、専門研究と同等の機器や環境を使って体験ができる価値は大きい。本物に触れることで深い学びを得る環境づくりにつながっていく。体験プログラムとアクションを誘発するデザインのクオリティが高い作品である。」

ちょっとずつ違う「微妙な違いを視覚や触覚で見抜く『感覚ゲーム』」
部門:子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門、リテラシー部門
講評(神奈川県):「厚さを指で感じる、1ミリ違いのカードの大きさを見分けるといった、これまでにない遊び方、感覚器の使い方に新規性がある。視覚や言語に縛られがちなカードゲームの固定概念を覆す、身体性を伴う重要なアプローチである。コンセプトも含めて良質であり、優秀賞とした。」

優秀賞(消費者担当大臣賞)

キッズフリマ「キッズフリマ」
部門:子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門、消費者育成部門
講評(東京都):「売買という行為を通じて、ビジネスの成り立ち、消費の構造、お金の使い方など、消費者教育に必要な多様な学びにつながる活動である。実績も素晴らしく、規模、クオリティ、ルール作り、プログラムも優秀であり、自主性の育成も含め本賞にふさわしい。」

優秀賞(こども政策担当大臣賞)

ピジョン「手動鼻吸い器 SHUPOT-pump」
部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門、個人・家庭部門
講評(東京都):「子どもを片手で支えながら鼻水吸引の作業ができ、ハンディでモバイル性にも富んでいる作品である。力の加減で吸引力も微調整ができ、安全性にも配慮がある。もっとも重要な衛生面では、シンプルな構成でパーツは6つ、簡易に洗浄可能な点も優秀である。」
SN Design Architects「ゆりのき保育園」
部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門、地域・社会部門
講評(静岡県):「中庭を囲む分棟型デザインで、外部が見え開放感がある。諸室は子どもの身体スケールに調和し、地域のシンボルとなる印象的なシルエットが評価された。」

優秀賞(男女共同参画担当大臣賞)

積水ハウス「誰でも使いやすい 座って囲める『キッチンテーブル』」
部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門、男女共同参画部門
講評(大阪府):「働き方の多様化、在宅ワークなどフレキシブルな時間の使い方は時代の要請に応える一方で、家族が同じ空間で共に時間を過ごす機会を減らしている。食というテーマを通じ家族が時間を共有する、場を囲む、その重要性をハードから提案している点が素晴らしい。」