11月5日、グッドデザイン賞は2024年度の受賞者を発表した。

グッドデザイン賞は、1957年に開始された、総合的なデザイン評価・推奨の仕組みである。製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、人々を取りまくさまざまなものごとに贈られる。形の有無にかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰している。

2024年度は、4月1日から募集を開始して5773件が審査の対象になった。それに対して、国内外のデザイン関連分野の第一人者で編成された審査委員会によって、2次にわたる厳正な審査を実施した。審査の結果、大賞・金賞・ベスト100、そして長年にわたり人々から支持され続ける商品に贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を含む、全1579件の受賞が決定した。

今回、「グッドデザイン大賞」を受賞したのは、ジャクエツによる遊具研究プロジェクト「RESILIENCE PLAYGROUNDプロジェクト」。「障がいの有無に関わらず誰もが遊ぶことができる遊具」の開発を医療と遊具の分野を越えて実現したプロジェクトである。医療的ケアが必要な児童の「遊びたくても遊べない」という課題に注目し、さまざまな個性を持つ子どもたち、医師、ケアスタッフ、遊具デザイナー、地域住民が携わり、3つの遊具を開発した。遊ぶきっかけが地域に増え、幸せが広がる未来を描いている。
大賞と金賞の受賞作品詳細は以下の通り。

グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)

ジャクエツ「RESILIENCE PLAYGROUNDプロジェクト」
プロデューサー:ジャクエツ 德本達郎氏
ディレクター:医師/オレンジキッズケアラボ代表 紅谷浩之氏
デザイナー:ジャクエツ スペースデザイン開発課 田嶋宏行氏
講評:「『遊び』は人間の根源的な欲望であり、創造力の源となる活動である。そんな遊びから最も遠くに置かれた重度心身障害児や医療的ケア児に向けたアプローチは海外を中心に広まりつつあるが、遊びを引き出すような工夫や事例はまだまだ少ない。このプロジェクトは、さまざまな特性を持つ子どもたちと医療・ケア・地域という分野を超えた協働によって具現化された、貴重な事例であると言える。遊具があるということは、家族が共にいられる居場所があるということでもある。今後も多様な家族がいる風景を日本に広げていくことを期待したい。」

グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)

介護用洗身用具「スイトルボディ SWB-1000JP」
受賞企業:シリウス

教科用図書「『くらしに役立つ』シリーズ」
受賞企業:ADDIX
多機能ポータブルオーディオレコーダー「teenage engineering TP-7 field recorder」
受賞企業:メディア・インテグレーション
レンズ交換式デジタル一眼カメラ「α9 III」
受賞企業:ソニー/ソニーグループ

Laptop PC「ASUS Zenbook DUO (2024)」
受賞企業:ASUSTeK Computer
ナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」
受賞企業:キヤノン
半導体製造装置「Adastra」
受賞企業:キヤノンアネルバ
1.5T超電導MRIシステム「ECHELON Smart ZeroHelium (エシェロン スマート ゼロヘリウム)」
受賞企業:富士フイルム

日中放射冷却素材「SPACECOOL」
受賞企業:SPACECOOL
自動倉庫ソリューション「ラピュタASRS」
受賞企業:ラピュタロボティクス
障害者シェアハウス+シェア店舗「はちくりうす」
受賞企業:ブルースタジオ/竹村眞紀氏/はちくりうす

集合住宅「天神町place」
受賞企業:寿企業/伊藤博之氏/建築設計事務

多世代共生の複合型福祉施設「深川えんみち」
受賞企業:聖救主福祉会/地域で育つ元気な子/JAMZA

「CACP "Designing?"」
受賞企業:YIIIE

再生処理プロダクトブランド「SALWAY」
受賞企業:名優
雑誌「プラグマガジン」
受賞企業:サーブ

「YAMAP流域地図」
受賞企業:ヤマップ
ウェイストマネジメント事業「WOOMS」
受賞企業:小田急電鉄

新しい教育のあり方「スタディツアー~地域と生徒の未来創造の旅~」
受賞企業:新渡戸文化学園