第39回全日本DM大賞、恵比寿ワインマート・A LEATHER・ガリバー・ロート製薬などが受賞
日本郵便は3月13日、「第39回全日本DM大賞」の贈賞式を開催し、グランプリをはじめとする29作品の受賞を発表した。
1987年から毎年実施される全日本DM大賞は、広告戦略としてのダイレクトメール作品を評価する賞である。過去1年間に企業から実際に発送されたダイレクトメールを全国から募り、優れた作品を表彰している。今年は応募総数712点の作品の中から、DMやマーケティングの専門家による厳正な審査を経て、29作品が受賞となった。
今回、グランプリを獲得したのは恵比寿ワインマート。商品だけでなくバイヤーのロイヤリティを高めた点や、ECと実店舗というどちらの導線でも同じような体験ができる全体設計が高評価につながった。
グランプリ、金賞をした受賞作品の詳細は以下の通り。
「休眠DM」
ターゲット:既存顧客・休眠顧客
広告主:恵比寿ワインマート
制作会社:ガリバー
作品概要:恵比寿ワインマートは、実店舗とECサイトの双方を展開するワインショップだ。2024年夏に実施した「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DMは、約1年間の累計購入金額が5万円を超えるEC顧客を対象に送付した。EC×実店舗の相互利用を促すことによるLTV(顧客生涯価値)の向上を目的に、恵比寿ワインマート所属の12人のバイヤーおすすめのワインを、各バイヤーのコメントなどと合わせて紹介。その商品を実店舗とECのどちらでも購入できるフェアとした。
店舗のPOPやディスプレイはDMのデザインやトーンと揃え、統一感のあるフェアコーナーをつくった。店頭で接客するのはDMに登場したバイヤーで、バイヤーとワインの双方を引き立てることに注力した。バイヤーに声をかけて購入する顧客もいたなどバイヤーと顧客との距離が縮まり、ワインのみならずバイヤーのファン化が進み、さらなる商品の購入につながる結果に。今回のDMとフェアは顧客およびEC・店舗スタッフからも好評で、今後も同様の施策を定期実施していく意向だ。
一方で、前年に実施した「休眠DM」は、3カ月ほどECでの購入がない元優良顧客の呼び戻しを図るのが目的。再度購入してもらうことを主眼に、DM記載の2次元コードにアクセスすれば、割引価格で購入できるクーポンが必ず当たる抽選会の案内と、特別価格の商品紹介に絞って訴求した。「2次元コード、抽選、クーポン入手、商品回遊、購入」という流れを構築し、クーポンを手にした状態で商品を見て回ってもらうことで、購入意欲を高めることができた。ストレスのないスムーズな導線設計も功を奏し、抽選参加率は56.6%を記録し、11.7%が実際に商品を購入した。そのうちクーポン利用率は36%に達し、長期間接触できていなかった優良顧客層復活への大きな足がかりとなった。
ターゲット:新規(見込)顧客
広告主:A LEATHER
制作会社:シマダデザイン
作品概要:2022年に誕生したレザーファッションブランド「A LEATHER」が、フランスの展示会出展に合わせて制作したDM。日本の職人による鞣し・染色・縫製など高品質な製造背景を「和魂(Nigimitama) - Blessings of Nature Spirits of Japan」というテーマで表現。神事でもある相撲をモチーフに、元力士をモデルに起用し、実際に使用しているレザーで紙相撲の土俵を制作。手に取った瞬間に質感を感じられる仕様とした。通常、海外展示会では数回の出展を経てようやく成果が出るが、本DMによって初出展でロサンゼルスの有力セレクトショップのバイヤーによる買い付けが発生し、高い成果を上げた。
「郵便値上げを逆手に! 50カ所可変の脱『脱DM』DM」
ターゲット:休眠顧客
広告主:ガリバー
制作会社:ガリバー
作品概要:郵便費の値上がりによる「DM離れ」を防ぐため、広告印刷会社が実施した施策。過去の受注実績や紙面面積などのデータから、従来のDMと「ゆうメール」使用時のコスト差額を可視化し、顧客ごとに異なる根拠のある数値を反映した提案DMを開発。DMには50カ所の可変要素を盛り込み、100社中15社・32案件が実際に「ゆうメール」に切り替えた。郵便費値上げによる顧客離反はゼロを達成。裏面には巨大な切手のイラストを配置し、ひと目で郵便物コストのメッセージが伝わる工夫も加えられている。
スキンケアブランド「SKIO」DM(6種)
ターゲット:既存顧客
広告主:ロート製薬
制作会社:ダイレクトマーケティングゼロ
作品概要:スキンケアブランド「SKIO」のトライアルキット購入者に向けて、5週間にわたり6種類のDMを段階的に送付した施策。初回のBOX送付から世界観を統一し、1週目には販促情報をまとめた「キャンペーンDM」と、商品理解を促す「コンテンツDM」を同時発送。その後も、顧客の迷いや検討フェーズに応じた言葉で背中を押す2通目、クーポンを再送付して購入を後押しする3通目、担当者名義の「手紙」形式で届く4通目などを順次送付。心理の変化に寄り添った構成により、前年を大幅に上回る高い転換率を記録した。
1987年から毎年実施される全日本DM大賞は、広告戦略としてのダイレクトメール作品を評価する賞である。過去1年間に企業から実際に発送されたダイレクトメールを全国から募り、優れた作品を表彰している。今年は応募総数712点の作品の中から、DMやマーケティングの専門家による厳正な審査を経て、29作品が受賞となった。
今回、グランプリを獲得したのは恵比寿ワインマート。商品だけでなくバイヤーのロイヤリティを高めた点や、ECと実店舗というどちらの導線でも同じような体験ができる全体設計が高評価につながった。
グランプリ、金賞をした受賞作品の詳細は以下の通り。
グランプリ
「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DM「休眠DM」

「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DM。バイヤー12人のおすすめワインとコメントなどを、カタログのように整然と並べるのではなく、遊び心が伝わるような明るい雰囲気でレイアウトした

「休眠DM」。離脱傾向がある顧客に向けて送付することを考慮し、DMの情報量は最小限にし、形状はシンプルなB5ペラとして、受け取った顧客が気軽にDMを見られるようにした
広告主:恵比寿ワインマート
制作会社:ガリバー
作品概要:恵比寿ワインマートは、実店舗とECサイトの双方を展開するワインショップだ。2024年夏に実施した「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DMは、約1年間の累計購入金額が5万円を超えるEC顧客を対象に送付した。EC×実店舗の相互利用を促すことによるLTV(顧客生涯価値)の向上を目的に、恵比寿ワインマート所属の12人のバイヤーおすすめのワインを、各バイヤーのコメントなどと合わせて紹介。その商品を実店舗とECのどちらでも購入できるフェアとした。
店舗のPOPやディスプレイはDMのデザインやトーンと揃え、統一感のあるフェアコーナーをつくった。店頭で接客するのはDMに登場したバイヤーで、バイヤーとワインの双方を引き立てることに注力した。バイヤーに声をかけて購入する顧客もいたなどバイヤーと顧客との距離が縮まり、ワインのみならずバイヤーのファン化が進み、さらなる商品の購入につながる結果に。今回のDMとフェアは顧客およびEC・店舗スタッフからも好評で、今後も同様の施策を定期実施していく意向だ。
一方で、前年に実施した「休眠DM」は、3カ月ほどECでの購入がない元優良顧客の呼び戻しを図るのが目的。再度購入してもらうことを主眼に、DM記載の2次元コードにアクセスすれば、割引価格で購入できるクーポンが必ず当たる抽選会の案内と、特別価格の商品紹介に絞って訴求した。「2次元コード、抽選、クーポン入手、商品回遊、購入」という流れを構築し、クーポンを手にした状態で商品を見て回ってもらうことで、購入意欲を高めることができた。ストレスのないスムーズな導線設計も功を奏し、抽選参加率は56.6%を記録し、11.7%が実際に商品を購入した。そのうちクーポン利用率は36%に達し、長期間接触できていなかった優良顧客層復活への大きな足がかりとなった。
金賞
「A LEATHER 2024 AW」DMターゲット:新規(見込)顧客
広告主:A LEATHER
制作会社:シマダデザイン
作品概要:2022年に誕生したレザーファッションブランド「A LEATHER」が、フランスの展示会出展に合わせて制作したDM。日本の職人による鞣し・染色・縫製など高品質な製造背景を「和魂(Nigimitama) - Blessings of Nature Spirits of Japan」というテーマで表現。神事でもある相撲をモチーフに、元力士をモデルに起用し、実際に使用しているレザーで紙相撲の土俵を制作。手に取った瞬間に質感を感じられる仕様とした。通常、海外展示会では数回の出展を経てようやく成果が出るが、本DMによって初出展でロサンゼルスの有力セレクトショップのバイヤーによる買い付けが発生し、高い成果を上げた。
「郵便値上げを逆手に! 50カ所可変の脱『脱DM』DM」

パッと見て郵便物の値上げがわかるよう、裏面には巨大な切手のイラストを配置
広告主:ガリバー
制作会社:ガリバー
作品概要:郵便費の値上がりによる「DM離れ」を防ぐため、広告印刷会社が実施した施策。過去の受注実績や紙面面積などのデータから、従来のDMと「ゆうメール」使用時のコスト差額を可視化し、顧客ごとに異なる根拠のある数値を反映した提案DMを開発。DMには50カ所の可変要素を盛り込み、100社中15社・32案件が実際に「ゆうメール」に切り替えた。郵便費値上げによる顧客離反はゼロを達成。裏面には巨大な切手のイラストを配置し、ひと目で郵便物コストのメッセージが伝わる工夫も加えられている。
スキンケアブランド「SKIO」DM(6種)
ターゲット:既存顧客
広告主:ロート製薬
制作会社:ダイレクトマーケティングゼロ
作品概要:スキンケアブランド「SKIO」のトライアルキット購入者に向けて、5週間にわたり6種類のDMを段階的に送付した施策。初回のBOX送付から世界観を統一し、1週目には販促情報をまとめた「キャンペーンDM」と、商品理解を促す「コンテンツDM」を同時発送。その後も、顧客の迷いや検討フェーズに応じた言葉で背中を押す2通目、クーポンを再送付して購入を後押しする3通目、担当者名義の「手紙」形式で届く4通目などを順次送付。心理の変化に寄り添った構成により、前年を大幅に上回る高い転換率を記録した。