ユーキャンは、『「現代用語の基礎知識」選 2019ユーキャン新語・流行語大賞』を発表した。

表彰式は12月2日、都内会場にて執り行われ、司会の宮本隆治氏を始めとして、選考委員のやくみつる氏、室井滋氏などの著名人が列席。大勢の招待客が注目する中、今年もまた、この1年の間に発生した多種多様な「ことば」の中から、広く大衆に親しまれた新語・流行語が選ばれた。

今年大賞となったのは、「ONE TEAM」。日本代表の快進撃が話題となったことが記憶に新しい「ラグビーワールドカップ2019日本大会」。その熱狂の源となった日本代表を率いるジェイミー・ジョセフヘッドコーチから生まれた名言だ。「ONE TEAM」は、世界に広がりつつある排外的な空気に対する明確なカウンターメッセージであるとともに、少子高齢化が急速に進行し、将来的な移民の受け入れが検討されている、今後の日本の在り方を示唆するものとなった。

なお、今回ノミネートされたのは以下の通り。

・計画運休
今年は、観測史上最大級の台風に相次いで襲われる年となった。過去には空振りと批判されたこともあった「計画運休」だが、気候変動の影響で大型台風は増加傾向にある昨今、重大事故を誘引するリスクを避け「命を守る」ためにも、今後、増加が予想される。

・軽減税率
2019年10月から始まった、消費増税に伴う経過措置の軽減税率。消費者にとって複雑でわかりにくいばかりでなく、売る側も、レジを変更しなければならないなど、大きな混乱を招いた。

・スマイリングシンデレラ
8月の全米女子プロゴルフ協会の最終戦、そして、イギリスで開催された「AIG全英女子オープン」の優勝によって、一躍有名になった、プロゴルファーの渋野日向子選手。イギリスBBC放送は、到着した時にはほとんど誰にも知られていなかったものの、トレードマークの笑顔で多くのファンを掴んだ「スマイリング・シンデレラ」と絶賛。

・タピる
「タピる」とは、タピオカ入りのドリンクを飲む、タピオカを食べるという意味で使われる言葉。今年は第3次タピオカブームで、タピオカの消費量は既に過去最高だった昨年の約4倍になっているという。台湾発祥のこのドリンクに魅入られた人々が、SNSでその魅力を拡散。インスタ映えすることから、若い世代のニーズにも合致した。現在、台湾の大手チェーンが続々日本に出店しているほか、日本の大手飲食店チェーンも参入し、今や回転寿司店にまで浸透している。

・#KuToo
世界中で拡散する「#Me Too」運動になぞらえて始まった「#KuToo」運動。日本の職場で女性のみにハイヒールやパンプスを強いる企業の服装規定をなくし、選択肢が男女同じになることを目標にした活動だ。「#KuToo」で、「靴(くつ)」と「苦痛(くつう)」をもじっている。1月にアクティビストの石川優実さんがSNSでつぶやいたことがきっかけとなり、瞬く間に多の人の支持を集めた。

・◯◯ペイ
消費税増税を機に、注目を集めるキャッシュレス決済。なかでも、スマートフォンを使うQRコード決済と電子マネーの覇権競争が激化している。QRコード決済はNTTドコモのd払い、LINEペイ、メルペイ等々、乱立状態。また、最近ヤフーを展開するZホールディングスとLINEが経営統合を発表。顧客の囲い込み競争で費用がかさみ、体力勝負になっていることの回避と、GAFAに呑み込まれないプラットフォーム構築という狙いもあるといわれる。

・免許返納
近年、増加傾向にある高齢ドライバーによる交通事故。4月に東京・池袋で起きた悲惨な事故は大々的に報じられた。この事故以降、65歳以上の高齢者の自動車運転免許証の自主返納が警視庁だけでも半年で4万7千人と前年同期の8割以上増となるなど、全国的に急増している。

・闇営業
写真週刊誌『フライデー』のスクープがきっかけで、人々に急速に認知されるに至った「闇営業」。芸人が所属事務所を通さずに直接営業し、ギャラをまるまる懐に入れることを指す業界用語である。一連の騒動では、多数の芸人が事務所解雇や謹慎の処分を受け、なかにはテレビのレギュラー出演が多い芸人もいたことで大騒ぎになった。今回のノミネートからは、改めてこの問題に対する世間の関心の高さが伺える。

・令和
憲政史上初となる天皇退位に伴う改元は世間を大いに賑わせた。新元号「令和」は、645年の「大化」から数えて248番目の元号である。これまでの元号はすべて中国古典、漢籍に由来するものだったが、今回は初めて日本で記された国書「万葉集」に収められた「梅花の歌三十二首并せて序」が典拠となった。

・ONE TEAM
上記参照

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