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リアル店舗を展開した理由

同社が運営している日本最大級のフリマアプリ「メルカリ」では、今年6月から新たな試みをスタート。気軽に“メルカリ体験”ができる旗艦店として「メルカリステーション(mercari station)」を展開しています。

“リアル店舗”をつくった経緯について、小泉さんは「FacebookやTwitterに広告を出したり、テレビCMをやったりしていたんですけど、15秒のCMで“メルカリの良さ”を表現するには、限界があるなと思った。

また、“なんとなくメルカリをやらない”という人も多かったので、最後の“背中を押す”というところに対して、リアルな場所があれば(やり方を)説明してあげたり、(出品物の)梱包を手伝ってあげたりして、“すごく簡単じゃん!”と感じてもらえる“きっかけづくりの場”になる」と語ります。

さらに、無料のワークショップ「メルカリ教室」を各地で開催しています。「いらなくなったものを捨てるのではなくて、リサイクルやリユースしていくことが“環境にいい”ということを子どものころから教えていきたいので、小学生には簡単な内容にしています。逆に、高校生くらいになると循環型社会やお金を稼ぐこと、お金とはなにかとか……年代に応じて学習する形を変えながら、社会を勉強してもらえるような教室をいくつかやっています」と話します。

コロナ禍で生じる“価値観”の変化

消費傾向がモノからコトへと変わりゆくなか、新型コロナの影響で「自分にとってエッセンシャル(絶対に必要)なモノかどうか、自分の生活を支えるために必要なモノかどうかという価値観も出てきていると思う」と言います。

エッセンシャルなモノに対しての消費が積極的になる一方で、それ以外のモノについては「もう一度、価値観がわかりやすくふるいにかけられるのではないか」と推測。

現在、小泉さんが兼任しているプロサッカークラブ・鹿島アントラーズの運営については「オフラインの場(試合会場)にくる人たちに対しては、僕ら側が提供する価値をもっと上げないとマズいなと感じていて……いままでのフォーマットをゼロから考え直さなければならない」と実感を語ります。

サッカー観戦のあり方についても「狭いなかでみんなが同じ方向を向いて観ている、いままでのやり方には限界があるのではないか。東京は土地が少ないので、なるべく効率的に人を集めてやろうとしてきたけど、これからは効率性よりも、むしろ感動体験をどう最大化させるかだと思う」と小泉さん。それだけに「経営者としては、これまでとは全然違った闘いが始まったなという感じで、超楽しい」と意欲をみなぎらせます。

オンラインで信頼関係をゼロから築く

そして、新型コロナの影響は採用面にも。「ある意味、これまでの(面接の)ように、この人とは“なんとなく相性が良さそう”といった視覚的な雰囲気の要素がなくなったので、僕からするとバイアスがなくなった。本質的にその人のアウトプットが見られるので、そこは逆にいいのではないか」と言います。

その一方で「クリエイティビティの確認は、むしろ採用プロセス(手順)のなかにちゃんと入れないと。オンラインで、その場でブレスト(アイデアを出し合うブレインストーミングの略)はしづらい。そこの確認をなにかしらの違う手段でやっていかないと、その人の本質的な価値が見えづらくなってしまうのでは」との懸念も。

さらに、メルカリではWeb完結型のインターンシップも進めているそうで「オンラインでコラボレーションをしてモノをつくっていくということも、これからの時代に必要なスキルだと思う」と明言。

コロナ禍でオンライン・ミーティングが増えていることもあり、「そういうスキルの必要性も増してきている。いまは、いままでの信頼関係をベースにオンラインでの仕事が成り立っているけど、これからは“オンラインで信頼関係を築くこと”がゼロベースでスタートしていくので、ミーティングのあり方が全然変わってくる。そのフォーマットづくりもしていかなければ」と語ります。

ウィズコロナ時代の会議のあり方は…

現在、ネクスト・オフィスを模索中だそうで「いままでのように、みんなが集まって効率的に作業をするという場所から、(オンラインで)クリエイティビティを高めていくようなオフィスに変えていかなければならない」と小泉さん。

実感としては、大会議室は必要なくなるのではと推測しているようで「大人数であれば、オンラインのほうが効率的。週1回の戦略会議では、リアルのときよりもオンライン会議のほうが盛り上がっていて(笑)。いままであったようなミーティングのフォーマットも、“本質的な(会議の)価値とは?”と立ち返って、コロナ時代に即してゼロベースで変えていくべき」と声を大にします。

ハヤカワさんも「大人数での会議って、本質はみんなで集まることではなくて、これからやろうとしていることや戦略をみんなでシェアして、しっかりと自分のなかで噛みくだくことだと思う。大会議室だとみんな“黙って聞いていなくちゃ”という感覚があるけど、逆に(オンラインで)チャットベースで話せたほうが発言しやすいのかも」と同意します。

これに小泉さんはうなずきながら、「『いまの小泉さんの話は、この資料のここだよ』という補足ができたり、『こういうのがあるよ』と関連リンクを貼ってくれたりして、みんなの理解が進む。そういうふうに、みんなで助け合いながら底上げをしていく感じ。それこそコラボレーションだと思うし、これからはそういう新しいミーティングのフォーマットに変わっていくのでは」と話していました。

次回8月8日(土)の放送は、朝活コミュニティ「朝渋」代表、モーニングラボの取締役、「5時こーじ」こと井上皓史さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

advanced by massmedian読者へ
小泉文明さんから特別メッセージ

今、コロナの影響ですごくいろいろなものが変化をしているタイミングだと思うのですが、若い人ほど変化には強いと思っています。なぜなら"知らない"ということ自体が強いから。だからこそ逆に自分を信じて、変化をむしろ先取りして、どんどん妄想をして、クリエイティビティを発揮しながらチャレンジしていってもらいたいと思っています。

※2020年8月7日 イラストレポートを掲載しました。

番組概要

番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mosonoizumi_TFM

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【パーソナリティ】
ハヤカワ五味
課題解決型アパレルブランドを運営するウツワ代表取締役。1995年生まれ。大学入学後にランジェリーブランド《feast》、2017年にはワンピースの《ダブルチャカ》を立ち上げ、D2Cで販売する。「ファッションデザイナー」と「事業家」の2つの顔を持つ。
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