──YGQさんが代表を務めるTOTONOY(ととのい)は会社名からもサウナフラグ全開ですが、そもそもいつごろからサウナにハマりだしたのでしょうか?
会社立ち上げのちょうど1年ほど前の2016年の始めごろです。福岡の出張でたまたま一緒に行った人がサウナにハマっていて、ウェルビー福岡店のサウナに無理やり連れていかれたのがきっかけでした。そこでサウナに入り、水風呂に入ったら一発で「ととのう」状態になって、それまでに体験したことのない快楽とトリップ感にすごい衝撃を受けたんです。自分の人生でこんなに衝撃的で未経験なことがまだあったのかと思いました。最初に入ったのが、強冷水風呂という水温5度の水風呂があるウェルビー福岡店だったというのが良かったのかもしれません。

──初めてでいきなり水温5度の水風呂に入るというのはスパルタですね。入り方のレクチャーはあったのですか?
軽くレクチャーはありましたね。それで「サウナはすごい!」と思い立ち、すぐに東京中のサウナ施設を調べて、毎日足繁く通いはじめました。マルシンスパやスパ・ラクーアなどあちこち行きましたが、行った先々で次々と「ととのった」んです。ちょうどそのころ、引き受けていた仕事の規模も大きくなり、悩みがたまっていた時期でした。サウナに入った後の多幸感を知って、精神的に救われました

ロジカルシンキングとクリエイティブシンキング

──本連載はサウナと閃きの関係を探っていく企画ですが、やはりサウナに入ると閃くのでしょうか?
間違いなく閃きますね。サウナに入って水風呂に入って「ととのう」と余計な考えが削ぎ落とされるので、それから仕事を再開するとすごくはかどるんです。サウナ室では無の境地でいることもありますが、仕事について考えていることも多いです。いろいろと考えるのですが、水風呂に入ると一旦すべてが消えて感覚的な映像やグラフィックが浮かんでくるんです。それから外気浴中に「ととのう」と頭がスッキリするので、浮かんできた感覚的なものをピックアップしてサウナ室で考えたロジックと組み合わせて企画を立てていきます

──具体的に作品に取り入れたものはあるのでしょうか?
基本となるコンセプトやストーリーの軸はサウナ室で断片的に考えていて、例えば、でんぱ組.incのミュージックビデオ「太陽系観察中生命体」の場合は、鏡を使うといった要素はサウナ室で考えたものです。また冒頭の映像をザッピングして視聴しているような感じや、カラフルな色彩感は、「ととのった」ときにお告げのように見えてきたものを取り入れています。
そのほかにも、ヤマハ発動機のWebムービー「トリシティとサウナでととのった」や、アイドルグループの虹のコンキスタドールのミュージックビデオ「バスルームマジック」など、サウナシーンを入れた作品もたくさんつくりました。
──YGQさんの作品にとってサウナは、もはや必要不可欠ですね。
仕事の合間にサウナに入ると考えがまとまりやすくなるので、うまく活用しています。現場がない日はコーワーキングスペースのあるサウナに開店から行って仕事をして、煮詰まるとサウナに入るといったループを繰り返したりします。「ととのう」ことで心配や失敗への恐れのようなメンタルのネガティブ要素が取り除かれて、心が愛に満ち溢れてくるのです。

──だからミュージックビデオもみんなハッピーなものになっているのですね。
みんないつもありがとう、って感謝しながら仕事ができています(笑)。サウナにハマってよかったと思うのは、嫌なことや辛いことがあっても「サウナに行けばなんとかなる」と思えることです。世の中の外的な現象のほとんどは自分の思い通りにはいかないものですから、自分自身の中でうまく消化していくしかありません。宗教とはまた違った、現実的な救いになっています。だからストレスを感じることが少なくなりました。基本的には毎日ハッピーですよ(笑)。

閃くサウナは?

──よく閃くお気に入りのサウナはあるのでしょうか?
混みすぎていると「ととのい」にくいので、施設ごとに空いている時間帯を把握していて、そこを狙ってあちこち行っています。スカイスパYOKOHAMAにはよく行きますが、日曜の夜遅めが意外と空いていて狙い目です。オススメは、日曜の夜に行って泊まって、翌朝サウナに入ってからそのまま仕事に行くパターン。朝も空いていてほぼ無人です。けれども「ととのう」と帰るのが面倒臭くなるじゃないですか。ワークスペースができたので、オフィス兼レジデンスとして居続けたいです。別フロアに賃貸物件をつくってくれないかな(笑)。

──空いているというのが重要なのですね。サウナを選ぶときにほかに重視しているポイントはありますか?
民度ですね。マナーのいい客が多くて空いているホテルサウナも好きでよく行きます。ホテルは清掃も行き届いているしホスピタリティもよくて、ラウンジで休んでいるとお水を出してくれたりします。仕事で地方に出張したときには結構行きます。海外にもよく行くので、行った先々でサウナを探しては入っています。割と“さすらい系サウナー”なんです。
──以前開催された「サウナイト」で世界のサウナ事情について話をしていましたが、これまで行ったサウナの中でどこがよかったですか?
やはり、フィンランドとロシアはよかったですね。寒い地域は生活にサウナが根付いているので、圧倒的なアベレージの高さを感じます。海外のサウナに行くと、その国の国民性や生活への根付き方が実感できるのでオススメです。

そういった意味で、やはり極寒の北海道のサウナは全体的に高評価です。郊外に足を伸ばすと広々としたサウナがゴロゴロあって、例えば札幌から電車で15分ぐらいのスパは、ガラス張りのサウナ室から隣接した森と川が一望できます。それに、北海道は水質が良いところも推せるポイントですね。塩素臭くないので。

──寒いからこそ生活に根付いているわけですね。ほかに東京では味わえない魅力のあるサウナはありますか?
札幌だとニコーリフレなどの有名なサウナもよいですが、最近は混んできているので、穴場サウナを日々探しています。けれどもさきほど話したように良質なサウナ施設が多いので困りません。札幌駅に直結した日航ホテルの22階のサウナは綺麗で混んでいないし、ガラス張りになっていて札幌の街が一望できます。すすき野から近いジャスマックプラザはサウナ室の熱さなどセッティングの良さはオススメで、さらに宿泊費込みのプランもあって、サウナだけ入るよりもむしろお得感があります。サウナ飯も地方サウナの醍醐味で、月に1回はプライベートで北海道に行って、寿司を食べてからサウナに入り、ジンギスカンを食べてまた飲んでと無限の欲を満たすかのようなループを繰り返したりします。
──サウナ飯もサウナの醍醐味ですよね。飲んだり食べたりしている瞬間に閃くこともあります。日本でもじわじわと高まるサウナ人気を反映するかのようにドラマ『サ道』が7月から始まりますが、毎回大盛況のイベント「サウナイト」の今後はどうなっていくのでしょうか?
ドラマとのコラボレーションでサウナイトを開催する予定です。場所はみんな大好きスパ・ラクーア。ドラマの出演者である原田泰造さん、三宅弘城さん、磯村勇斗さんに登壇いただき、ドラマオンエア前にサウナーが集結してみんなでドラマを盛り上げていきます。またドラマの最終回にも合わせて、サウナイトでなにかやれたらいいなと思っています。ぜひサウナイトの今後も楽しみにしていてください。

──それは楽しみですね! イベントだけでなく映像作家としての活躍も目が離せません。ますますサウナで閃いて、いい作品を制作していってください。本日はお話ありがとうございました。

<撮影>池ノ谷侑花(ゆかい)
SHARE!
  • facebookfacebook
  • twittertwitter
  • lineline