7月18日、全国FM放送協議会は「JFN賞2024」の各賞を決定し、授賞式を行った。

今回は、企画部門の大賞に、FM仙台「~被災地から被災地へ電波にのせて~エフエム石川&Date fm SPECIAL PROGRAM from Date fm RAD DAY3.5 Darkest Before Dawn」が、CM部門の大賞にはTOKYO FMの「ラジオの夜(150秒)」が選ばれた。
JFN賞は、TOKYO FMをはじめとする全国FM放送協議会加盟38社が、放送活動、並びに、新規事業の活性化とクオリティ向上を目指し、社会的影響力や企画力など、JFNグループ全体の発展に大きく貢献した事績を表彰する賞である。

企画部門は、2023年4月1日から2024年3月31日までの間を審査対象とし、加盟各社がエントリーした放送・事業・営業活動事例の中から、JFN賞選考委員会にて選定。今年は、エントリー34社59件の中から、各賞が決定された。

また、CM部門は2023年4月1日から2024年3月31日までの間、JFN加盟各社が自社で企画または制作、放送したCMを審査対象とし選定。斬新な発想や演出と技法、地域性、公共性、影響力(CM効果)が審査基準となる。今年は、エントリー総数122作品の中から、特別審査員長の弘兼憲史氏(漫画家)、特別審査員の谷山雅計氏(コピーライター)、箭内道彦氏(クリエイティブディレクター)をはじめ、JFN各社のCM制作担当者38名による「公開審査会」で、各賞が決定された。

各賞の詳細は以下の通り。

企画部門

■大賞
FM仙台/~被災地から被災地へ電波にのせて~エフエム石川&Date fm SPECIAL PROGRAM from Date fm RAD DAY3.5 Darkest Before Dawn

講評:「2024年元日の能登半島地震発生以降、『東日本大震災を経験したラジオ局としてできることは何か?』を模索し、『出演者、スタッフ、オーディエンス、会場にいる全員が、音楽と言葉に被災地への想いを乗せて届けよう!』とのテーマを掲げて3月に仙台で音楽イベントを開催した。会場での臨場感溢れる生の声は、後日、55分の特別番組として、FM仙台とFM石川で同時オンエアした。東日本大震災の被災地だからこその、想いの強さが伝わる番組となった。」

■優秀賞
FM北海道/エスコンフィールドHOKKAIDO内、サテライトスタジオ「エフスタ」

講評:「プロ野球・北海道日本ハムファイターズの球場として2023年3月にオープンした『エスコンフィールドHOKKAIDO』内にサテライトスタジオを開設し、試合日の番組オンエアやイベントのみならず、試合のない日も、平日夕方に生ワイド番組を放送し、局と球場のプレゼンス向上に寄与している。また、サテライトスタジオからの番組には複数のスポンサーを導入し、営業面でも成功している。」

■優秀賞
TOKYO FM/『FM FESTIVAL 2023 サザンオールスターズ デビュー45周年!「サザンとわたし」スペシャル』

講評:「2023年度のFMフェスティバルで、デビュー45周年のサザンオールスターズを特集し、近年、ラジオでは行われていなかった桑田佳祐氏へのロングインタビューを実現した。桑田佳祐氏がリラックスして話せるよう、インタビュアーには、親交があり、番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』の代演を何度も務めている住吉美紀氏を起用し、これまで殆ど明かされる事のなかった曲作りの裏側や、楽曲が生まれる瞬間のエピソード等、貴重な話が詰まった番組となった。」

■優秀賞
FM新潟/新潟商業高校創立140周年 にしな卒業記念LIVE 及び 特別番組

講評:「高校在籍の3年間、コロナ禍に見舞われた2024年春の卒業生達に、思い出に残るものとしてアーティストのライブができないかと、校長先生から、卒業生である局の社員に相談があり、アーティストの「にしな」氏が想いに応えてくれた事で企画が実現した。後日、放送した特別番組では、ライブに加え、ラジオドラマの要素も取り入れて、メイン出演者を在校の女子生徒と校長先生が務め、企画に込められた純粋な気持ちが伝わる作品となった。」

■奨励賞
FM福井/祝10周年!めがねフェス2023

講評:「めがねフレームの国内シェア90%を誇る福井県鯖江市の一大イベント『めがねフェス』に第1回から参画して、10周年を迎えるに際し、イベントの運営、広報に留まらない特別企画を実施した。JFNネットワークの強みを活かしたTOKYO FMやJFNC番組での移住定住PRや、音メディアの特性を活かした『めがねに纏わる作文コンクール』入賞作品の生番組での朗読、2万人超を動員した2日間のステージイベントの映像配信等を実施し、収益も大きなものとなった。」

■奨励賞
JFNC/『ミッドナイト・ダイバーシティー ~正気のSaturday Night~(5週目)』「ヤングケアラーって?」

講評:「18歳未満の子どもでありながら、家事や家族の世話、介護等を担っているヤングケアラーは、1クラスに1人はいる現状を踏まえ、こども家庭庁と連携して、全国7ヵ所の中学校と高校で『ヤングケアラー出張講座』を実施するとともに、その模様を特別番組で放送した。番組では、自身もヤングケアラーの経験を持つ、お笑い芸人の平成ノブシコブシ・徳井健太氏がパーソナリティを務め、リスナーとともに、ヤングケアラーとの接し方や解決すべき課題等について考える番組となった。」

■地域賞
FM愛知/地元企業と音楽コンテンツを活用した「SDGs・地球環境」についてリスナーと共に考える番組企画

講評:「地元、名古屋に本社を置き、環境メッセージを発信しているブラザー工業とタッグを組み、音楽とともにSDGsや地球環境について考えるレギュラー番組を放送している。番組では、様々な団体や企業のSDGsに関連する取り組みを紹介し、そのアーカイブ記事を、番組スポンサーであるブラザー工業の特設サイトにアップしている。リスナーとともに地球の未来を考える取り組みとなっている事が、クライアントの高い評価を得ている。」

■地域賞
広島FM/トラックの助手席に乗ってみた。~運ぶ覚悟と届ける想い~

講評:「働き方改革関連法によって自動車運転業務の時間外労働時間が制限され、物流・運送業界では、所謂『2024年問題』が取り沙汰される中、広島県に本社を置く物流会社の女性トラックドライバーに一日密着する番組を放送した。労働者が働きやすくなる一方、運搬できる荷物が減ったり、運送事業者や労働者の収入が減ったりする可能性も指摘されており、運送業界に詳しい専門家の話を交えながら、物流・運送業界のリアルな声を届けた。」

■地域賞
FM徳島/地域を支える防災啓発事業

講評:「地域に向けた防災啓発活動を、20年にわたり継続している。2003年から毎年発行し、無料配布している防災ハンドブックは20冊目となり、2016年からは、防災啓発のレギュラーコーナーを放送しているほか、2021年からは、徳島県、徳島大学との産官学連携による防災ラジオドラマシナリオコンテストも開催している。また、放送人としての防災意識と知識の向上を目的に、全スタッフが防災士の資格取得を目指す等、地域を守るための取り組みを長年続けている。」

■地域賞
FM沖縄/特別番組「Advance!Okinawa LIFE~シン沖縄生活のススメ~」

講評:「長寿の島と言われてきた沖縄だが、いまや男性の平均寿命が全国43位になる等、低下傾向にある中、沖縄県民のリアルな生活習慣に向き合い、運動、食事、睡眠・メンタル等、様々な角度から、健康的な生活を送るための具体策を提案する特別番組を放送した。リスナーから寄せられた実例を、実況中継風のラジオドラマで再現したほか、県民の生活実態を浮き彫りにした上で、専門家のアドバイスにより、分かりやすく取り組みやすいヘルスケアを提案し、県民の健康意識向上に寄与した。」

■地域賞
JFNC/JFN東北6局ネット25分番組「となりのカイシャに聞いてみた supported by オリックスグループ」 番組制作・マルチメディア展開

講評:「東北各県で活躍する企業にフォーカスし、社長らをゲストに招いてインタビューする、地元企業応援のビジネスバラエティ番組を放送している。地元局で番組収録を行い、アシスタントも地元出身のラジオパーソナリティを起用する事等により、番組スポンサーであるオリックスグループのテーマ『地域のビジネスパーソンに身近に感じて貰う』事に成功した。東北6局での半年間の成果により、2024年4月からは、中国・四国エリアを加えた14局ネットに拡大している。」

■特別賞
TOKYO FM/「次世代ラジオマスター実証実験検討会(TOKYO FM/FM青森/FM佐賀/FM沖縄/interfm/MUSIC BIRD/JFNC)」による次世代ラジオマスター実証実験

講評:「マスターのIP化、クラウド化、集約化について検討する『次世代マスター実証実験』を、2023年1月~2024年3月に実施し、次世代マスターに必要な各技術の有用性の検証に加え、経済合理性についても、現行マスターより優位性を確保できる条件を導き出した。放送業界における先駆的な試みとして、ラジオ業界だけでなく、総務省、民放連、テレビ局からも注目を集めた実験となり、マスターのIP化、クラウド化、集約化の実現性について一定の確認ができた事は、放送業界にとって大きな一歩である。」

CM部門

【CM大賞】
TOKYO FM「ラジオの夜」(エフエム東京/150秒)

【第1部門 最優秀賞】※20秒以内(エントリー数=55本)
FM熊本「結婚記念日」(車検のコバック/20秒)

【第2部門 最優秀賞】※21秒以上(エントリー数=29本)
K-MIX「美声」(南洋社MIC/30秒)

【CM統一部門 「TimeTree賞」】※20秒(エントリー数=38社38本)
FM群馬「放課後の風景」(TimeTree/20秒)

【地域ブロック賞】
・北海道・東北
FM北海道「とんでもない図面」(脇坂工務店/20秒)
・関東・甲信越・静岡
FM新潟「どっちに聞こえた?(改)」(市川工業/20秒)
・中部・北陸
FM愛知「かけ声A」(エフエム愛知/20秒)
・近畿・中国・四国
FM高知「リンゴ10個を3人で分ける…」(大原質店/20秒)
・九州・沖縄
FM熊本「【スマイルドライブキャンペーン】縛られない男」(エフエム熊本/30秒)

【制作者審査員賞】
FM徳島「もう一回だけ」(徳島葬送.com/20秒)

【弘兼憲史賞】
FM徳島「もう一回だけ」(徳島葬送.com/20秒)

【谷山雅計賞】
FM愛媛「家族の一日」(TimeTree/20秒)

【箭内道彦賞】
K-MIX「好きだよ」(静岡エフエム放送/20秒)

JFNラジオCMコンテスト2024~ラジオに乗せて、学校アピール

【最優秀賞】
小林侑生さん(HAL東京/40秒)

【優秀賞】
野山絢音さん(HAL大阪/40秒)

【優秀賞】
古賀渚彩さん、濵口愛歩さん、松本明莉さん、安武優希さん(福岡女学院看護大学/20秒)