ZenGroupは、2023年7月から2024年6月までの海外ユーザーの消費動向を基にしたデータを公開した。
日本政府観光局(JNTO)の発表した「訪日外客統計」によると、2024年7月の訪日外客数は329万2500人で、前年同月比+41.9%だった。7月までの累計では 2106万9900人となり、過去最速で2000万人を突破した。インバウンド需要の急速な回復に加え、円安による価格競争力の向上や、日本商品の質に対する海外からの信頼が増していることなど、さまざまな要因が重なり、日本商品の海外市場での需要がますます高まっている状況である。

これを受けて、ZenGroupはグループの保有する、海外ユーザーの購入データを基に、海外消費者の購買行動やニーズを詳しく分析した。分析結果の概要は以下の通り。

平均購入単価の推移

年度平均購入単価は7360円である。2024年1月から2024年6月までの平均購入単価(7774円)は、2023年7月から2023年12月までの平均購入単価(6925円)と比較して増加した。これは円安が一因である可能性がある。

販売アイテムランキング

最も購入件数の多かった分野は「プラスチックフィギュア」である。2位はトレーディングカード、3位はぬいぐるみが続く。

日本のアニメや漫画、ゲームは世界中で非常に人気が高く、それに関連する商品(プラスチックフィギュア、トレーディングカード、ぬいぐるみ、コミック・漫画、ゲームソフトなど)は、コレクターやファンの間で高い需要がある。購入手段として越境ECを利用することで、海外ユーザーにとっても買いやすい環境が整い、越境ECの流通増加につながっている。

各国でプラスチックフィギュアやトレーディングカードがトップ10に入り、日本のポップカルチャー商品が世界的に広く受け入れられていることがわかる。メキシコでは人形やドールハウス、ベイブレード・こまなど、子ども向けやファミリー向けの商品、ウクライナでは釣り用品が人気であるように、各国の文化や嗜好が商品カテゴリに影響を与えていることが明らかである。
販売アイテムランキング
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国別販売アイテムランキング
国別販売アイテムランキング

中古品と新品の割合

出荷商品における中古品の割合は74.2%、新品の割合は25.8%である。日本人が使用していた中古品を海外の人々が欲しがるケースが増えている。「ユーズドインジャパン」と言われるように、日本製でなくても、日本人が使ったものは品質がよく、安心感があるとされている。

出荷国ランキング

出荷国の上位割合を見ると、最も多かったのは「アメリカ」で18.2%、第2位は「メキシコ」で9.9%、第3位は「ウクライナ」で6.8%となった。また、海外ユーザーからの「日本商品」の需要は高まりを見せ、2024年6月末時点で、出荷実績は175の国と地域へと拡大している。

送料の変化

荷物1個に対する平均送料は年々上昇している。2016年の4081円から2024年の7692円まで、約1.9倍に増加した。燃料価格の変動や物流コストの上昇、人手不足などが影響している。送料の上昇により、消費者が商品購入をためらう可能性があるため、販売戦略や価格設定において慎重な対応が求められる。

ユーザー数と登録ユーザーの分布

2023年7月から2024年6月にかけて、新規登録ユーザーは41万4039人を記録。新規登録ユーザーのうち、アメリカ合衆国が11.4%で最多、続いてサウジアラビア5.9%、ブラジル5.8%が続く。

アクセスデバイス

モバイルユーザーが75.4%、デスクトップユーザーが22.2%を占める。インドのようにモバイルが圧倒的に主流の国もあれば、アメリカや中国のようにデスクトップの利用が一定数ある国も存在する。

急成長する言語

韓国語(535.56%)、ポーランド語(194.23%)、トルコ語(175.93%)が、前年度と比較して著しい売上成長を示した。最も高い成長率を示したのは韓国語、ポーランド語、トルコ語であり、戦争開始後の大幅な落ち込みから回復しつつあるウクライナ語も成長を見せている。

支払い方法

Stripeが64.16%で最大のシェアを占め、PayPalが27.88%で続く。Stripeは、発送数上位20か国すべてで主流の決済手段である。Wiseは人気が高まっており、PayPalに次ぐ第3位の支払い方法であり、取引額は毎月平均して2%成長している。
調査概要
対象:2023年7月1日から2024年6月30日の期間でZenGroupを通じて購入された商品データを基準に算出