電通と国内電通グループ5社は共同で、2035年までに起こり得るトレンドをまとめた中期未来予測ツール「電通未来曼荼羅2025」の提供を2月19日より開始した。「電通未来曼荼羅2025」は未来起点の経営戦略や新規事業の立案、サービス開発などに活用できるツールとなっている。また、3月19日には最新版を活用したワークショップ「電通未来曼荼羅による新規事業構想体験ワークショップ」も開催予定である。
電通と、電通東日本、電通デジタル、電通コンサルティング、電通総研、電通マクロミルインサイトの6社が、2010年に提供を開始した「電通未来曼荼羅」は、「人口・世帯」「社会・経済」「科学・技術」「まち・自然」の4カテゴリー全72のトレンドテーマを網羅的に分類し、それぞれの概要とデータ、関連トピック、それらが未来にもたらす変化や重要になる視点をまとめている。

最新版「電通未来曼荼羅2025」は、時代の変化に合わせて前年度版から27のトレンドテーマを刷新し、全72のトレンドテーマをそれぞれアップデートしている。近年急速な広がりを見せ、今後のビジネスへの大きな影響が予測される価値観やテクノロジー、社会動向も踏まえ、各トレンドにおける今後の展望や商機について多角的な視点から紹介する「未来へのヒント」においても、最新の知見から得た示唆を盛り込んでいる。

各カテゴリーにおける新たな視点と、追加したトレンドテーマ例を紹介する。

●人口・世帯
「価値観の『やおよろず化』による『孤独・暇社会』への道とその解消」
結婚観の多様化など、さらに多様性が広がり、テクノロジーを活用できる時代になったからこそ、「時間はあるけど何をしたらいいかわからない」と孤独を感じる人が増えていく。そのような1人の時間を前向きに捉え直す期待が高まり、健康の考え方が「身体」→「心」→「孤独への対処」へと変化する。

●社会・経済
「SDGsからポストSDGsへ ― 『戦争・疫病・格差』の時代に求められるエシカル・リーダーシップ」
2024年版では「インクルーシブ」「社会的使命」といったSDGsに向けたキーワードが並んだが、2025年版ではトランプ米大統領の再選、ロシア・ウクライナ、中東、東アジアなど緊迫化する情勢下でのウェルビーイングの実現に着目。民間企業は、生活者の声を代弁すべく、より倫理的な対応が求められる。

●科学・技術
「AGI(汎用人工知能)の誕生、そして『人間性』の再定義へ」
AIの飛躍的な発展により人類の創造性・生産性に飛躍的な向上が予想される一方で、AIと人類との共存方法が模索される中、社会全体としては「人間性」の再定義の必要性に迫られる。

●まち・自然
「令和日本の『開国』」
地球温暖化による四季の移ろいの喪失による旬や風物詩、ライフスタイルの変化や、日本社会の「多文化」化など、国内では新たな文化の創造と混乱が予想される。また、「日本人が買えない日本」といった状況が顕在化する。