インターブランドジャパンは、「ブランディング」の取り組みを評価するアワード「Japan Branding Awards 2024」の受賞ブランドを発表した。
本アワードは、ブランド戦略を展開する企業・団体のさらなる成長の支援を目的に創設された。第6回となる今回は、現在におけるブランディングがどうあるべきか、どのような競争力を携えておくべきかなど評価視点のアップデートをして以来、初の開催となる。

「Japan Branding Awards 2024」のGOLD賞は、ビオレ、シロ、ゴールドウインの3ブランドが獲得した。受賞詳細は以下の通り。

Bioré(ビオレ)

受賞企業・法人:花王
活動概要(実践):
「Bioréは『実感』『感動』を重視したユニークな製品開発でブランド体験を構築している。例えば、2023年発売の『瞬感ミストUV』は、外出先での塗り直しを快適な『しゅっ!ぴたっ!』体験に変え、アフターコロナの活動的な生活をサポートする。さらに、ブランドパーパスに基づき、長年にわたり小学校等で泡ハンドソープとオリジナル手洗い歌を活用した手洗い教室を実施、延べ112万人の児童に正しい手洗いを啓発してきた。また、2021年からは『SUN & SMILES ACTION』を開始し、保育園での日焼け止め啓発や屋外スポーツイベント支援を通じて、太陽の下での活動的な生活を推進している。これら活動は、生活者のライフバリューとブランドパーパスがつながり、ユーザーや関係者の喜びになることを意識している。」

評価コメント:
「コロナ禍を経た社会の潮流/生活者の変化を捉え、将来にわたり取り組むべき社会課題は何か、Bioréのあるべき姿を見直し、新たなパーパスを製品事業にアジャイルに取り入れ事業成長に繋げた取り組みである。具体的には、革新的な製品開発を通じて新たな生活習慣を提案し、既存市場の変革に挑戦。社内では健全な競争意識を持ちつつ、『いいものを作る』という精神を堅持しながらも、社員自身が顧客との対話を楽しみ、Bioréに愛着を持って取り組んでいる。今後の展望として、Bioréは『肌』を取り巻く環境ストレスのグローバルな社会課題に挑むというアンビションがあり、変化する社会ニーズに応え続けることで、持続的な成長を目指している。」

SHIRO(シロ)

受賞企業・法人:シロ
活動概要(実践):
「『みんなの工場』でSHIROブランドのモノづくりを常時公開する開かれた工場の実現に向け、来場者や世の中に届けられる価値についてトップ自ら毎週工場の朝礼に参加して対話を重ねながら、社内スタッフの理解共感を得ていった。本活動の推進にあたり発足当初から経営がすべてにコミットメントしている。来場者に提供するブランド体験の具体的施策もトップ自ら中心となり、マーケティング部門のメンバーと共につくり上げてきた。本活動はCSR目的での取り組みではなくSHIROブランドの活動そのものであり、経営としても本気の取り組みであると位置づけたことが背景にある。そうした組織運営体制のもと、砂川市の地域の方々、行政の方々、『みんなの工場』への来場者、SHIROのSNSやカスタマーサポート宛にお問い合わせいただくお客さまなど、広く関係性を深める対応をしている。」

評価コメント:
「本活動は、SHIRO創業の地である砂川市において、経済活性化、行政福祉の充実、人口流出減という好循環を生み出すことで恩返しすると共に、SHIROのものづくりの発信基地と位置付け、SHIROのブランド価値向上に向けた取り組みである。20回以上に及ぶ市民、行政との対話を通じて活動方針を策定、実行している点は、ステークホルダーと『共創』しながらブランディングを推進しており、今回の進化したJapan Branding Awardsの趣旨とも合致している。ブランディング活動には終わりはなく常に進化していくものである。これまでSHIROのブランドが地域と一緒に起こした化学変化をさらに今後も継続して頂き、さらなるインパクトを見せて頂くことを楽しみにしている。」

Goldwin(ゴールドウイン)

受賞企業・法人:ゴールドウイン
活動概要(実践):
「ゴールドウインは企業ブランド強化のため、グローバルなCIガイドライン策定とブランドムービー制作により、世界観の統一と社内外への発信基盤を構築した。経営方針発表会などでのトップメッセージ発信、社内オウンドメディアでの社員インタビューを通じたCI浸透、外部向けには社会貢献活動などを公開する『Field Research Lab』など、多様な手段でブランドビジョンを明確化し、ステークホルダーとの関係性構築に努めている。2021年より開始した『PLAY EARTH』プロジェクトでは、子どもたちに自然と繋がる遊びを提供。イベント開催や国立公園での活動、2027年の『PLAY EARTH PARK NATURING FOREST』開業などを通じて、自然共生と持続可能な社会への貢献を目指している。」

評価コメント:
「ゴールドウインは、マルチブランド戦略から『Goldwin』ブランドを軸としたグローバル成長戦略へと転換し、CI/BI統合によるブランディングを推進している。新たなパーパス『人を挑戦に導き、人と自然の可能性をひろげる』とコンセプト『PLAY EARTH(=地球と遊ぶ)』の下、体験イベント、ベンチャー連携、サステナビリティ活動(リペア、サーキュラーエコノミー)など多角的な取り組みを実施。子供向け教育活動など未来世代への貢献も重視し、都市部住民の自然意識向上にも寄与している。展示会等を通じたステークホルダーとの継続的コミュニケーション、製品・店舗開発へのブランディング視点導入など、さらなる発展が期待される。」