Sensor Towerは2月18日、APAC地域パブリッシャーによる傑出したゲームやアプリを称える「Sensor Tower APAC Awards 2024」を発表した。
Sensor Towerの推計によると、2024年世界のモバイルユーザーはApp StoreとGoogle Playで1500億ドルを消費し、前年比13%増を記録した。モバイル業界は、ユーザーのデジタルジャーニーを再構築し続け、エンターテインメント、ソーシャルインタラクション、ショッピング、仕事、学習、投資、旅行などの関わり方を変革している。

こうした中、いくつかの重要なトレンドが現れている。一例を挙げると、ひと口サイズのエンターテインメントへの需要の高まりがショートドラマアプリやハイパーカジュアルゲームの成功を後押しし、AIアプリが教育現場での生産性を特に高めている。モバイルアプリは文化の架け橋となるなど、かつてないほど国境を越えたコミュニケーションを可能にしている。

このようなイノベーションの多くが、世界で最も収益の高いモバイルパブリッシャー上位100社の半数以上を擁するAPAC地域から生まれていることは注目に値する。

今回、APAC Awards 2024を受賞した全41のモバイルアプリ/ゲームのうち、日本パブリッシャー発の12のモバイルアプリ/ゲームは以下の通り。

ベストモバイルゲーム 2024

「学園アイドルマスター」
賞:ベストシミュレーションゲーム
講評:「アイドルマスター」シリーズの最新作「学園アイドルマスター」は2024年5月にリリースされた。Sensor Towerのデータによると、2024年に同作は約1億5000万ドル(Sensor Tower調べ)の収益を記録し、2024年の世界のシミュレーションゲームにおいて、ランキングトップとなった。「ドラゴンボール」や「ONE PIECE」などの人気IPゲームを展開するバンダイナムコエンターテインメントだが、本作は2024年の同社の世界収益シェア4位を占め、同社収益の大きな原動力となった。
THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
「Pokémon Trading Card Game Pocket」
賞:ベストグローバルローンチゲーム
講評:2024年第4四半期にリリースされたカードバトルゲーム「Pokémon Trading Card Game Pocket」は、リリース直後から世界で人気を集めた。Sensor Towerのデータによると、76カ国のモバイルゲームダウンロード数ランキングでトップを獲得し、2024年の世界累計ダウンロード数は5000万を超え、カードバトルジャンルにおいても圧倒的な首位となった。DAU(デイリーアクティブユーザー)でもその存在感は際立っており、Sensor Towerのデータによると、2位以下を3倍以上引き離し、アメリカ、ブラジル、フランスが主要市場となっている。リリース後も拡張パックの追加を行っているうえ、2025年1月にはフレンド間のトレード機能を追加し、ゲームの魅力をさらに高めている。
「にゃんこ大戦争」
賞:ベストオンゴーイングゲーム
講評:2024年に12周年を迎えた「にゃんこ大戦争」は、目まぐるしく変化するモバイルゲームの世界において長く愛され続けるタイトルである。2024年も勢いは衰えることなく、同年の世界におけるAPACパブリッシャー発のモバイルリアルタイムストラテジーゲームにおいて、ダウンロード数でトップを記録した。収益面では日本が5割以上を占めてトップ市場だが、アメリカや韓国、台湾など世界の広い市場から支持を受けている。

ベストモバイルアプリ2024

「セブン‐イレブンアプリ」
賞:ベストコンビニアプリ
講評:世界で最も有名なコンビニエンスストアのひとつである「セブン‐イレブン」は、2018年から日本でアプリ展開をしている。Sensor Towerのデータによると、日本における同アプリは2024年のコンビニアプリにおけるMAU(マンスリーアクティブユーザー)でトップに立ち、2位に2倍以上の差をつけている。「セブン‐イレブンアプリ」は、ユーザーの買い物に合わせたクーポン配信や、nanaco・PayPayとの連携によるモバイル決済機能、店舗・商品検索など、全国2万店舗以上(2024年12月現在)の「セブン‐イレブン」を便利に使える機能を備え、大きな支持を得ている。
「GO」
賞:ベストタクシーアプリ
講評:タクシーアプリ「GO」は、日本において圧倒的な存在感を示している。2024年の日本におけるタクシー&シャトルサービスアプリのダウンロード数で、同アプリは2位に5倍以上の差をつけてトップとなった。MAUにおいても2位に対して7倍の規模感を誇る。さらに、アクティブユーザーの約30%が日本以外のApp StoreやGoogle Playからダウンロードしており、日本を訪れる外国人観光客への対応に優れ、日本の観光産業において重要な役割を果たしている。
「アイビスペイントX」
賞:ベストお絵かきアプリ
講評:「作画工程を動画にして絵を描く楽しさを共有する」というコンセプトを持つ「アイビスペイントX」は、PC用イラストソフトに匹敵する機能を持つモバイルお絵かきアプリである。2024年の世界におけるデジタルアート&お絵かきアプリの平均DAUで約500万を記録し、2位に4倍以上の差をつけてトップとなった。また、アクティブユーザーの90%以上が海外からであり、特にアメリカからの利用が23%を占める。公式YouTubeチャンネルではお絵かき講座や便利な使い方の動画が400本以上公開され、チャンネル登録者数は290万人以上を誇る。
「Japan Travel by NAVITIME」
賞:ベスト旅行計画アプリ
講評:「Japan Travel by NAVITIME」は、訪日前の旅行プランニング・予約から、旅行中のルート検索、旅行後の体験シェアまで、日本での旅行を快適にサポートするオールインワンアプリである。Sensor Towerのデータによると、2024年の世界の旅行計画ジャンルにおいて収益成長率でAPACパブリッシャー発のアプリのトップとなった。旅行プランの共有も可能で、他のユーザーが作成した1000件を超える旅程から、自分好みの旅行プランを選ぶこともできる。
「LUUP」
賞:ベストマイクロモビリティアプリ
講評:バスやタクシーを利用するほどではなく、徒歩だと時間がかかるといったニーズに応えるための新たな移動手段として、マイクロモビリティが注目されている。「LUUP」アプリは、街中にあるポートの電動キックボードと電動アシスト自転車の利用から支払いまでをモバイルデバイス1つで行うことができる。同アプリは、2024年のアジアにおける自転車&スクーターシェアリングアプリのダウンロード数成長量で150万以上を記録し、トップを獲得した。2023年7月の改正道路交通法施行により、一定の基準を満たす電動キックボードは、運転免許不要(16歳以上)、ヘルメットの着用は努力義務となった。この影響でダウンロード数を伸ばし始め、2024年第2四半期には過去最高のダウンロード数を記録した。
「パラレル」
賞:ベストオンラインハングアウトアプリ
講評:日本独自のアニメやポップカルチャーは、海外の若者にも人気がある。「パラレル」は、こうした若いユーザーがオンラインで交流し、楽しむためのプラットフォームをクリエイティブに提供しており、同アプリを通じてユーザーは動画を見たり、ゲームをしたり、カラオケを楽しんだり、友人たちと遠隔でチャットしたりすることができ、バーチャルなたまり場の役割を果たしている。2019年のサービス開始以来、オフラインのエンターテインメントが強力に復活した現在でも同アプリの支持は続いており、800万ダウンロードを誇り、その30%近くが海外市場からのユーザーとなっている。
「食べログ」
賞:ベストレストラン検索・予約アプリ
講評:ランチやカフェ、特別な日のディナーや接待に使える店舗まで、幅広い飲食店の検索や予約ができる「食べログ」は、約90万件の飲食店情報と約7500万件のクチコミという圧倒的なデータを持っている。お店選びの指針として参考になるランキング検索、通常よりお得なクーポン配信などが使える月額制のサブスクリプション「食べログプレミアム」も提供し、アプリの登場から15年以上経つ現在でも外食ユーザーのニーズと信頼をサービスに反映し続けている。
「タイミー」
賞:ベストバイト探しアプリ
講評:新型コロナウイルスの影響以降、世界の主要国の多くがインフレと戦っている。生活費の上昇に直面し、多くの人たちが収入を増やすために余暇を利用してアルバイトをするようになったが、日本も例外ではない。「単発バイト」や「スキマ時間」を活用したアルバイトを検索できる「タイミー」は、Sensor Towerのデータによると、2024年の日本の仕事探しアプリにおいて450万以上のダウンロード数を記録し、トップとなった。「タイミー」は日本の同ジャンルにおけるダウンロード数成長量でもトップとなっており、業種を問わない人手不足を補う重要なアプリとして、企業・求人者の双方に活用されていることがわかる。
「U-NEXT」
賞:ベスト動画配信サービスアプリ
講評:映画、ドラマ、アニメなど見放題タイトルが32万本以上に及ぶ動画配信サービスアプリ「U-NEXT」は、2024年の日本の映画&テレビストリーミングアプリとして唯一の1億6000万ドル超えを記録し、同ジャンルの収益ランキングでトップとなった。特に2024年8月から提供された「サッカーパック」は、欧州サッカープレミアリーグ(イングランド1部)の全試合を独占配信するなど、収益面で大きな役割を果たした。また、マンガやラノベなどの電子書籍も豊富に用意されており、動画と原作を1つのアプリで楽しめる点も高く評価されている。