7月9日に日本広告業協会(JAAA)主催の「第81回JAAA クリエイティブ研究会」が開催された。今回は「これからのクリエイターに必要な視点。」をテーマに、「2018年クリエイター・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞した電通の田辺俊彦氏、同賞メダリストの博報堂ケトルの畑中翔太氏、同じくメダリストの読売広告社の伊藤英典氏が、それぞれのクリエイティブワークを説明しながら、広告クリエイティブの現在と未来について講演した。
初めに登壇した読売広告社の伊藤英典氏は、「日本全体のデザインレベルを“1”上げる仕事」として、自身が手がけた東京電力の案件について紹介、東日本大震災後のコミュニケーションとして、プロモーションや演出を入れない広告を取り上げ、社会において広告が持つべき、「ジャーナリズム」について語った。

博報堂ケトルの畑中翔太氏は、「課題解決」をテーマに展開。群馬県高崎市のシティプロモーション「絶メシリスト」や、ワイモバイルのSNS連動ドラマ「恋のはじまりは放課後のチャイムから」の2つの事例を挙げ、クライアントの本質的な課題解決に迫る、文字通り「課題解決クリエイティブ」の観点がこれからのクリエイターには求められると論じた。

最後は電通の田辺俊彦氏。(クライアントと広告会社との)「“共犯的”広告制作」をキーワードに、トヨタのパラリンピックのプロモーションについての事例や「レッドブル・ミュージックフェスティバル」での取り組みなどを紹介した。また、カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルにおいて審査員を務めた経験から、広告賞についても言及。グローバルマーケットにおいてブランドの「人格」をぶれずに発信し続け、共感をビジネスにつなげていく態度がいっそう評価されていく傾向にあることを分析、主張した。
左から、伊藤英典氏、畑中翔太氏、田辺俊彦氏
左から、伊藤英典氏、畑中翔太氏、田辺俊彦氏