多摩美術大学は、「デザイン経営」を社会に実装する日本初の試みとして、ビジネスパーソンを対象とした「多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム(以下、TCL)」を2020年春に開講する。このプログラムを通じて、デザインとビジネスを掛け合わせたハイブリッド人材を育成することで、「デザイン経営」を社会実装させ、グローバル環境における競争力強化に欠かせないブランド力向上やイノベーション創出などに貢献することを目指していく。

なお、「デザイン経営」とは、デザイン責任者が経営チームへ参画することや、デザイナーが事業戦略の最上流から参画することを通じて、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営のこと。2018年5月に経済産業省と特許庁が「『デザイン経営』宣言」を発表している。
TCLのエグゼクティブ・スーパーバイザーには、多摩美術大学の統合デザイン学科教授・永井一史氏が就任。永井氏は、HAKUHODO DESIGNの代表取締役社長を務め、アートディレクター、クリエイティブディレクターとしてさまざまな分野のブランディングにおいて第一線で活躍してきた。また、IDEO Tokyo立ち上げに参画した元IDEO Tokyoデザインディレクターの石川俊祐氏、戦略デザインファームBIOTOPE代表の佐宗邦威氏、多摩美術大学生産デザイン学科教授の濱田芳治氏、TCL特任准教授の丸橋裕史など、各業界の最前線で活躍する実務家を講師陣に迎える。

カリキュラムは、ゲスト講師による講義に加え、グループで現状分析や課題発見、コンセプト設定やアウトプット作成までを行うProject Based Learning(PBL)型のプログラムを予定している。PBLとはプロジェクトをベースにした実践型・参加型の学習形態で、異なる知識やスキルを持った人が集まり、プログラムを通して触発しあうことで、幅広く柔軟な考え方や新たな創造を生み出すことができる。また、修了生同士のネットワークや修了後も講師陣とつながる環境を整備して、活発な情報交換の場を創出していく。
今後は、段階的にプログラムを多様化させ、3年間で約400人の修了生輩出を目指す。さらに、「TCL Lab(仮称)」を設立し、多彩なゲスト講師陣も含むネットワークを構築することで「デザイン経営」に関する教育機能や研究開発の拠点とするだけでなく、ソリューション業務などにも活動の枠を広げ、海外を含む他大学・機関・企業との連携も視野に入れている。