成長産業支援事業を推進するフォースタートアップスは、「2020年上半期国内スタートアップ投資動向レポート」を発表した。8月に内閣府が発表した2020年4~6月期四半期別GDP速報によると、2020年第2四半期の実質GDPは年率換算で前年同期比27.8%減少したことが判明している。このような状況下における「国内スタートアップへの投資影響」に関する調査結果がまとめられている。

2019年、2020年上半期国内スタートアップの資金調達金額を比較すると下記の結果となった。
2020年の資金調達状況は、新型コロナウイルスの影響を受ける前の2020年1月が1,105億円と最も高く、その後は昨年比減少傾向にある。月別で見ると、昨年から資金調達金額が少ない月もあるが、6ヶ月間での金額合計を比較すると、2019年は合計3,188億円、2020年は合計3,359億円となり、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年のほうが多いことがわかった。
一方、資金調達を実施した企業数の比較では、3月を除いたすべての月で2019年の方が多い。1社あたりの平均資金調達金額は、2019年が3.4億円、2020年が4.5億円となる。2020年は、資金調達実施企業数が減少する一方で、1社あたりの平均資金調達金額は増加している。
1社あたりの調達金額の内訳を見ると、10億円以下の資金調達をした企業は減少していたが、10億円以上の調達を実施した企業は2019年に比べ増加している。この点が資金調達金額合計に影響したと言える。以上の結果から、スタートアップマーケットはコロナによる下火には陥っていないのではないかと言及した。

なお、2020年上半期(1~6月)の国内スタートアップの資金調達金額ランキングは以下の通りとなっている。
「オフグリッド電力供給サービス」を展開するVPP Japanは、3月にみずほ銀行をエージェントとしたシンジケートローンによって総額100億円の資金調達を実施。2021年までに、国内の流通サービス500施設、累計100MW自家消費太陽光の導入を進めていく見込みとなっている。

続くAPBは、次世代電池として期待されている「全樹脂型電池(All Polymar Battery)」の製造、販売をおこなう慶應義塾大学発のスタートアップ。3月に総額80億円の資金調達を完了、6月には豊田通商を引受先とする資金調達を発表している。この調達は、全樹脂電池の量産工場設立を目的としており、全樹脂電池の量産技術の確立、製造販売の開始に向けての投資に充当する方針だ。

また、2020年上半期に投資を実行した投資家は以下の通りとなった。
系統に注目すると、系統に注目すると、金融系VCと独立系VCが寡占していることがわかる。大手銀行系VC3社がそれぞれ20件以上で上位を占めており、13社のうち8社は独立系VCという結果となった。

投資件数最多・金融系VCのみずほキャピタルは、成長支援ファンドをはじめ、ライフサイエンスファンド、グロースファンド、Fintechファンド、事業継承ファンド、6次産業化ファンドなどの運用を実施。8月時点で、同社が支援した企業の累計上場社数は843社に及んだ。

また、独立系VCでは投資件数最多となるフューチャーベンチャーキャピタルは、地方創生ファンドや事業会社とのCVCファンドの運用などに取り組んでいる。「開業率を高める創業ファンド」や「廃業率を下げる事業承継ファンド」、「地域に事業を創造するCSVファンド」の事業モデルを設計し、積極的に地域への展開。また、アーリーステージの企業への積極的な投資も特徴としているVCだ。