ロシアでロゴデザイナーとして活躍するニコライ・イロノフ(Nikolay Ironov)。カフェや理髪店、クラフトビールや食品など、多くの商業ロゴをデザインし、クライアントからも好評を得ていたという。そんな彼が実在する人物ではなく、AI(人工知能)であったことが明らかになった。

ニコライ・イロノフが所属するのは、ロジア・モスクワに本社を置くデザイン会社「アート・レベデフ・スタジオ(Art. Lebedev Studio)」。同社は、ホームページ内で彼を「リモート従業員」として紹介していたが、2020年6月にAIデザイナーであることを発表。クライアントは1年以上もの間、依頼したデザイナーがAIであることを知らなかった。
ニコライ・イロノフは、クライアントに関する情報を分析し、コンセプトを構築。カラースキームや3Dモデルなどを生成することによって、デザインを完成させる。約1年間で20以上ものプロジェクトに参加し、独創的なデザインを生み出してきた。 AIによる意思決定は、さまざまなデータ分析システムと画像ジェネレーターの組み合わせによってなされている。非常に複雑なアルゴリズムを使用しているため、何を基準にデザインを選択するのかは予想不可能だという。そのため、周囲の環境やしがらみなど、外部要因に左右されることのないデザイン生成を実現している。また、AIゆえに、病気になることもなく、24時間いつでも対応が可能だ。

同社によると、この技術はまだ開発中であり、今後は、グラフィックデザインにとどまらず、工業デザインや建築、ファッションなどあらゆる業界での適用を視野に入れているという。