任意団体NPO ZIAI(以下:ZIAI)は、SNS上に投稿された自殺関連キーワードを自動で収集し、アカウント名や投稿内容を整理して一覧化、ワンクリックで該当者へのアプローチを可能にする自殺検知システムのβ版をリリースした。
令和元年の自殺者総数から逆算すると、日本では毎日55人が自殺をしている結果がでており、自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)はG7のなかで最下位。特に10代後半から20代の男女では、死亡原因の第一位が自殺という状況が続き、自殺による経済損失は年間数千億円にのぼると言われている。また、現在日本で強化している自殺防止対策の取り組みは、自殺に関連するキーワードを主要インターネットメディアに記載・検索・投稿すると厚生労働省や関係NGO、各地域の相談窓口が自動的に表示される「プル型」の仕組みとなっており、実際の相談件数は約2万件と、年間53万人と言われる自殺未遂者の推計に対し、全体の4%という結果となっている。

この結果を踏まえてZIAIは、彼らからのSOSを受け身で待つのではなく、社会からその声を拾い上げる「プッシュ型」の仕組みが必要不可欠であると考え、システムをリリース。SNS自殺検知システムは、インターネットオープンソース上の自殺関連投稿データをリアルタイムで自動収集し、ハイリスク者に対して連絡を行うAI自殺検知システム。アカウント名や投稿内容を整理して一覧化し、AIアルゴリズムとプロのカウンセラーの視点を掛け合わせ、ハイリスク者と判定された方のみにワンクリックでメッセージを送ることが可能となっている。

今後はオンライン相談を実施する関連NGOや教育・医療機関と連携し、返信者に対するオンライン・オフライン双方での介入を進めることで、社会からSOSの声を拾い上げる世界の実現を目指していく。