Spectee、日本気象協会、NCTは、道路に設置されたNCTのカメラの映像をもとに、AIで道路の路面状態をリアルタイムに判別する実証実験を行う。2021年2月に、新潟県長岡市にて実施する。
新潟県では、毎年のように雪による交通事故や交通渋滞などの道路雪害が起きている。最近でも昨年末から続く豪雪の影響で交通障害が発生し、交通機関に大幅な影響をもたらした。

Specteeと日本気象協会は、2019年からカメラ映像に着目し、最新のAI技術を駆使した冬季の各種防災情報の取得とリアルタイム提供サービスを共同で開発している。AIによって道路の「路面状態」と「階級別視程」を判別する技術を、新潟県内でNCTが保有する道路情報カメラに応用。今回、AI技術の利活用検討と精度検証を目的に実証実験を行う。

道路の路面は降水や降雪の有無や気温によって、乾燥、湿潤、シャーベット、凍結、積雪等の状態に変化する。路面状態によって路面とタイヤのすべり摩擦係数が異なり、特に、凍結や積雪では道路がすべりやすくなるため、凍結防止剤の散布や除雪作業が必要になる。

また階級別視程とは、気象用語で大気の混濁の度合いを示す。水平方向における見通せる距離を「視程」といい、50m未満、100m未満、200m未満、300m未満、300m以上と分けた視程を「階級別視程」とする。降雪や吹雪によって視程は悪化し、著しい時には前がまったく見えないと感じる「ホワイトアウト」が発生することもあり、大きな事故につながる恐れがある。「路面状態」と「階級別視程」を把握することは、安全・安心な道路交通を確保するうえで極めて重要な情報となる。

これまでは、冬場の降雪や凍結などの道路の路面状態については、計測機器が設置されている地点の情報しか得ることができなかった。今回の実験では、広範囲に設置されたカメラの画像を用いてAIで判定することで、降雪や吹雪による視程や路面状態の面的な分布が得られるため、より網羅的な実況把握が可能になる。また、近年の激しい気象変化には、よりリアルタイムなデータをもとに迅速な初動対応が必要になっている。詳細な路面状態をAIでリアルタイムに把握できる今回の技術を、積雪寒冷地における雪害の減災や交通障害の予防、また路面凍結やホワイトアウトへの注意喚起、交通安全に役立てていく。

今回のカメラを使ったAIによる路面状態の自動判定は、道路の安全管理に必要な網羅的なデータを取得するのに役立つとともに、自動運転などのMaaS技術への応用も期待される。今後は、新潟県のみならず全国に展開し、道路管理者や自治体など、道路の安全や防災に関わる事業者での適切な安全管理、将来的な自動運転技術の推進への貢献を目指す。