国内電通グループのデジタル広告領域を牽引するサイバー・コミュニケーションズ、D2C、電通、電通デジタルの4社は、電通が2021年2月に発表した「2020年 日本の広告費」の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、さらに2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表した。

<調査概要>
調査時期:2020年12月~2021年2月
調査方法:以下の調査に基づき、推定作業を実施
1.インターネット広告媒体社等を対象としたアンケート調査(郵送調査/Web調査)
※「2020年(令和2年)日本の広告費  インターネット広告媒体売上 についてのお伺い」として実施
2.追加ヒアリング調査
3.各種データ収集・分析

2020年の世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響により、日本の総広告費は6兆1,594億円(前年比88.8%)となり、秋以降に回復の兆しが見られたものの前年を大きく下回る結果に。このような状況下で、「インターネット広告費」は新型コロナの影響を受けたものの成長を続け、「マスコミ四媒体広告費」に匹敵する2.2兆円規模、総広告費全体の36.2%の市場となった。

また、「インターネット広告費」から「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、運用型広告のさらなる拡大や巣ごもり需要によるソーシャル広告や動画広告の増加により広告費1兆7,567億円(前年比105.6%)との結果になった。

以下が詳細分析の結果となる。
 
■インターネット広告媒体費の広告種別構成比
2020年のインターネット広告媒体費は、1兆7,567億円(電通「2020年 日本の広告費」より)。そのうち構成比が高いのは検索連動型広告(38.6%)とディスプレイ広告(32.6%)で、あわせて7割を占めた。ビデオ(動画)広告は前年比121.3%の3,862億円と伸長し、全体の2割を超える結果に。次いで、成果報酬型広告(5.6%)、その他のインターネット広告(1.1%)の結果となった。

【広告種別の定義】
・ディスプレイ広告:サイトやアプリ上の広告枠に表示する画像、テキストなどの形式の広告およびタイアップ広告。
・検索連動型広告:検索サイトに入力した特定のワードに応じて、検索結果ページに掲載する広告。
・ビデオ(動画)広告:動画ファイル形式(映像・音声)の広告。
・成果報酬型広告:インターネット広告を閲覧したユーザーが、あらかじめ設定されたアクションを行った場合に、メディアや閲覧ユーザーに報酬が支払われる広告。
・その他のインターネット広告:上記以外のフォーマットのインターネット広告。メール広告、オーディオ(音声)広告など。
■インターネット広告媒体費の取引手法別構成比
現在の主流となっている運用型広告は、インターネット広告媒体費全体の8割を超え1兆4,558億円となった。一方、予約型広告と成果報酬型広告は秋以降に復調の兆しが見られたものの、新型コロナ拡大による出稿控えの影響を受け、「予約型広告」(前年比87.5%)、「成果報酬型広告」(同93.9%)といずれも減少する結果に。

【取引手法の定義】
・運用型広告:検索連動型広告、およびデジタル・プラットフォーム(ツール)やアドネットワークを通じて入札方式で取引されるもの。
・予約型広告:純広告やタイアップ広告として、代理店・メディアレップ経由もしくは直接広告主に販売されるもの、およびデジタル・プラットフォーム(ツール)やアドネットワークを通じて非入札方式(固定価格)で取引されるもの。
・成果報酬型広告:インターネット広告を閲覧したユーザーが、あらかじめ設定されたアクションを行った場合に、メディアや閲覧ユーザーに報酬が支払われる広告。
 
■インターネット広告媒体費の取引手法別×広告種別構成比
運用型の検索連動型広告が全体の38.6%と最も構成比が大きく、次いで運用型のディスプレイ広告が25.7%と続いた。また運用型の「ビデオ(動画)広告」が前年比127.2%と大きく伸長し、インターネット広告媒体費全体における構成比は18.3%となった。「ディスプレイ広告」の予約型は前年比80.1%と減少した一方で、運用型は同112.1%で伸長した。
■ビデオ(動画)広告市場
ビデオ(動画)広告費3,862億円のうち動画コンテンツの間に挿入されるインストリーム広告は1,800億円(構成比46.6%)で、Web上の広告枠や記事のコンテンツ面等で表示されるアウトストリーム広告は2,063億円(構成比53.4%)となった。また、取引手法別でみると運用型広告が3,206億円となり、8割以上を占めている。

【ビデオ(動画)広告の定義】
動画ファイル形式(映像・音声)の広告。以下の様なものを含む。
・インストリーム広告:動画コンテンツの前、中、後に再生する動画ファイル形式の広告。
・アウトストリーム広告:ディスプレイ広告枠等の動画コンテンツ外で表示される動画ファイル形式の広告。Web上の広告枠や記事のコンテンツ面等で表示されるインフィード広告で動画ファイル形式のものも含まれる。
ビデオ(動画)広告種類別構成比
ビデオ(動画)広告種類別構成比
ビデオ(動画)広告取引手法別構成比
ビデオ(動画)広告取引手法別構成比
■ソーシャル広告市場
ソーシャルメディアのサービス上で展開されるソーシャル広告は前年比116.1%の5,687億円と高い成長率で推移し、インターネット広告媒体費全体の3割を超える結果に。また、ソーシャルメディアの種類別に「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、「SNS系」が2,488億円で最も規模が大きく、前年と比較すると「動画共有系」が大きく伸長した。

【ソーシャル広告の定義】
「ソーシャルメディア※」のサービス上で展開される広告
※ユーザーが投稿した情報をコンテンツとし、ユーザー間で共有・交流するサービスを提供するメディア(プラットフォーム)
<JIAA「インターネット広告掲載に関するガイドライン集/基本実務・用語集 2020年度版」より>
ソーシャルメディア例:SNS/ブログサービス/ミニ(マイクロ)ブログ/動画共有サイト/ソーシャルブックマーク/電子掲示板 など

【ソーシャル種別の定義】
SNS系はSNSプラットフォーム、動画共有系はユーザー投稿型動画共有サイト、その他はブログや電子
ソーシャル広告構成比推移
ソーシャル広告構成比推移
ソーシャル広告種類別構成比
ソーシャル広告種類別構成比
■インターネット広告媒体費総額の推移(予測)
2021年のインターネット広告媒体費は昨年から続く新型コロナの影響で見通しづらいものの、前年比107.7%、1兆8,912億円まで拡大し、継続した成長が続くと予測。
■ビデオ(動画)広告市場の推移(予測)
2021年のビデオ(動画)広告は前年比110.4%と伸長し4,263億円まで拡大すると予測。