朝日新聞は、「朝日新聞デジタル」などの運営するデジタル媒体において、記事コンテンツの文意・文脈をAIによって解析し、関連した広告を配信する新たなサービス「コンテクスチュアルターゲティング」を11月9日より開始した。Cookie規制の強化や「改正個人情報保護法」の施行に伴い、ユーザーの閲覧履歴の活用が難しくなることを見据えたサービスの一環となる。

当配信サービスは、デジタル広告の検証・不正対策「アドベリフィケーション」に取り組む、Integral Ad Science(インテグラル アド サイエンス、以下IAS)と共同で開発を行った。IASとの共同開発としては、日本のメディアで初めての展開となる。

このサービスはユーザーの閲覧履歴(3rd Party Cookieを活用)に基づいた従来のターゲティング広告とは異なり、記事コンテンツの文脈(コンテクスト)をAIが解析し、それに関連した広告を配信する、プライバシーに配慮した安心・安全な広告体験を提供するものである。

さらに、「ユーザーのコンテンツ閲覧時(モーメント)の心情・心理(エモーション)をくみ取る」 ことも目指して、「エモーショナルアド」という概念に進化させていく。具体的な運用例では、ITツールの広告を配信する際に、「BtoB」という区分(セグメント)を指定した際には、企業経営、チームマネジメント、ITといった話題を取り上げた記事コンテンツに広告を配信することができる。経済系の記事以外でも、AIの解析により、例えばチームマネジメント・コーチングに関わるスポーツニュースも配信対象とすることが可能となる。AI解析で、配信先の記事コンテンツの内容がポジティブか、ネガティブかを判定する能力も備えている。

記事コンテンツの文脈に合わせて、自然な流れで広告を訴求することで、ユーザーに不快感や嫌悪感を与えることを防ぐことができるのは、広告主にとってもメリットとなり、従来よりも広告商品への関心が高いユーザーによるCTR(クリック率)やエンゲージメントの向上などの訴求効果も期待ができる。