PR TIMESは、プレスリリースの可能性拡大に貢献した企業と担当者を讃える「プレスリリースアワード2021」の受賞企業を発表した。初開催となる今回は、2020年10月1日~2021年9月30日に発信されたプレスリリースが審査対象となる。世界初のプレスリリースが発表された10月28日「プレスリリースの日」から募集を開始し、約1カ月間で総計420件のエントリーが集まった。一次審査を通過したのは32件。最終審査を経て、8件のプレスリリースの受賞が決定した。

受賞したプレスリリースは以下の通り。
<インフルエンス賞>
発信と活用により社内外へ最も広く好意的な影響をもたらしたプレスリリースに贈る賞

AOKI 飽田翔太/比本佳奈
「AOKI創業以来、類のないスーツ!? マスクに次ぐ新生活様式対応商品第2弾「パジャマスーツ™~パジャマ以上おしゃれ着未満~」発売」

受賞理由(審査員:近見竹彦)
ネーミングを含めタイトルに強いインパクトがあり、商品のユニークさをうまく表現している。コロナ禍における新生活様式という時流に合わせた提案性をポイントとしており、なおかつお客様サポートという企業姿勢に効果的に誘導している。マスクでの成功ということをリードに使っており、構成の巧みさが感じられる。視覚表現が明快で印象度が強い。商品特性などがわかりやすく的確に盛り込んであり商品理解をサポートしている。
<ソーシャル賞>
社会とのつながりを表現し深めることに最も貢献したプレスリリースに贈る賞

ニュー・オータニ 湯本健太郎/中島眞介/渡辺武/髙山剛和/岡田宜久
「緊急事態宣言中は1479室すべてがあなただけのレストランに!料理120種、ワイン&カクテル300種をお部屋で楽しむ『スーパールームサービス』」

受賞理由(審査員:吉川明日香)
数字を連打するタイトルから迫力が伝わってくる。本文からは、コロナで世界中が沈む中を明るく盛り上げようとする気概、姿勢が感じられた。一体どうやってこれだけの数を実現したか気になるところだったが、応募の書類からわずか1日足らずで準備された取り組みであったことがわかり、大きな驚きがあった。はしばしから危機感と本気度が伝わりながらも、悲しさはなくあくまで前向き。人々がコロナの中で渇望していたもの、優れたスタッフの方とサービスが揃っておられるのではないかと想像するような内容だった。写真クオリティも目をひくところであった。
<パブリック賞>
情報の平等と信頼を実現することに最も忠実なプレスリリースに贈る賞

松浦産業(PRorder) 松浦英樹/長尾孝/平田貴子/武部美穂/末川洋平
「ニッチトップメーカーによる売上比較『紙袋用取っ手』44%減、一方需要が増加する『取っ手だけ』のタックハンドル」

受賞理由(審査員:浦野有代)
紙袋用取っ手44%減、とコロナやレジ袋有料化後の事実を伝えたうえで、「需要増」のタックハンドルを打ち出すデータの対比で情報への関心を引いた。サステナブルに対する世間の価値観の変化が表れた考察をしながら、環境配慮型の商品の取り扱いにも触れ、企業の姿勢も示している。
<エンパシー賞>
受け手の心を動かし共感を育むことで最も飛躍したプレスリリースに贈る賞

テレワーク・テクノロジーズ 荒木賢二郎/坂口こうじ
「1日14時間で取り戻せる『締切に追い込まれた方』専用テレワーク個室プラン登場、1時間330円から『テレスペ』」

受賞理由(審査員:三島映拓)
笑わずには読めない楽しいプレスリリース。その一方で緻密な発想の転換により、何もないことを価値に変えて共感を呼んだプレスリリースでもある。当初このテレワーク個室事業の発表では空振り状態となり、自社の言いたいことでなく利用客に求められることを追求し直して、新プランを改めて出したという事実を知って合点がいった。視点を利用客に置いたことで、こんな状況あるあると共感を呼ぶ内容での訴求に成功している。「締切に追い込まれた方」専用テレワーク個室という笑える打ち出しが、机と椅子しかない個室を正当化するという発想の転換となって見える。また、締切に追い込まれた「方」「方々」「チーム」に分けて説明が展開されるのも笑いを誘う。実際に話題化と利用にも繋がった事実があり、視点の置き方でマーケティングに成功した発表例だと考えた。
<ヒューマン賞>
プロダクトや社員、顧客に対する愛と情熱が最も感じられるプレスリリースに贈る賞

冨士屋製菓本舗 北野雅江/白浜洋平
「毎年完売!節分限定・伝統の味付けの『助六豆(福豆)』が最強のおつまみに変身」

受賞理由(審査員:河炅珍)
自社商品はもちろん、従業員への愛が感じられるプレスリリースだった。商品だけでなく、それを企画し、実際、作っている社員に光を当てることで、会社の人間的魅力がよく伝わっていた。そうした信頼関係は読み手/消費者にも響く力を持っていると思う。社外への情報発信としてはもちろん、社内の従業員に贈るメッセージとして、プレスリリースがインターナルコミュニケーションの場面でも役立つ事例としても高く評価をした。
<ストーリー賞>
人に語りたくなるストーリーを最も有しているプレスリリースに贈る賞

花王 後藤良子/仲川喬雄/瀧澤浩之/飯倉寛晃/山本佳乃
「蚊の嫌う肌表面をつくり、蚊に刺されることを防ぐ技術を開発」

受賞理由(審査員:池田光史)
研究論文は引用こそされていないようだが(Google Scholarによる)、純粋にとても興味深い内容であった。タイトルをこねくりまわすことなくド直球で打ち出しているのも高評価。なにより、今年の夏も例年通り苦しめられた蚊が、いかにして人肌に降り立つのか、という知的好奇心を満たす。なるほど、脚を引っ張られると感じたら、蚊は脅威とみなしてすぐに逃避してしまう! 「なぜ、蚊が嫌う表面に着目したのだろう」「どうして自然界にも濡れ現象を利用した蚊よけが存在するのではないか、という仮説を立てられたのだろう」等々、ジャーナリストとして研究者たちにもっともっと話を聞いてみたい、と思わせてくれる。
<イノベーティブ賞>
既成概念に縛られずプレスリリースの表現や用途を最も拡大したプレスリリースに贈る賞
※今年度該当なし

<特別賞>
上記賞にあてはまらないが表彰したいプレスリリースや発表者の行動を讃える賞

川上産業 杉山彩香/林久美子/石黒朋子/佐藤浩司/鈴木健夫/小森智/大谷内裕司
「プチプチ、53年目の超進化。四角くて、手でまっすぐに切れ、ぴったりサイズにできる新プチプチその名も『スパスパ』爆誕! 」

受賞理由(審査員:浅岡基靖)
巣ごもり需要、メルカリなどCtoC活況の時代の困りごとをうまくとらえた商品。定番「ぷちぷち」のありそうでなかった新たな活用法がよくわかるリリース。ハサミ不要で切りやすいだけでなく、四角なだけに実現したメジャー機能の工夫になるほどと唸る。起承転結のストーリーが描きやすく、映像イメージも沸く、シンプルながらも理想的なリリースといえる。
クロシェ 村岡乃里江/沼部美由紀/香川あゆみ/三井化学
「『クロシェ』三井化学の新素材、HUMOFIT(R)を活用した『記憶する靴』farfalle
CLASSICALから、自分で足型を作れるパンプスを発売」

受賞理由(審査員:井上岳久)
数年かけて開発した渾身の画期的な商品を上手に訴求。難しく説明しづらい技術をわかりやすい動画を駆使して伝えているのも良い。また、タイトルが「記憶する靴」という訴求力があるワードを使い興味喚起しているのが秀逸だ。「記憶する」靴とは、どのようなものか? とついつい最後まで読んでしまった。テレビ番組と組んでワード開発をし、それを他メディアでも応用していく手法は広報戦術としても優れている。