バンダイナムコグループの「ガンダムプロジェクト」は3月29日、「第3回ガンダムカンファレンス」を開催した。

第3回となる今回のカンファレンスでは、ガンダム事業統括者であるチーフガンダムオフィサー(CGO)藤原孝史氏が登壇。ガンダムのIP価値を向上させ、SP(Social Property/社会的アイコン)として成長させるための構想として、新たにワールドワイド戦略軸、作品軸、GUDA(※)軸のプロジェクトをスタートさせることを発表した。

※ガンダムを通じて社会問題を考えるサステナブルプロジェクト「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」の略称。

ワールドワイド戦略軸では、バンダイナムコグループが4月から掲げる中期ビジョン「Connect with Fans」のもと、その重点戦略の一つである、IPでファンとつながるための新しい仕組み「ガンダムメタバースプロジェクト」について、今後の展望を発表した。作品軸では、2022年ガンダムシリーズ TVアニメーション最新作の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』についての最新情報を、GUDA軸では、社会課題に対してガンダムと未来技術を掛け合わせることにより未来の夢と希望を現実化するプログラム、「ガンダムオープンイノベーション」に関する続報を発表した。

「ガンダムメタバースプロジェクト」が目指す姿
バンダイナムコグループは、4月からグループの最上位概念となる「パーパス」の導入を行うとしている。特に重要な要素は、“つながる”、“ともに創る”という要素で、バンダイナムコとファンが「夢・遊び・感動」を通じてつながることで“Fun for All into the Future”を実践していく。

このパーパスのもと、世界中のIPファン、あらゆるパートナー、グループ社員、社会と常に向き合い、深く、広く、複雑につながる存在を目指すため「Connect with Fans」という中期ビジョンを掲げている。

新中期計画では、バンダイナムコグループの強みであるIP軸戦略を重点戦略の一つとしており、IPでファンとつながるための新しい仕組みとしてIPごとのメタバースを構築していく。その第一弾として「ガンダムメタバース」の開発に着手する。この「ガンダムメタバース」の目指す姿は、世界中のガンダムファンが集い、語り合い、さまざまなカテゴリーのコンテンツに出会い、ふれあう場の創出となる。

今後の展望として、すぐにメタバース空間の完成形を目指すのではなく、段階を踏んで基盤を構築する予定だ。まずは、カテゴリーごとにバーチャルコミュニティーを創出し、それらをバンダイナムコグループ共通アカウントであるバンダイナムコIDにより連結する。
「ガンダムメタバースプロジェクト」バンダイナムコIDでの連結イメージ
「ガンダムメタバースプロジェクト」バンダイナムコIDでの連結イメージ
創出したバーチャルコミュニティーは、ガンダムの世界観になぞらえ、仮想空間という広大な宇宙にあるスペースコロニーとし、それらをつなぐことでひとつの「ガンダムメタバース」宙域、「SIDE-G」を創り上げる。今後「SIDE-G」を構成するアニメ、ガンプラ、ゲーム、音楽など、さまざまなカテゴリーが主体となるスペースコロニーが、続々と仮想空間内に打ち上げられていく予定となっている。

「SIDE-G」への歩み
「ガンプラコロニー」
「SIDE-G」の完成を目指して、ガンプラに関わるさまざまな体験を提供する仮想空間、「ガンプラコロニー」を最初に打ち上げる。

2021年にテスト運用を行った、世界中どこからでも遊びに行くことができるヴァーチャルガンプラエンターテインメント総合空間「ガンダムベースヴァーチャルワールド」を、「ガンダムベースガンプラコロニー店」として今秋に期間限定テストオープン予定。

また、バンダイナムコIDによるマイルーム機能を実装し、ガンプラの作品を通したコミュニティーを形成する。さらに、ガンプラをスキャンして戦うことができる「ガンプラバトル」や「ガンプラコンテスト」の開催、ガンプラオンライン講座など、デジタルとフィジカルを融合させたエンターテインメント区画を充実させ、「ガンプラコロニー」の完成を目指すとしている。
「ガンダムベースヴァーチャルワールド」
「ガンダムベースヴァーチャルワールド」
「esportsコロニー」
次に打ち上げるコロニーは、2023年の完成に向け鋭意建設中の「esportsコロニー」である。まず、「esportsコロニー」の皮切りタイトルとして、2022年に『GUNDAM EVOLUTION』を正式稼働。同タイトルは、esportsに特化したガンダム初のFPSゲーム(※)。ガンダムという作品の魅力を最大限に生かしつつ、FPSゲームとして最高峰の楽しさを提供するという2つの要素を高次元で両立させている。6vs6のオンラインマルチプレイ『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』と合わせ、日本国内だけでなく海外にも広く展開し、世界中から参加できるゲームコミュニティー、「esportsコロニー」を生み出す。

※一人称視点のシューティングゲーム(First Person Shooter)の略称。

まずは、『GUNDAM EVOLUTION』の正式稼働に先駆け、4月8日よりPC版のネットワークテストを日米同時に実施予定。
『GUNDAM EVOLUTION』『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』
『GUNDAM EVOLUTION』『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』
ガンダムにおける他企業の参入およびCtoCビジネスの推進
さらに、近い将来にはバンダイナムコグループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入促進、また、一般ユーザーによるガンダムを活用したビジネス可能な場の提供を目指し、ガンダムにおけるUGC(User Generated Content)を許諾し、CtoCビジネスを推進する予定としている。

キャラクターの権利が保全されたメタバースを構築し、同取り組みを実施することで、新たなガンダムのビジネスが生まれ、ファンと共創したガンダムIPのさらなる拡大につながることを目標としている。 
「ガンダムメタバースプロジェクト」イメージ
「ガンダムメタバースプロジェクト」イメージ
「ガンダムメタバースプロジェクト」では、カテゴリーごとのスペースコロニーを随時打ち上げ、 「SIDE-G」を構築する。仮想空間上ではあるが、世界中のガンダムファンが集う大規模な生活圏の構築を目指すとともに、バンダイナムコグループ以外の企業の参入やCtoCビジネスの推進により、新たな経済圏を創出する予定だ。