博報堂DYホールディングスは、5月31日、アバタープラットフォームサービスの共同開発を目的として、VRCに対して新株予約権の引受による出資を行い、資本業務提携契約を締結した。今回の資本業務提携によって、3Dアバターを活用したコンテンツ/IP(intellectual property:知的財産)体験の提供や、新たな生活者エクスペリエンスの研究、マーケティング/ビジネスソリューションの創出に向けた動きを今後さらに加速する意向だ。
博報堂DYホールディングスとVRCが共同研究を進める3Dアバター試着サービス「じぶんランウェイ」イメージ
博報堂DYホールディングスとVRCが共同研究を進める3Dアバター試着サービス「じぶんランウェイ」イメージ
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、アパレルやヘルスケアのコミュニケーション領域においても生活者の顧客体験が大きく変化している。新しい生活様式を模索するなかで、最先端3D技術の利活用にも注目が集まり、実空間やメタバースにおいて、3D技術や3Dアバターを活用した新たな情報サービスへのニーズが一段と高まっている。

博報堂DYホールディングスは、先端テクノロジーによって新たに生まれる生活者との接点を「生活者インターフェース」と捉え研究を進めている。そのなかでも、「アバターサービスプラットフォーム構想」と呼ばれる博報堂DYグループ独自のサービスの実現を目指している。これは、生活者が一度専用筐体でスキャンした自身の3Dアバターを生成するだけで、複数のアバター体験が可能となる仕組みだ。こういったアバター技術を活用したマーケティングの可能性を拡大する狙いのもと、これまで研究に取り組んできた。アバター生成の技術開発は近い将来、実空間のみならずメタバース空間においても、「生活者と生活者」、「生活者と企業」とをつなぐ新たな接点となることが予測されている。そこに新たな消費行動やサービス体験が生まれることを期待した考えに基づいている。

同構想では、複数にまたがるアバターサービスで発生する行動データを統合管理し、取得した結果をもとにユーザーの嗜好性および行動をAI技術などを用いて予測するレコメンドエンジンを開発。利用時に発生する本人の嗜好性やTPOに応じたエクスペリエンスを提供していくというビジョンを描いている。
VRCは、実生活の課題をバーチャルにより解決するというミッションのもと、「Ubiquitous Avatar Platform(ユビキタス アバター プラットフォーム)構想」を提唱しており、3Dアバターを中心としたクラウド型プラットフォームサービスを提供することで、社会生活の課題解決に取り組み、人々の生活をより良くすることを見据えて活動していくとしている。

また、博報堂DYホールディングスは、2021年にVRCと3Dアバター技術利活用の共同研究契約を締結している。傘下の博報堂とVRCは、生活者のアバターがバーチャル空間で同時複数試着体験が可能となる3Dアバター試着サービス「じぶんランウェイ」のプロトタイプ開発など、3Dアバター技術の利活用について共同研究を進めてきた。両者はお互いの目指すビジョンに共感するなかで、それぞれの強みを掛け合わせてアバタープラットフォームサービスの共同開発を加速していくことを目指し、今回の資本業務提携に至ったとしている。