6月27日、産経新聞と電通グループのデータアーティストは、AIを利用して新聞広告を紙面に配置するシステム「AI割付」を共同開発した。

新聞広告はクライアントの要望に応じて、掲載日や掲載面などの条件、同一業種や同一製品などが重ならないように、人の手によってさまざまな要望を勘案して新聞広告を配置してきた。しかし、この作業をAIが行うことにより、迅速で効率的割り付けが可能となる。移行期間を経て、今夏にも実装予定としている。
昨今、新聞広告は、ダイレクト通販などの直接的な反響を求める広告主からの出稿が多い傾向にある。特に、それらの広告主は、同業他社や自らの商品やサービスと同系統の内容を同じ日に掲載しないよう要望することが多くみられる。また、掲載面によってのカラー・モノクロ掲載の調整など、すべて加味しながら掲載まで進行する。本システムは、それら諸条件をAIに読み込ませて瞬時に割り付けを完成させることで、一連の作業でかかる膨大な調整事項を軽減し、より効率的かつ最適な紙面割付を目指す。

また、今後は「AI割付」を読者にとっても有意義なものに発展させるため、システムのなかにさまざまな外部情報を取り込むことで、時宜を得た広告の掲出を可能とする構想もある。例えば、梅雨明けのタイミングに合わせてアイスクリームの広告を出すなど、より最適なタイミングで最適な広告を出せるようなシステムに進化させる方向だ。

本システムは、新聞広告の可能性を広げるのみならず、デジタル技術の活用により既存業務を変革する「DX」の一例として、さまざまな媒体への広がりが期待されている。