「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、日本全国の知的な障がいのある作家とともに福祉を起点とした新たな文化の創造を目指すヘラルボニーは、知的障がいのある人の投票における課題を可視化し、選挙に参加しやすい環境をつくるアクション「#CAREVOTE」を提唱した。

アクションの一環として、7月8日の岩手日報朝刊別刷にて、知的障がいのある人とその家族が選挙に参加するための補助となる「やさしい投票ガイド」を公開した。同ガイドは、知的障がいのある人に向けたわかりやすい文章や表現に関してスローコミュニケーションの監修のもと作成しており、PDF版も特設Webサイトよりダウンロードすることができる。
「#CAREVOTE」は、投票について一人ひとりが考えるためのアクションとなっている。知的障がいのある人のなかには、社会や環境の側にあるさまざまな障壁から、選挙に関する情報を受け取ることや、投票を行うことが困難な人が存在する。「#CAREVOTE」を通じて、このような障壁が見過ごされず、一人ひとりが自分の大切な一票について考え、声を上げることで、知的障がいのある人だけでなく、誰もが人間としての普遍的な価値を尊重される社会の実現を目指す。

なお、今回のアクションは、今年度7月の参議院選挙にあわせ、選挙や投票における社会側の障がいについて考え、議論するきっかけになることを期待して実施された。「#CAREVOTE」の提唱とともに、同社の考える、知的障がいのある人が投票に行きたいと思ったときに役立つ情報をまとめたガイド「やさしい投票ガイド」も作成し、公開している。

発行にあたり、知的障がいのある人に向けたわかりやすい文章や表現に関して多数の実践例を有するスローコミュニケーションが監修。左面には「字を書けなくてもよい」「メモを持っていってもよい」といった投票に向けた準備情報を記載。右面には「代わりに書いてください」「わかりやすく説明してください」といった投票所で困ったときに役立つ情報を記載している。
同社代表の松田崇弥氏と副代表の松田文登氏は、知的障がいのある人は投票することが「できる」のに、あまりにも障壁があるため「できない」ことがあると述べる。そこで、やさしい情報づくりを行い、やさしい社会の土台をつくるため、本アクションが展開された。両氏は、知的障がいのある人の「一票」が現代社会に受け入れられることは、「普通」を肯定する社会ではなく、「ありのままの姿」を肯定する社会や文化の醸成につながっていくと言及する。