電通九州とFusicは、2022年7月に発表された電通グループと宇宙航空研究開発機構との「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」に基づき、衛星データを活用した広告の高度化と需給連携の最適化に向けた活動を開始する。

この活動では、まず人工衛星で圃場を観測し、農作物の収穫時期と価格予測を行い、売れやすい時期を推定。このタイミングをとらえて、運用型テレビ広告システム(RICH FLOW)を使い、調味料などのCMを組み替えで増やす。広告投下を最適化することで、農作物と関連食品の購買を促していく。これにより、生産者・食品製造・広告・小売までを連携させて需要を喚起し、恩恵を分かち合う仕組みを実現する。さらには農作物の廃棄低減への貢献も目指していく。
なお、衛星データの解析に関しては、Fusicが電通グループとJAXAの「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ」の連携協力者として、解析と価格予測モデルの構築を行う。

今回の活動に先駆けて2021年、電通九州とFusicは、福岡県およびリングランサの協力を得て、実証実験を実施。NDVI(植生指数、植物の量や活力を表す)のピークと圃場のイベントは同期していることから、NDVIの時系列データを確認することで、人工衛星を使った生育状況の予測は可能であるという知見を得ている。

今後両社は、電通グループとともに、JAXAが進める衛星データの整備、データ補間技術の研究と連携し、ソリューション開発を進めていく。新しい取り組みによって、サプライチェーンでの衛星データの用途開発や「衛星データの地産地消モデル」の構築を目指す。