川田十夢(AR三兄弟)総合演出のもと、2021年より3年にわたって取り組まれてきた人体データのアーカイブ&発信プロジェクトの最新作品「VIRTUAL NIPPON BODIES(バーチャルニッポンボディーズ)2023」が、2月11日より特設アプリで公開される。
同プロジェクトは、「今記憶すべき日本の人体」を3Dデータとモーションキャプチャーデータとして、デジタルアーカイブしている。ARやVR、そのほかメタバース空間でのアバター表現などにも活用可能だ。2022年は、舞踏家、ダンサー、義足のパラ陸上選手、10代のプロスケートボーダー、日本の奇祭の担い手、和太鼓奏者などのデータを収録し、落語の口上に合わせてスポーツと芸術、エンターテインメントとアングラが一体となる作品を創作した。

集大成となる今回は、芸能·音楽分野より、小林幸子(歌手)、ヨネダ2000(お笑い芸人)、鎮座DOPENESS(ラッパー)、元・たまの石川浩司(シンガーソングライター)、伝統芸能より、いがみの権太+人形遣い(人形浄瑠璃 文楽)、音無史哉(笙)、伝統行事より、富山市のおわら風の盆(唄と踊りの民謡)、五島列島五島市のチャンココ(念仏踊り)を新たに迎え、芸術やスポーツを含めた総勢約20名のデータを特設アプリ「社会実験」上で「バーチャル身体図鑑」として一覧公開する。

アプリでは図鑑を鑑賞できるほか、それぞれの3Dデータとモーションキャプチャーを個別に組み合わせられる機能もあり、さまざまなパターンのパフォーマンスを目の前に作り出すことも可能だ。また、アプリを通して見ると立体的に情報が立ち現れる「標本ポスター」、身体カードと動きカードを重ね合わせると合体して図像が浮かび上がる実験的な「経験トレーディングカード」をオリジナル作品として、限定販売する。
プロジェクト出演者 小林幸子
プロジェクト出演者 小林幸子
公開日である2月11日には、プロジェクトの出演者をはじめ、 身体や文化財のデジタルアーカイブ、バーチャルイベントに関する有識者を招き、イベントをシビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]にて開催。制作舞台裏やアプリの楽しみ方の紹介や「デジタル身体データ」の保存と利活用をテーマにした作品制作の可能性、活用事例、今後の可能性などについて考える。

昨今、海外をはじめ国内でも「データをオープン化する」動きが活発になっているが、当初は3Dモデルの制作費用が高額であったこともあり、現在もまだその使い方が一般化されていない状況がある。今後、さらに3Dデータやモーションキャプチャーなどの技術が身近になることで進む身体のAR化により実現できる新たなアートやパフォーマンスの可能性を探る体験となる。