──外資系広告会社には、どのような会社がある?
一言に外資系広告会社といっても、海外の広告会社が日本支社・現地法人を設立して進出しているケースもあれば、国内広告会社との合弁で会社を立ち上げているケースもあります。前述のいずれの場合であっても、知っておきたいのは「メガエージェンシー」の傘下かどうかということ。英・WPP、米・オムニコム、仏・ピュブリシス、米・インターパブリックを「4大メガエージェンシー」と呼びますが、この傘下にある企業なのか、独立系の企業なのかは調べておいた方が良いでしょう。

また世界の広告会社が「4大メガエージェンシー」へと再編されていった背景を見ていくと、世界の広告ビジネスの組織モデルと日本との違いを理解することにもつながります。欧米の広告会社は、メディアエージェンシーやクリエイティブエージェンシーなど専門特化した組織を傘下に抱えている点が特徴。日本のような総合広告会社モデルは世界的に見て稀有なのです。そして、その時々に必要な専門性を獲得するため、メガエージェンシーは買収を重ねていきました。その結果として「4大メガエージェンシー」へと収斂されていったのです。

ちなみに、この4社に電通を加えた5社が世界の広告会社売上ランキングの上位5位を占めています。

──外資系広告会社ならではの仕事の特徴はありますか?
外資系広告会社の国内拠点で働く場合、欧米にある本社(あるいはアジア拠点として、シンガポールオフィスがハブになるケースも多い)が決めた広告施策を日本市場に向けてローカライズ、アダプテーションしていく仕事が中心になります。グローバルクライアントは広告のガイドラインが厳しく、日本法人が介入できる部分、できない部分の棲み分けが明確になっているためです。

もちろん、クライアントが日本企業の場合には、日本法人がコミュニケーションの核を企画することもあります。ただ、会社によってグローバルアカウントと国内で獲得したアカウントの比率は異なるので、仕事内容を理解するためには事前に調べておいた方が良いでしょう。

──外資系広告会社で働くメリットとは?
クライアント規模が世界レベルであることが大きなメリットです。各業界において世界で5位以内に入るような企業のブランディングやプロモーションの仕事ができるのは、やりがいを感じられるところだと思います。仮に日本国内に投下できる予算は少なくても、世界最先端のブランディングやテクノロジーを求めるクライアントを担当した経験は、今後のキャリアにおいて強みになると思います。

──キャリア採用では、どのような人が入社してる?
明確な成果が求められる職場環境であることから、即戦力人材が求められます。主に語学力がある人、または広告業界経験者を採用する傾向が強いです。また中途採用はアカウントベースで行われるのが一般的です。入社前から担当するアカウントと仕事内容が契約で定められており、頻繁にチーム異動が起こることはありません。

雇用形態は正社員、契約社員のどちらもあり得ますが、最終的には正社員化されている印象です。しかし雇用形態に関わらず、契約で決められたアカウントがなくなることでチームが解散となってしまう場合もあります。

また、入社時にリファレンスチェックを行う点も特徴。リファレンスチェックとは応募者の実績や勤務状況に偽りがないかを確認することで、前職の上司2名にお願いするのが一般的です。在職中の方にとって、内定前に現職の上司に依頼することは、転職活動をしていることが明らかになってしまうため難しいと思います。エージェント経由の応募であれば、チェック時期の調整など、スムーズに進行できるようサポートできます。

──どの程度の語学力が求められますか?
グローバルクライアント担当者の募集では、ビジネスレベル以上の英語力が求められます。国内クライアント担当の場合には、広告業界での経験が優先され、英語力が不問となる場合もあります。ただ長期的なキャリア形成を見据えたとき、昇進などのタイミングで将来的には語学力が求められることが予想されます。また円滑な社内コミュニケーションを図る上でも、英語力の向上は求められるといえます。

──応募する際に、気をつけることはありますか?
グローバルアカウントを担当するポジションや、英語力ビジネスレベル以上を求める募集の場合は、応募書類として英文レジュメを用意しておいた方がよいです。英語での面接、面接官が外国人という場合もあるので、英文でキャリアを棚卸ししておくことは面接対策にもなります。

またジョブディスクリプション(職務記述書)の内容を把握しておくべきです。担当アカウントや業務領域、役職ポジション、ミッション、求められるスキルなど、募集要項が詳細に記載されているからです。

──内定のオファー時に気をつけることは?
ジョブディスクリプションはあくまで募集時の条件のため、内定オファー時に提示されたオファーレターなどが最終的な条件です。そのオファーレターは契約書形式となっている場合が多いので、まずは契約内容を注意して確認しましょう。労働条件や仕事内容、与えられるミッション、役職ポジションなどが明確に示されているはずです。役職ポジションによって求められるスキルレベルが異なるため、職種だけでなく、ポジションが自分のスキルに合致しているかどうかなども確認すべきポイントです。

入社後は、その契約内容に基づいて実績を評価されます。やるべきことが明確に定められているのは外資系企業の特徴です。入社前にしっかりと内容を読んで理解しておくことが、入社後のミスマッチ防止になると思います。

──次回は、「マーケターとしてのスキルアップを考えたときに転職すべきか、しないべきか」について解説します。
 
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【キャリアコンサルタント】
荒川直哉
株式会社マスメディアン
キャリアコンサルティング部 部長
国家資格キャリアコンサルタント
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。年間600名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社のマーケティング・クリエイティブ部門や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。「転職を検討している人材」と「採用企業」の両方の動向を把握しているエキスパート。転職者の親身になるがモットー。
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