かわいい社員にはキャンプをさせよ!? 気づきをもたらすキャンプの魅力とは スノーピークビジネスソリューションズ 代表取締役 村瀬亮さん
名古屋からアジア圏へ進出し、グローバル企業のデジタルコミュニケーションの課題解決を目指すアクアリング。同社の代表取締役社長の茂森仙直(しげもりせんなお)さんが、同じく名古屋で一歩先の未来を見据えて活動している方にインタビューをして、名古屋の行く末について探る連載。
第5回目は、愛知県岡崎市に本社を構えるスノーピークビジネスソリューションズ代表の村瀬亮(むらせりょう)さん。元々、ITを活用した企業活性化の提案とチームビルディングをサポートする総合コンサルタント会社ハーティスシステムアンドコンサルティング(以下、ハーティス)を経営していた村瀬さんですが、2016年にアウトドア用品などを手掛け、自然指向のライフスタイルを提案するSnow Peakと合弁で、スノーピークビジネスソリューションズを設立しました。
8月にアクアリングの代表取締役に就任した茂森さんは、会社をどのように経営していくかトライ&エラーの真っ最中。経営者の先輩であり、チームビルディングのコンサルタントでもある村瀬さんの考えをお聞きしてきました。
第5回目は、愛知県岡崎市に本社を構えるスノーピークビジネスソリューションズ代表の村瀬亮(むらせりょう)さん。元々、ITを活用した企業活性化の提案とチームビルディングをサポートする総合コンサルタント会社ハーティスシステムアンドコンサルティング(以下、ハーティス)を経営していた村瀬さんですが、2016年にアウトドア用品などを手掛け、自然指向のライフスタイルを提案するSnow Peakと合弁で、スノーピークビジネスソリューションズを設立しました。
8月にアクアリングの代表取締役に就任した茂森さんは、会社をどのように経営していくかトライ&エラーの真っ最中。経営者の先輩であり、チームビルディングのコンサルタントでもある村瀬さんの考えをお聞きしてきました。
茂森:私ごとですが、8月に代表取締役に就任して、改めてインターナルコミュニケーションなどを考えるようになりました。そこで、“グレートカンパニーアワード”受賞者である村瀬さんにいろいろとご相談できればと思い、今回伺いました。いままでの貴社の取り組みを拝見させていただいたのですが、僕がやりたいことをすべて実践していらっしゃって、称賛と嫉妬を同時に感じています(笑)。どうすれば良い組織になっていくのか、ぜひご助言いただきたいです。
村瀬:結論からお話すると、良い組織に必要不可欠なものは良好な人間関係だと私は考えています。そして、良好な人間関係を構築するために効果的なものを追求して、さまざまな取り組みをしてきました。その行き着いた先が、「遊びの要素もあり学びの要素もあるキャンプ」です。 茂森:必要不可欠なものが「良好な人間関係」というのはとても納得できます。人間関係は仕事のパフォーマンスに対しても大いに影響を与えると僕も思っています。しかし、なぜキャンプが良好な人間関係を構築するのでしょうか?
村瀬:キャンプは気づきを与えてくれるからです。ここでいう“気づき”とは、対ヒトと対仕事の2つの気づきです。
茂森:気づきですか…もう少し具体的にお話いただけますか。
村瀬:まず、キャンプは自然に回帰することができます。日本の会社は、効率化を重視した簡素なオフィスのなかでパソコンに向かうだけの仕事が多いのが現実ですよね。そうなると必然的に視野も思考も狭まってしまうと私は思っています。そこで、キャンプに出かけ、自然に身を置き、自然と触れ合うことで、いままで狭まっていた視野が広がります。五感を健全にすることにより、インプットの質を上げることができます。そうすると、いままで気づけなかったことに気づくことができるようになります。
茂森:窮屈なオフィスを抜け出して、大自然に身を置くことによって感度が高まるということですね。例えば、いままで気づかなかった社員の思いやりに気づくとか。作業環境を変えるためにカフェなどのオフィス外で仕事をすることに似ていますが、ただ外に出て仕事をするのとは違うわけですよね。キャンプに意味があるということでしょうか?
村瀬:そうです。キャンプ経験者はわかると思いますが、キャンプにはさまざまな協力プレイが存在します。テントの設営や炊事の火起こしといったイベントを通じて、先回りして動ける人、そうではない人、意外なことが得意だったりする人など、オフィスでは気づくことができない同僚の本質的な個性を感じ取れます。その部分に気づくことこそが大切で、その気づきから良好な人間関係が生まれると私は思っています。
茂森:本当の姿といいますか、オフィスでは見ることができない社員の本質を、キャンプのアクティビティを通じて気づくことができる。キャンプは気づきのスイッチを入れるシステムということですね。
村瀬:そうですね。そして私たちは気づきを“アウェアネス”と呼んでいますが、アウェアネスは土台が一度できてしまえば、対ヒトから対仕事へと、気づきをシフトチェンジすることもできます。そうすると、いままで思ってもみなかったような仕事のアイデアが生まれることもあります。
茂森:そして、そのキャンプから得られる一連のアウェアネスをパッケージ化して、事業にしてしまったのがスノーピークビジネスソリューションズということですね。冷静に考えると、社内イベントに留まらないで事業化してしまったのがすごいですね。 村瀬:このアウェアネスを突き詰めていくと、なんのために人間は生まれてきたのか、会社とは社会とは一体なにか、といった哲学的あるいは宗教的な話になってしまいます。しかし、真理を追求するだけでは世の中は変えられないと思ったので、自分の事業として考えを公にして賛同者を募ることで社会に影響を与えていきたいと思ったんです。
茂森:そういった経緯があったのですね。ちなみに、ビジネスパートナーとしてスノーピーク社を選んだのはなぜでしょうか?
村瀬:良好な人間関係を構築するために一番有効なものがキャンプであると結論が出たので、名古屋に新しい働き方と新しい組織のあり方を示すショールームをつくろうと計画しました。自由な働き方の象徴として室内にテントなどのSnow Peak製のキャンプ用品を置いたのがきっかけです。それをスノーピークのキャンプイベント「Snow Peak Way」で、社長の山井にアピールしました。あわよくばSnow Peakのビジネスラインとして公認がもらえたら嬉しいなと。そうしたら予想以上に意気投合して、「一緒に会社をつくろう」という話になり、合弁会社をつくることになりました。
村瀬:そうですね。岡崎で起業をしたきっかけは、私が岡崎生まれ、岡崎育ちという理由だけです。けれども、今後も本社を移転したり、拠点を移したりするつもりはありません。逆にローカルシティで会社が成り立っていることのほうがインパクトがあると思います。事実、スノーピークの本社も新潟県三条市ですからね。
茂森:岡崎市は名古屋市から離れたいわゆる“ローカルエリア”だと思いますが、労働人口の減少や都心への人材流出など、さまざまな課題があると思います。なにか感じていることはありますか?
村瀬:地方出身者が仕事を求めてより大きな都市へ流出したまま戻ってこない理由はたくさんあると思っています。例えば“地方には仕事がない”とか。私はその考え自体が間違っていると言いたいです。仕事があるところに就職をしようとするから当惑するだけであって、自分に力をつけて仕事を生み出す力があれば、問題ありません。仕事とは本来あるかないかではなく、自分でつくるものなんですよ。この点を、岡崎という街から発信していくことが重要だと私は感じています。岡崎市は、日本全国に40箇所くらいある中核市の1つで、岡崎から発信することで他の中核市も元気になる。地方が元気になると日本全体が元気になる。だから、やる意義があるのです。それに、自分の地元が元気だと帰ってきたくなるはずです。そんな地方都市のロールモデルに岡崎をしていきたいですね。
茂森:岡崎市が全国の地方都市のロールモデルに…! 岡崎市が成功することで本格的な「地方の時代」が到来しそうですね。これからも岡崎で発信・発展を続けていくスノーピークビジネスソリューションズのご活躍を楽しみにしています!
村瀬:結論からお話すると、良い組織に必要不可欠なものは良好な人間関係だと私は考えています。そして、良好な人間関係を構築するために効果的なものを追求して、さまざまな取り組みをしてきました。その行き着いた先が、「遊びの要素もあり学びの要素もあるキャンプ」です。 茂森:必要不可欠なものが「良好な人間関係」というのはとても納得できます。人間関係は仕事のパフォーマンスに対しても大いに影響を与えると僕も思っています。しかし、なぜキャンプが良好な人間関係を構築するのでしょうか?
村瀬:キャンプは気づきを与えてくれるからです。ここでいう“気づき”とは、対ヒトと対仕事の2つの気づきです。
茂森:気づきですか…もう少し具体的にお話いただけますか。
村瀬:まず、キャンプは自然に回帰することができます。日本の会社は、効率化を重視した簡素なオフィスのなかでパソコンに向かうだけの仕事が多いのが現実ですよね。そうなると必然的に視野も思考も狭まってしまうと私は思っています。そこで、キャンプに出かけ、自然に身を置き、自然と触れ合うことで、いままで狭まっていた視野が広がります。五感を健全にすることにより、インプットの質を上げることができます。そうすると、いままで気づけなかったことに気づくことができるようになります。
茂森:窮屈なオフィスを抜け出して、大自然に身を置くことによって感度が高まるということですね。例えば、いままで気づかなかった社員の思いやりに気づくとか。作業環境を変えるためにカフェなどのオフィス外で仕事をすることに似ていますが、ただ外に出て仕事をするのとは違うわけですよね。キャンプに意味があるということでしょうか?
村瀬:そうです。キャンプ経験者はわかると思いますが、キャンプにはさまざまな協力プレイが存在します。テントの設営や炊事の火起こしといったイベントを通じて、先回りして動ける人、そうではない人、意外なことが得意だったりする人など、オフィスでは気づくことができない同僚の本質的な個性を感じ取れます。その部分に気づくことこそが大切で、その気づきから良好な人間関係が生まれると私は思っています。
茂森:本当の姿といいますか、オフィスでは見ることができない社員の本質を、キャンプのアクティビティを通じて気づくことができる。キャンプは気づきのスイッチを入れるシステムということですね。
村瀬:そうですね。そして私たちは気づきを“アウェアネス”と呼んでいますが、アウェアネスは土台が一度できてしまえば、対ヒトから対仕事へと、気づきをシフトチェンジすることもできます。そうすると、いままで思ってもみなかったような仕事のアイデアが生まれることもあります。
茂森:そして、そのキャンプから得られる一連のアウェアネスをパッケージ化して、事業にしてしまったのがスノーピークビジネスソリューションズということですね。冷静に考えると、社内イベントに留まらないで事業化してしまったのがすごいですね。 村瀬:このアウェアネスを突き詰めていくと、なんのために人間は生まれてきたのか、会社とは社会とは一体なにか、といった哲学的あるいは宗教的な話になってしまいます。しかし、真理を追求するだけでは世の中は変えられないと思ったので、自分の事業として考えを公にして賛同者を募ることで社会に影響を与えていきたいと思ったんです。
茂森:そういった経緯があったのですね。ちなみに、ビジネスパートナーとしてスノーピーク社を選んだのはなぜでしょうか?
村瀬:良好な人間関係を構築するために一番有効なものがキャンプであると結論が出たので、名古屋に新しい働き方と新しい組織のあり方を示すショールームをつくろうと計画しました。自由な働き方の象徴として室内にテントなどのSnow Peak製のキャンプ用品を置いたのがきっかけです。それをスノーピークのキャンプイベント「Snow Peak Way」で、社長の山井にアピールしました。あわよくばSnow Peakのビジネスラインとして公認がもらえたら嬉しいなと。そうしたら予想以上に意気投合して、「一緒に会社をつくろう」という話になり、合弁会社をつくることになりました。
岡崎を地方都市のロールモデルに
茂森:今回の連載は「東海エリアの未来」を探る特集です。最後になりますが、村瀬さんの考える東海エリアの未来についてお伺いできればと思います。ハーティス時代から本社は愛知県岡崎市でお変わりがないようですが、これからも岡崎市で続けていかれるのでしょうか?村瀬:そうですね。岡崎で起業をしたきっかけは、私が岡崎生まれ、岡崎育ちという理由だけです。けれども、今後も本社を移転したり、拠点を移したりするつもりはありません。逆にローカルシティで会社が成り立っていることのほうがインパクトがあると思います。事実、スノーピークの本社も新潟県三条市ですからね。
茂森:岡崎市は名古屋市から離れたいわゆる“ローカルエリア”だと思いますが、労働人口の減少や都心への人材流出など、さまざまな課題があると思います。なにか感じていることはありますか?
村瀬:地方出身者が仕事を求めてより大きな都市へ流出したまま戻ってこない理由はたくさんあると思っています。例えば“地方には仕事がない”とか。私はその考え自体が間違っていると言いたいです。仕事があるところに就職をしようとするから当惑するだけであって、自分に力をつけて仕事を生み出す力があれば、問題ありません。仕事とは本来あるかないかではなく、自分でつくるものなんですよ。この点を、岡崎という街から発信していくことが重要だと私は感じています。岡崎市は、日本全国に40箇所くらいある中核市の1つで、岡崎から発信することで他の中核市も元気になる。地方が元気になると日本全体が元気になる。だから、やる意義があるのです。それに、自分の地元が元気だと帰ってきたくなるはずです。そんな地方都市のロールモデルに岡崎をしていきたいですね。
茂森:岡崎市が全国の地方都市のロールモデルに…! 岡崎市が成功することで本格的な「地方の時代」が到来しそうですね。これからも岡崎で発信・発展を続けていくスノーピークビジネスソリューションズのご活躍を楽しみにしています!