これから先の「良い企業」とは。平成生まれのCOOが見つめる未来 イチナナキログラム 取締役COO/COO 代表取締役CEO 秋山洋晃さん
前回、「スタートアップ企業」と「COO」の関係について、イチナナキログラムCOOの秋山洋晃(あきやまひろあき)さんにお話いただきました。今回は、よりマクロな視点で、これからの「企業」と「個人」の関係についてお話を伺いました。メンバー全員が平成生まれのイチナナキログラム。彼らをマネジメントする秋山さんと一緒に、未来の働き方を考えます。
──2020年は変化の時代と呼ばれていますが、秋山さんは、この先の未来がどのように変化していくと妄想していますか?
より「個」の時代になっていくと思いますね。インターネットが持つ本質は、「情報の透明化」です。これにより事業において「中抜き」をすることが難しくなっていく。企業と企業や、企業と消費者を仲介するようなビジネスは不要になっていくのではないかと思います。
また、情報の透明化によって、転職することがより当たり前になっていきます。たくさんの選択肢を見つけることができるから、一番の自分にとって好条件の職場も簡単に見つけられるようになっていく。また同時に優秀な個人であれば、SNSなどを通じて個人の看板で仕事が取れるため、企業に所属する以上に金銭を稼ぐことが可能な時代となっています。
だから、優秀な個人があえて企業に属する理由を、企業がつくれるのかがとても重要になってくると思っています。個人で活動した方が稼げるにも関わらず、あえて企業に所属する理由。これから企業は、この理由を個人に提示できるようにならなければいけないと思います。 ──イチナナキログラムが「副業の推奨」や「フルリモート・フルフレックス」という事業形態をとっているのは、その「あえて企業に所属する理由」を提供しているから、というわけなのでしょうか?
それも一つの理由ですね。あとは「自分で起業しても成功できるくらい優秀な人に入社してほしいから」という理由もあります。
起業したら自分が社長になるわけで、働き方は周りからとやかく言われないですよね? 当社もフルリモート・フルフレックスという形態のため、自分のペースで働くことができます。また給与も年功序列ではなく、結果を出した人が報われる設計となっています。つまり、イチナナキログラムが提供しているのは、「責任と自由」のワンセットというわけです。とてもシンプルな仕組みですよね。でも、優秀な個人が企業に所属して結果を出してもらったら、企業は確実にその人に払う給与以上の利益を稼ぐことができるわけです。だからこそ、その人にしっかりと金銭とそれ以外の面で、個人に利益を還元できなければいけない。そうでない企業は、この先優秀な人が集まりにくくなるのではないかと考えています。
──金銭面とそれ以外の面での利益の還元が大切というわけですね。個人と企業が対等な関係となる時代に変化していると。
対等というよりも、個人が企業を利用できる関係と言った方が正しいですね。うちの社員には、イチナナキログラムという箱を存分に利用してほしいと思っています。
例えば、無名な個人が0からブランドを立ち上げる場合と、「イチナナキログラム」という企業のブランドネームを使ってブランドを立ち上げる場合では、認知度の初速に差が生じます。だからうちに所属する社員であれば、「イチナナキログラム」の名前を使って得た実績を、個人の実績として、次のキャリアにつなげていくことができる。それを当社も推奨しています。これもまた、イチナナキログラムという企業が個人に提供できるメリットの一つです。このような理念を持っているのも、個人が企業に属する時代から、個人が企業を利用する時代への変化を感じているためです。 ──いままで企業が取ってきた施策の型にとらわれない、新しい発想ですね。メンバーの平均年齢が25歳のイチナナキログラムらしさが出ていると思います。
メンバー全員が平成生まれですからね。同じ世代の人たちしか集まらないからこそ、同じ価値観を共有できているのかもしれません。
そしてこれから先は、僕らよりも若い人が会社に入社していく。そのことを考えると、本人の希望を無視して仕事を押し付ける企業には、いくら給与が高くても、本当に優秀な人材は入社しないと思います。人気がある仕事も、労働という感覚がない「遊びに近い仕事」にシフトしていくと思います。
イチナナキログラムでも、儲かるけど、誰かが楽しいと思わない仕事はお受けしないようにしています。短期の経済的メリットよりも、優秀な人たちがあえて来てくれる理由を担保したいと考えていますから。
──良い企業の定義も時代とともに変化していくというわけですよね。では一方で企業を利用していく、個人は一体どのような心構えを持つべきだと思いますか?
能動的に情報を取得することの重要性が、2020年以降はより加速していくはずです。 例えば、就活一つとっても、優良ベンチャーの幹部候補の求人は、大手求人サイトではなく経営者や投資家のTwitterの方が見つけやすいです。本当に良いものは、一般に情報が出回る前に口コミで誰かの手に渡ってしまうのです。
つまり、僕が言いたいのは「踊らされるな」ということです。目の前の情報は、「誰」が「どのような目的」で発信しているのかを見極める力が重要になってきます。能動的に動きつつも、相手の意図を理解した上で情報を取得する。そうやって、本質を見抜く目を養っていくことがとても大切になると思います。
例えば、会社情報であれば、従業員数や累計資金調達額を見るよりも、損益計算書(PL)と賃借対照表(BS)を見ることの方がよっぽど重要です。またGoogleやTwitterなどからレコメンドされた情報であっても、それがすべてとは限りません。アルゴリズムが発達して、個人に最適化されたコンテンツが提供されてはいますが、「最適化=すべてを知れる」ことではありませんからね。アルゴリズムの外側に立って、意識的に情報収集していくことが、「個」が強くなる時代での処世術の一つになると、僕は思います。 ──働き方改革も進み、これからはさらに予測不能な混沌の時代に進んでいくと思います。だからこそ、事実をしっかりと見極める能動的行動が必要になる。これから「個人」と「企業」の関係性も目を離さずに追いかけていきたいと思います。お話いただきありがとうございました!
より「個」の時代になっていくと思いますね。インターネットが持つ本質は、「情報の透明化」です。これにより事業において「中抜き」をすることが難しくなっていく。企業と企業や、企業と消費者を仲介するようなビジネスは不要になっていくのではないかと思います。
また、情報の透明化によって、転職することがより当たり前になっていきます。たくさんの選択肢を見つけることができるから、一番の自分にとって好条件の職場も簡単に見つけられるようになっていく。また同時に優秀な個人であれば、SNSなどを通じて個人の看板で仕事が取れるため、企業に所属する以上に金銭を稼ぐことが可能な時代となっています。
だから、優秀な個人があえて企業に属する理由を、企業がつくれるのかがとても重要になってくると思っています。個人で活動した方が稼げるにも関わらず、あえて企業に所属する理由。これから企業は、この理由を個人に提示できるようにならなければいけないと思います。 ──イチナナキログラムが「副業の推奨」や「フルリモート・フルフレックス」という事業形態をとっているのは、その「あえて企業に所属する理由」を提供しているから、というわけなのでしょうか?
それも一つの理由ですね。あとは「自分で起業しても成功できるくらい優秀な人に入社してほしいから」という理由もあります。
起業したら自分が社長になるわけで、働き方は周りからとやかく言われないですよね? 当社もフルリモート・フルフレックスという形態のため、自分のペースで働くことができます。また給与も年功序列ではなく、結果を出した人が報われる設計となっています。つまり、イチナナキログラムが提供しているのは、「責任と自由」のワンセットというわけです。とてもシンプルな仕組みですよね。でも、優秀な個人が企業に所属して結果を出してもらったら、企業は確実にその人に払う給与以上の利益を稼ぐことができるわけです。だからこそ、その人にしっかりと金銭とそれ以外の面で、個人に利益を還元できなければいけない。そうでない企業は、この先優秀な人が集まりにくくなるのではないかと考えています。
──金銭面とそれ以外の面での利益の還元が大切というわけですね。個人と企業が対等な関係となる時代に変化していると。
対等というよりも、個人が企業を利用できる関係と言った方が正しいですね。うちの社員には、イチナナキログラムという箱を存分に利用してほしいと思っています。
例えば、無名な個人が0からブランドを立ち上げる場合と、「イチナナキログラム」という企業のブランドネームを使ってブランドを立ち上げる場合では、認知度の初速に差が生じます。だからうちに所属する社員であれば、「イチナナキログラム」の名前を使って得た実績を、個人の実績として、次のキャリアにつなげていくことができる。それを当社も推奨しています。これもまた、イチナナキログラムという企業が個人に提供できるメリットの一つです。このような理念を持っているのも、個人が企業に属する時代から、個人が企業を利用する時代への変化を感じているためです。 ──いままで企業が取ってきた施策の型にとらわれない、新しい発想ですね。メンバーの平均年齢が25歳のイチナナキログラムらしさが出ていると思います。
メンバー全員が平成生まれですからね。同じ世代の人たちしか集まらないからこそ、同じ価値観を共有できているのかもしれません。
そしてこれから先は、僕らよりも若い人が会社に入社していく。そのことを考えると、本人の希望を無視して仕事を押し付ける企業には、いくら給与が高くても、本当に優秀な人材は入社しないと思います。人気がある仕事も、労働という感覚がない「遊びに近い仕事」にシフトしていくと思います。
イチナナキログラムでも、儲かるけど、誰かが楽しいと思わない仕事はお受けしないようにしています。短期の経済的メリットよりも、優秀な人たちがあえて来てくれる理由を担保したいと考えていますから。
──良い企業の定義も時代とともに変化していくというわけですよね。では一方で企業を利用していく、個人は一体どのような心構えを持つべきだと思いますか?
能動的に情報を取得することの重要性が、2020年以降はより加速していくはずです。 例えば、就活一つとっても、優良ベンチャーの幹部候補の求人は、大手求人サイトではなく経営者や投資家のTwitterの方が見つけやすいです。本当に良いものは、一般に情報が出回る前に口コミで誰かの手に渡ってしまうのです。
つまり、僕が言いたいのは「踊らされるな」ということです。目の前の情報は、「誰」が「どのような目的」で発信しているのかを見極める力が重要になってきます。能動的に動きつつも、相手の意図を理解した上で情報を取得する。そうやって、本質を見抜く目を養っていくことがとても大切になると思います。
例えば、会社情報であれば、従業員数や累計資金調達額を見るよりも、損益計算書(PL)と賃借対照表(BS)を見ることの方がよっぽど重要です。またGoogleやTwitterなどからレコメンドされた情報であっても、それがすべてとは限りません。アルゴリズムが発達して、個人に最適化されたコンテンツが提供されてはいますが、「最適化=すべてを知れる」ことではありませんからね。アルゴリズムの外側に立って、意識的に情報収集していくことが、「個」が強くなる時代での処世術の一つになると、僕は思います。 ──働き方改革も進み、これからはさらに予測不能な混沌の時代に進んでいくと思います。だからこそ、事実をしっかりと見極める能動的行動が必要になる。これから「個人」と「企業」の関係性も目を離さずに追いかけていきたいと思います。お話いただきありがとうございました!