踊らされるのではなく、自ら踊るには #クリエイターの生存戦略 アーティスト 後藤映則さん
Yahoo! JAPANのデザイナーを退職し、現在はフリーランスのメディアアーティストとして活動する市原えつこさんが、さまざまな分野のクリエイターや専門家に話を伺い、クリエイターの生存戦略のヒントとノウハウを探す本連載。第一線で活躍するクリエイター達がどのようにキャリア構築をしてきたのか、今後はどのように歩を進めようとしているのか、対談形式でインタビューしていきます。
第2回は、代表作である「toki-」シリーズが世界中で注目を浴び、国内外で高く評価されているメディアアーティストの後藤映則(ごとうあきのり)さん。アーティストとして海外の主要なフェスティバルに引っ張りだこなも後藤さんですが、空間プロデュース企業にてデザイナーとして勤務されていた経歴も。いかにして現在の立ち位置を築いていったのか、キャリア戦略、そして海外で活動するための実践的なノウハウを伺っていきます(マスメディアン編集部)。
第2回は、代表作である「toki-」シリーズが世界中で注目を浴び、国内外で高く評価されているメディアアーティストの後藤映則(ごとうあきのり)さん。アーティストとして海外の主要なフェスティバルに引っ張りだこなも後藤さんですが、空間プロデュース企業にてデザイナーとして勤務されていた経歴も。いかにして現在の立ち位置を築いていったのか、キャリア戦略、そして海外で活動するための実践的なノウハウを伺っていきます(マスメディアン編集部)。
ハンデを補うべく、テクノロジーを強みに独自の立ち位置を確立
市原えつこさん(以下、市原):後藤さんは現在アーティストとして大活躍されていらっしゃいますが、元々私は後藤さんに対して「浮世離れせずちゃんとお仕事をされている方」というイメージを持っていました。会社員としての後藤さんと一緒に仕事をした私の友達からもすごく評判が良くて。今のような空間とテクノロジーを駆使した作品を制作するまで、一体どういったキャリアを辿ってこられたのでしょうか?後藤映則さん(以下、後藤):大学生の頃に就職活動で広告会社を志望していました。そのクリエイティブ選考を受けた際に「君は空間デザインが向いているんじゃない?」と試験官に言われまして。それで空間系の会社を受けたら本当に受かったんです。でも、大学の専攻は視覚伝達デザインで、建築学科卒ではないから空間の勉強を一切やっていないし、そもそも図面の書き方すらわからない。しっかり専門的に建築やインテリアの勉強をしていた同期たちに比べ、入社当初から空間デザインに関してかなりハンデがありました。だからこそ、図面を書くのではなくCGをやろうと早々に思いました。 市原:現在もアーティストとしての制作にバリバリ活用されているCGは、その時に身に着けたんですね。
後藤:ある意味そうかもしれませんね。ハンデを補うためにCGを駆使してビジュアル勝負をしようと。僕はもともとテクノロジーを使ったものが好きで。大学生の頃に岩井俊雄さん(編集部注:1990年代後半以降、国内外の多くの美術展にて観客が参加できるインタラクティブな作品を発表し注目を集めてきたメディアアーティスト)の影響でメディアアートというジャンルを知り独学で勉強し、人に反応してインタラクティブに動く作品などをつくり始めたんです。所属企業は空間設計や演出が主軸なためテクノロジーや映像コンテンツは入社当時あまり注目されていなかったのですが、そういった専門部署もあったので異動願いを出しました。どちらかというとマイノリティな部署でしたね。
市原:苦手な分野ではなく得意な分野に活路を見出そうとしたんですね。でも、結果的には珍しがられて重宝されそうですね。
後藤:なぜか、王道に入ると王道じゃない方向に行きたくなるんですよね。あまのじゃくなのかもしれない(笑)。組織の中では当たり前な王道からはなぜか外れてしまう。そういった紆余曲折を経て、「映像とテクノロジーに特化した人」だという認識がだんだんと社内で根付いていきました。
組織の看板ではなく自分の力で勝負しなければ。危機感からスタートした作品制作
市原:今までお話されたようなバックグラウンドがありつつ、後藤さんはここ数年でメディアアーティストとしてメキメキと台頭されてきた印象があります。会社組織の一員としてしっかりお勤めされていた状態から、個人でアーティストとして独り最前線に立つ。どういった心境や環境の変化があったのですか?後藤:社会人になって一発目で担当した仕事が誰でも知っているような有名メーカーの案件だったんです。僕も昔から好きだった企業で、大変でしたけど、いきなりすごい案件に関われた、という感動がありました。
でも、ポンポンと大きい仕事は来るけど、これはあくまで会社に来ている仕事であって、自分の実力じゃないなと新卒2年目に気付いたんです。たまたまそこに僕がアサインされただけで、自分に来ている仕事ではない。豪華なクライアントワークができて恵まれている反面、このままじゃマズいという危機感があって、ちゃんと自分で勝負していけるような人間にならないといけないと思ったんです。その結果、なぜかある時期からひとり結婚式余興ムービー制作会社状態になって(笑)。友達の結婚式ムービーを合計20本ぐらいつくってました。全部タダで。
市原:それは……フリーランスがやったらアカンやつですね。干上がってしまうやつ……。 後藤:断りにくいこともあって(笑)。普通におめでたい気持ちもあったから頑張ってつくってきたら、どんどん上達してクオリティが上がって。ある時、コマ撮りでウェディング動画を作成することに挑戦したんです。かなり泥臭い作業だったし、撮影と編集で4徹ぐらいしましたね……。めちゃくちゃ大変でしたが、実際に上映したら新郎新婦がものすごく喜んでくれて。その映像をYouTubeにアップしたら、ネットで予想以上に広がっていったんです。その後、テレビや雑誌、新聞で次々と取り上げられました。一番嬉しかったのは、それがひとつのフォーマットになったことでした。僕の手法を色んな人が真似してつくり始めたんです。いまではYouTubeを見ると、同じ手法でつくられた動画が100本ぐらい出てきます。 市原:狙っていなかったにも関わらず、プラットフォーム化していったのですね。それは非常にメディアアート的な気がします。
後藤:それがすごく嬉しかったんですよね。メイキング動画を見ると美大や芸術系とはまったく違うようなギャルっぽい子がコマ撮りの素材を頑張ってつくっていたり、中学生が「あの手法で文化祭のオープニング映像を全校生徒でつくりました」と動画と一緒にメールをくれたり。さらにはこの手法を商売としてやる人も出てきたんです。それを見て「これは商売になるんだ!」と気付いて、結婚式余興ムービーを制作する会社を起業しようかと一瞬考えたのですが、あんまりピンと来ないし、なんか違うなと……(笑)。
なにがピンと来なかったかというと、要は、それまで人のために使っていた力を、一回ちゃんと自分に向けようと思ったんです。仕事もクライアントありきが多かったですし。でも、ちゃんとピュアに自分がつくりたい、見たいものをつくろうと思い、作品制作に本腰を入れ始めて、今に至ります。もともと作家活動は大学を卒業しても続けていましたが。
市原:個人として数多くの海外出展やメディア出演などをされていましたが、会社の中ではどのように個人活動と折り合いをつけていたのでしょうか?
後藤:折り合いについては、ひたすら頑張るしかないですよね(笑)。会社の仕事と作家活動は完全に別に考えていました。でも、会社員だからって遠慮していることもなかったです。最近は変わってきましたが、日本では作品をつくっている人でも会社に勤めていたら、本業は「会社員」と囚われがちな雰囲気を感じていました。でも海外の作家と話すと「私はアーティストです。Googleにも勤めているけどね」みたいな返答がざらにある。要は別にフルタイムの仕事を持っていようが、自分なりに命をかけて作品をつくっていたらその人は既にアーティストだと思ってからは価値観が変わって、あまり気にしなくなりました。
市原:いい話や……。海外に出ると無意識の思い込みから抜け出せたりしますよね。最近すごく思います。意外と思い込みや偏見が多かったんだなって気付いて。
後藤:ただ、アーティストとして海外に設営に行っても、現地で会社の仕事はしていました。展示設営した後にホテルに帰って、時差を利用して会社の仕事をリモートでこなしていました。ディレクション業務であればなんとかできるもので、海外からでもやりやすい時代になったと思います。気合と体力は必要ですが……。
海外展示のメリットと、言語の壁を超えるためのノウハウは?
市原:後藤さんは海外での展示も非常に多く経験されていますよね。今年のアルスエレクトロニカ(編集部注:オーストリア・リンツ市で毎年例年開催される世界的なメディアアートの祭典。後藤さん・市原さん2名とも別部門で栄誉賞を受賞)でもご一緒させていただき、海外熟練者である後藤さんがいて本当に助かりました。私がたいして英語を話すことができなかったので、急遽ドイツのTV取材の通訳までしていただき……本当に神様だと思ってます。後藤:いえいえ、面白かったです(笑)。ああいうのもいいですよね、国内だとそんなに作家同士で接点がなくても、海外に行くと密なコミュニケーションが生まれる。サバイバル状態で、お互い本当に助け合わなきゃいけない環境になるのは、海外ならではという感じがします。
市原:そんな海外熟練者の後藤さんに聞きたいのですが、海外の活動ならではの利点や得られるものはどこでしょうか? これまで何カ国ぐらい展示されたのでしょうか?
後藤:アーティストとして渡航したのはヨーロッパ圏が多いですね。イギリス、オランダ、オーストリア、スペイン、ドイツ、フランス、あとはSXSWで展示をしたアメリカあたり。
市原:私は、2018年に初めて海外で展示をしました。やっぱり海外はチャンスが大量にあって、いろいろと大漁に釣れる気がしました。新たに広がる人脈や機会が多いと感じました。
後藤:日本で展示すると、訪れる方はやはりまだ日本人が多いですもんね。海外だと本当に世界中からやってきます。特にヨーロッパだと地理的にも他の国や文化圏が近いから電車で他の国から来やすい。対して、日本は島国なので物理的に難しい。オーストリアであれだけアルスエレクトロニカが成功しているのは、いろんな国から来やすい地理的条件もあると思います。集結したそれぞれの国にまた違った文化とアートフェスがあるし。日本一個分にあたるアートシーンが何個もあるわけだから、チャンスが広がると思います。
市原:予算規模はどうでしょう。海外の方が大きいケースが多いでしょうか?
後藤:いやー、どうなんだろう……。意外とそうでもないですよ。渡航費がどうしてもかさむので。まあ、渡航・滞在費や輸送費などを考慮しても総合的には海外の方が高かったかもしれません。
予算よりも、反応がダイレクトに感じ取れることが海外の良さだと思います。「なんでこのモチーフなの?」「なんでこれを思いついたの?」とか一歩踏み込んだ質問が多くて、作家や作品に対して興味と熱意と愛がある人が多かったのが単純に嬉しい。そういった面で、日本にはない生きやすさを感じましたね。
あとはアーティストへの叱咤激励があったのも嬉しい。アルスエレクトロニカの海外巡回展でパーティーがあったのですが、長テーブルにアーティストとジャーナリストを交互に配置して、要は自分でジャーナリストにプレゼンして記事を書いてもらうような場をセッティングするわけです。全部お膳立てするのではなく、「私たちはここまで用意した。あとはお前ら頑張れよ」という場をつくってくれるのが、アーティストのことを本当に考えてくれているなと感じました。アーティストが社会で食べていくには世界的にもまだまだ厳しそうなので、「自分で努力しないとダメだ」というのを暗に伝えているのだと思います。
市原:逆に大変な部分も死ぬほどあると思いますが、どこでしょうか?
後藤:大変なのは言葉ですね。メールとか本当にやばいです。アルスエレクトロニカでコミッションワーク(編集部注:委託制作)をした時に、最初の「Hi」から最後の「Bye」まで数えたら、なんと272通ありました。
市原:そんなにあるんですか……!展示でのやり取りだと合計でせいぜい50通ぐらいでしたが。できあがったものをドーンと展示するのとはまた違うフローなのでしょうか。 後藤:コミッションワークなので、お題が向こうからきて「それに対してお前は何を考えているのか?」という問いに自分なりの答えを提示して、制作プランを調整して、先方とゼロからすり合わせてつくる必要があるから。そのやり取りをする際の、言葉が非常に面倒でした。一応帰国子女でアメリカに6年いたのですが、授業中は常に意識が宇宙に抜けてしまうタイプだったので、全然覚えていなくて……。
だから結局言葉だけではなくCGでつくった図で説明しています。つくたいイメージを文章で伝えるのは無理だと悟りました。図面とパースをつくって、「ここは僕が用意する。ここはあなたが用意しといて」みたいな指示書もあわせて1枚つくれば、それで全部できちゃう。備品も齟齬があると大変だし、電気を使うから電源電圧についても気をつけなければならないし。そこは会社員時代の仕事の進め方が役に立っていると思います。
市原:私もそのあたりはかなりこわごわと進めていました。大して図面が書けないから、Illustratorを使って大雑把な俯瞰見取り図をつくりました。以前に明和電機さんの海外展示の指示書を見せていただいたことがあるのですが、本当にすごくて、展示セットすべての模型をつくりこんで、それを撮影して指示書にしていました。絶対にコミュニケーションミスが起きないように物品リストまで完璧に用意されていて。やはり図解・図面スキルは大事ですね……。
後藤:あと大変だったのは、文化の違い。テレビ出演をしたスペインは思い出深いですね。「日本語の通訳いるから何も心配しなくていい」と事前に案内があり安心して現地に行ったら、「いるわけないじゃん、何言ってんの?」みたいな感じで(笑)。しかも番組は生放送。日本みたいに段取りを踏まず、多少の粗には目をつぶって「イエーイ!!」という勢いで乗り切る感じがカルチャーショックでした。楽しかったけど、大変でした……。
市原:いまのところは海外で「なんだこの超適当なスタッフは」みたいなのには当たってないのですが、そういうケースもあるのですね。
後藤:でも基本的にアーティストをリスペクトしてくれて、最後はプロデューサーたちとハイタッチしながら成功を分かち合いました。
海外で作品を売却するには? 契約書カルチャーの理解とリスク管理
市原:だんだんと生臭い質問になってくるのですが……。後藤さんは海外の美術館や博物館への作品の売却や収蔵を経験されていますが、それにあたり気をつけるべきことはなんでしょうか? 展示して返送される出展より高度な交渉が必要そうだなと。 後藤:やはり契約書ですね。イギリスの博物館に作品を売却したとき、分厚い英語の契約書がポーンとやってきて。「これを見てサインしてください」って言われたけど全然わかんないし、なんか難しいし、色々規約が書いてあり困りました。市原:だいたい展示直前のバタバタしている時にポーンと契約書がやってきますもんね……。Google翻訳を使いながら必死に読み解いた気がします。
後藤:しかも展示だと一時的なものだけど、売るとなると一生ものなので。「所有権は博物館が持つけど、著作権は作者に帰属する」とか書いてないと怖いじゃないですか。勝手に図面化して公開して、博物館独自のものをつくったりされたら困りますし。だからアーティストやクリエイターも最低限の法律を勉強したほうがいいと思います。特に海外に出るには。
市原:日本と法律の概念は違ったりしますか?
後藤:あまり勉強してないから詳しくはわからないけど、契約文化は強いので、ちゃんと意味を掴んでおいたほうが良いですね。僕はアート領域に強い弁護士さんに相談して、契約書をリーガルチェックしてもらい、書き直して提出しました。
あとは、売る相手と会うのも大事な気がします。担当者が信頼できるかどうか、本当に作品が好きなのかわかるから。以前作品を売ったドイツの博物館の人は、メールでもすごく熱心で、イギリスでの展示も観に来てくれて、そのあとオーストリアの展示までわざわざ会いに来てくれたんです。そのタイミングで現地でそのまま商談して契約しました。作品の取り扱い方法やなぜそんなに欲しいのかという理由を、とにかく質問しまくって。それに真摯に答えてくれて。そこまで熱心だったら嬉しいですよね。それで売りました。
市原:たしかに、会うと「なんか違うな」みたいなことが結構わかるかも。会わない限りは絶対に売らないのでしょうか?
後藤:難しい場合はせめてSkypeだけでもいいから顔を合わせるようにしています。
作品の軸と企業理念が交わる。グローバルブランドとのコラボレーション・タイアップ術
市原:コミッションワークについてのお話もありましたが、依頼されてつくる委託制作ならではのメリットは何だと感じますか?後藤:制作しているとつい自分の世界に入りがちですが、外の要素が入ってくることがメリットかもしれないです。アルスのコミッションワークのテーマが「AI」だったのですが、僕のこれまでの制作にはまったく意識していなかったテーマでした。けれども、AIから紐解いて、自分の作品がどうなるのかを考えて、アップデートできたのは面白かったですね。自分だけの世界観では思いつかなかったようなものが生まれるから。
市原:さまざまなブランドとコラボレーションをされていますが、後藤さんはブランドのストーリーと自分の作品を紐付けるストーリーテリングがうまいなという印象があります。ブランドと自分の作品をコラボレーションさせる際に、どういう考えで取り組んでいるのでしょうか?
後藤:ブランドとコラボレーションすることを意識してつくっているわけではありませんが、僕の場合は時間や動きをテーマにしたシリーズが代表作なので、時間にまつわる企業やブランドからの依頼が多いですね。例えば外資系の時計ブランドなど。
後藤:テーマを広げればいいのではないでしょうか? 僕の場合、どちらかといえば普遍的なものに興味があって、「時間」や「動き」を今は題材にしていますが、これらは解釈がものすごく幅広い。だから何か一緒にできると思ってもらえるのかもしれません。
市原:羨ましい! 「普遍的なもの」だからこそ、世界中に普及しているブランドと近しい部分もあるのかもしれないですね。普遍だからブランドも長年続いているし、普遍だから世界中に広がっている。私も自分の作品を分解して、どういう要素があり、どういう企業と結びつきやすいか、紐づけて考えてみようと思います。
最後に、今後やってみたいことをお伺いしたいです。私自身は商業やエンタメ分野にも進出しつつ、海外での活動や露出をさらに増やしていきたいと思っているのですが、後藤さんはいかがでしょうか?
後藤:巨大な作品をつくりたいという目標はありますね。あと、家の壁に小さく「踊る」という言葉を書いた紙を貼っていて。目標でもあり、自分への戒めでもあります。 市原:どういうことですか!?
後藤:「踊る」というのはもちろん比喩ですが。会社員時代も考えていたのですが、知らず知らずのうちに「こうしてほしい」という要望に応じて「楽しくないのに踊らされてる」ことが多いなと感じていました。「それじゃダメだ。踊らされるんじゃなくて、ちゃんと自分の踊りたいダンスを踊らないと」と思っていて。与えられた仕事というお立ち台やダンスホールで踊らされるんじゃなく、自分はこうだと相手側も見ながら上手くセッションすることを今後もやりたいです。
市原:なるほど……。その場の空気に飲まれてしまうこともありますもんね。
後藤:昔の僕はそういうのが多かったので。踊らされていると段々としんどくなるし、自分の本質とは違う気がする。「一度っきりの人生で、お前は何をつくるのか?」という問いに真摯に向き合ってからは、作品がつくりやすくなりました。
世の中には見たことのない踊り方をするやばい能力を持ったダンサー、つまりアーティストやデザイナー、プログラマーの方々がたくさんいるので、そういう人たちと一緒に踊りたいし、お互いに見せつけ合いたいです。そしてお互いに讃え合えるような関係が良いですね。これといった分野は明確に決めていないのですが、当面の目標は、ちゃんと「踊る」ですね。