Vol.23 広報担当者のあるべき姿 自社ならではのストーリーを商品に込め、発信する キャリアアップナビ
キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回は、スクウェア・エニックスの広報室長を務める野原和歌さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
──これまでのキャリアについて教えてください。
小学校の頃、父の仕事の関係で海外に住んでいたのですが、母国語の異なる友人と意思疎通が図れず悩んでいました。そこで思いついた解決方法が、大好きな絵を描くことによって、さまざまな国籍の人たちとノンバーバルなコミュニケーションを取ること。アートの世界に興味を持ったのはこの体験がきっかけです。
進学したロンドン大学院では、アートキュレーションを学びました。卒業後は現地でアートの支援者としての仕事に就くつもりでしたが、家庭の事情で帰国し、都内の美術館の立ち上げに携わりました。しかし、好きなアートの仕事をしているのに自分が事業の歯車にさえなれていないと感じ、転職を決めました。
次に入社したのは、ブライダル事業を手掛けるノバレーゼ。結婚式を創り上げることは、多くの専門家が関わるアートキュレーションの世界に近いと感じてのことでした。ここでは主にブランディング領域における広告・広報を担当。ブライダルのビジネスは、毎週のようにお客さまから愛情をお裾分けしてもらい、それをサービスとして還元できる、想像以上に素晴らしい世界でした。
しかし、若い世代へバトンタッチする必要性を感じたのと同時に、違う業界でチャレンジしたいと思い、2度目の転職活動を始めることに。
ノバレーゼでの経験が多岐にわたっていたため自分の専門領域が見いだせず、最初は思うように就職活動が進みませんでした。そこで自分のキャリア選択の軸は何なのかを見つめ直し、「その会社ならではの文化を発信できる日本企業」「多様な生活者と向き合える業界」で広報のキャリアを積みたいと心に決めたとき、出会ったのがカルビーです。広報課長として入社しました。
カルビーでのミッションは、広報課メンバーのマネジメント。企業広報では多くのメディアに取り上げられ、結果が出ていたので、当初は商品広報に注力しました。商品広報で実績を積み、事業部からの信頼が厚くなると、商品企画の段階からアイデアを求められるようになったのです。多くの方々の協力と広報視点を活かして進めたのが「47都道府県ポテトチップス」でした。この案件が功を奏したこともあり、経済広報センターの「企業広報大賞」を会社として受賞。企業と商品の魅力を融合し、社会との合意形成ができたとき、広報の価値が最大化されるのだと身をもって感じた経験でした。
広報の奥深さを実感し、より自身のスキルを高めたいと思っていたところ、スクウェア・エニックスからオファーがありました。グローバル広報やインターナルコミュニケーションの立ち上げが経験できること、幼い頃から大好きだったゲーム・ファンタジーの世界に携われることが入社の決め手でした。
スクウェア・エニックス・ホールディングス、スクウェア・エニックスの広報室長を兼務し、社外広報、インターナルコミュニケーション、ブランディングを統括しています。
これまでの経験を経て肝に銘じていることは、急がないことです。ベンチャー時代に培った「こうしたい!」という思いや突破力も重要ですが、勢いだけでは大きな組織を動かすことはできません。広報は、経営課題や社内の状況を理解して、きめ細やかな動きをする必要があります。そうして広報担当者と会社が信頼し合い、共感できる関係をじっくり育てていくことが、次世代に引き継げる組織文化や風土づくりにつながると考えています。
──広報担当者のあるべき姿とは何だと思いますか?
私は佐藤尚之さんが運営する「さとなおオープンラボ」に通っていたことがあります。そこで「自社と競合他社の商品の違いは?」と問われ、恥ずかしいことに即答できませんでした。答えを探るうちに、素材のつくり方や開発の仕方、どんな人が、どんな想いでつくったかなど“その会社にしかないストーリー”を発信していくことの大切さに気付きました。商品広報も企業広報も、その解を時代に合わせて見いだし、企業価値として社会に発信していくことが私たちの責務であり、広報の“あるべき姿”なのだと考えるようになりました。
今でも、広報室のメンバーには「うちの会社がうちの会社でありえる理由が伝わるように」といつも言っています。
また、社会からも社内からも共感を得ていくために、広報担当自身の熱量は非常に大切です。それを波及し、周りの温度を上げていくことで社内外にファンが生まれます。
──若手広報パーソンへのメッセージをお願いします。
社内外、国内外問わずさまざまなステークホルダーと向き合うことが求められている広報パーソンには、多様性を受け入れる力が必要だと思います。グローバルな視点で既存の枠組みを超え、さまざまな発信方法を見つけることで、あらゆる可能性にチャレンジしてほしいです。
小学校の頃、父の仕事の関係で海外に住んでいたのですが、母国語の異なる友人と意思疎通が図れず悩んでいました。そこで思いついた解決方法が、大好きな絵を描くことによって、さまざまな国籍の人たちとノンバーバルなコミュニケーションを取ること。アートの世界に興味を持ったのはこの体験がきっかけです。
進学したロンドン大学院では、アートキュレーションを学びました。卒業後は現地でアートの支援者としての仕事に就くつもりでしたが、家庭の事情で帰国し、都内の美術館の立ち上げに携わりました。しかし、好きなアートの仕事をしているのに自分が事業の歯車にさえなれていないと感じ、転職を決めました。
次に入社したのは、ブライダル事業を手掛けるノバレーゼ。結婚式を創り上げることは、多くの専門家が関わるアートキュレーションの世界に近いと感じてのことでした。ここでは主にブランディング領域における広告・広報を担当。ブライダルのビジネスは、毎週のようにお客さまから愛情をお裾分けしてもらい、それをサービスとして還元できる、想像以上に素晴らしい世界でした。
しかし、若い世代へバトンタッチする必要性を感じたのと同時に、違う業界でチャレンジしたいと思い、2度目の転職活動を始めることに。
ノバレーゼでの経験が多岐にわたっていたため自分の専門領域が見いだせず、最初は思うように就職活動が進みませんでした。そこで自分のキャリア選択の軸は何なのかを見つめ直し、「その会社ならではの文化を発信できる日本企業」「多様な生活者と向き合える業界」で広報のキャリアを積みたいと心に決めたとき、出会ったのがカルビーです。広報課長として入社しました。
カルビーでのミッションは、広報課メンバーのマネジメント。企業広報では多くのメディアに取り上げられ、結果が出ていたので、当初は商品広報に注力しました。商品広報で実績を積み、事業部からの信頼が厚くなると、商品企画の段階からアイデアを求められるようになったのです。多くの方々の協力と広報視点を活かして進めたのが「47都道府県ポテトチップス」でした。この案件が功を奏したこともあり、経済広報センターの「企業広報大賞」を会社として受賞。企業と商品の魅力を融合し、社会との合意形成ができたとき、広報の価値が最大化されるのだと身をもって感じた経験でした。
広報の奥深さを実感し、より自身のスキルを高めたいと思っていたところ、スクウェア・エニックスからオファーがありました。グローバル広報やインターナルコミュニケーションの立ち上げが経験できること、幼い頃から大好きだったゲーム・ファンタジーの世界に携われることが入社の決め手でした。
──スクウェア・エニックスではどのような役割を担っていますか。
スクウェア・エニックス・ホールディングス、スクウェア・エニックスの広報室長を兼務し、社外広報、インターナルコミュニケーション、ブランディングを統括しています。
これまでの経験を経て肝に銘じていることは、急がないことです。ベンチャー時代に培った「こうしたい!」という思いや突破力も重要ですが、勢いだけでは大きな組織を動かすことはできません。広報は、経営課題や社内の状況を理解して、きめ細やかな動きをする必要があります。そうして広報担当者と会社が信頼し合い、共感できる関係をじっくり育てていくことが、次世代に引き継げる組織文化や風土づくりにつながると考えています。
──広報担当者のあるべき姿とは何だと思いますか?
私は佐藤尚之さんが運営する「さとなおオープンラボ」に通っていたことがあります。そこで「自社と競合他社の商品の違いは?」と問われ、恥ずかしいことに即答できませんでした。答えを探るうちに、素材のつくり方や開発の仕方、どんな人が、どんな想いでつくったかなど“その会社にしかないストーリー”を発信していくことの大切さに気付きました。商品広報も企業広報も、その解を時代に合わせて見いだし、企業価値として社会に発信していくことが私たちの責務であり、広報の“あるべき姿”なのだと考えるようになりました。
今でも、広報室のメンバーには「うちの会社がうちの会社でありえる理由が伝わるように」といつも言っています。
また、社会からも社内からも共感を得ていくために、広報担当自身の熱量は非常に大切です。それを波及し、周りの温度を上げていくことで社内外にファンが生まれます。
──若手広報パーソンへのメッセージをお願いします。
社内外、国内外問わずさまざまなステークホルダーと向き合うことが求められている広報パーソンには、多様性を受け入れる力が必要だと思います。グローバルな視点で既存の枠組みを超え、さまざまな発信方法を見つけることで、あらゆる可能性にチャレンジしてほしいです。