──社会人のスタートは営業職だったそうですね。
新卒で入ったのはWeb制作会社でした。僕が入社したころは、リスティング広告の運用代行サービスに乗り出したタイミングで、入社翌日から飛び込みで営業を始めることになりました。

がむしゃらに営業の仕事を続けて6年。ふと外に目を向けると、スマートフォンが普及し始めたり、キュレーションメディアが出てきたりと、ユーザーが見るものが検索結果だけではなくなっていました。Twitterが盛り上がって、企業とユーザーが直接コミュニケーションを取れるようにもなり、世の中がものすごいスピードで変わっていくのを感じました。

そんな折、ご縁あって昭文社からお声がけをいただきました。出版業界は縮小傾向と言われていたものの、コンテンツホルダーでの仕事に興味が湧き、転職を決めました。

入社してしばらくはアプリ開発の手伝いをしていたのですが、その最中、昭文社の主力商品『ことりっぷ』がWeb展開を考えていると聞きました。そこで、Web上でファンコミュニティを立ち上げてはどうかと、企画書を上司に提出したのです。すると、社長の前でプレゼンできることになり、「いいね、じゃあ君がやって」と(笑)。まったくの未経験で、いきなりWebプロデューサーになってしまいました。新しくWebメディアやコミュニティ機能を中心にしたアプリの立ち上げを行い、メディアのマネタイズとして広告ビジネスの立ち上げも手がけました。
キリンホールディングス株式会社 コーポレートコミュニケーション部 平山高敏さん<br />
2005年、新卒でWeb制作会社に入社。昭文社の旅行ガイド『ことりっぷ』のWebプロデューサーを経て、2018年にキリンホールディングス入社。デジタルマーケティング部在籍時にnote公式アカウントを立ち上げ、2020年に現在のコーポレートコミュニケーション部に機能移管された。オウンドメディア「KIRINto」の運営、インハウスエディターの育成も担当する。
キリンホールディングス株式会社 コーポレートコミュニケーション部 平山高敏さん
2005年、新卒でWeb制作会社に入社。昭文社の旅行ガイド『ことりっぷ』のWebプロデューサーを経て、2018年にキリンホールディングス入社。デジタルマーケティング部在籍時にnote公式アカウントを立ち上げ、2020年に現在のコーポレートコミュニケーション部に機能移管された。オウンドメディア「KIRINto」の運営、インハウスエディターの育成も担当する。
──新事業を成功させたのになぜキリンへ移ることに?
Webメディアをローンチしてから3年が経ち、事業の立ち上げフェーズとしてはひと区切りの段階を迎えていました。そのため自分がやるべきことは一旦、終わったなという感覚になったからです。

そんなときに、キリンの求人情報をたまたま目にしました。「広告とパブリッシャーの両方の視点を持った自分がクライアント側に行ったら、また新しい自分になれるかもしれない」。そう考えるとワクワクしたんです。

──キリンでの仕事内容を教えてください。
当時、僕が配属されたデジタルマーケティング部は、WebサイトやSNSを使って、他部門の課題を解決する役割を担っていました。必然的に他部署の社員と話す機会が多くなったのですが、なかでもCSV(社会問題を解決しつつ利益を生むこと)の取り組みに興味を持ちました。同時にそれらの活動には、“社会の一員”としてのキリンという企業の人格や姿勢がにじみ出ているにもかかわらず、あまり世の中では知られていないのでもったいないと思いました。

でも、これまでの広告やプレスリリースでは、長尺のストーリーを語ることは難しい。僕がもったいないと感じた話の数々も、まさに従来型のコミュニケーション活動の隙間に落ちてしまっていたのです。そこを埋めるには、企業自身の言葉で綴るオウンドメディアが最適だと考えるようになりました。まずは小さく始めようと、Web制作のコストをかけずに開始できるnoteを活用することにしました。それを機に、社内から「noteで取り上げてほしい話がある」と持ち込まれることが増えていきました。そして2020年、「オウンドメディアは企業コミュニケーションの領域だ」とオウンドメディアごと広報部門に異動することになりました。

それからは、キリンへの好意形成をミッションとして、CSVを中心に人にフォーカスしたメディア展開の担当をしています。
──どこへ転職しても、やりたいことができる場をつくっているのですね。
転職組が陥りがちなのが、自分のスキルに固執してしまうこと。僕は過去に身に付けたスキルを活かしこそすれ、執着はしません。それよりも、会社に必要なのに、誰もやっていないことはなにか。そこに自分ができることを掛け合わせ、やるべきことを考えるようにしています。

いまの仕事には、Web制作会社で培った営業スキルも出版社で培ったメディア運営のスキルも活きていて、組み合わさって独自のスタイルになっています。スキルは仕事だけを通じて得たものではありません。昭文社に入社してすぐに僕がやったのは、NAVERまとめの個人アカウントをつくってWebで読まれる仕組みを学ぶこと。キリンに移ってからのnoteもそうです。実はもともと個人でアカウントをつくり、1万人近いフォロワーがいました。

そうやって独自のスキルの組み合わせを持つことができれば、会社のなかで“新しい席”をつくることができます。そうすると、その目新しさもあってか、不思議といろんな方が声をかけてくれます。そういう環境のなかにいれば、ヘルシーな仕事ができる。つまり、会社の取り組みを真っすぐに見て、面白いものは素直に面白がり、足りないと思ったところについては率直に対話できる。それが、やりたいことを実現するための、僕の働き方です。
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【聞き手】
荒川直哉
株式会社マスメディアン
取締役
国家資格キャリアコンサルタント
荒川直哉
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT 企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。
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キャリアアップナビ
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