PR業全体の売上高、コロナ禍の前回と比べて33.1%増加【PRSJ調べ】
日本パブリックリレーションズ協会は、「PR業実態調査」を実施し、5月23日に調査結果を公表した。同調査は、PR業各社の業務傾向などからPR業界の最新の潮流を探るとともに、PR業全体の売上規模を推計(※1)することを目的に隔年で実施しているもので、今回で通算9回目となる。
PR業全体の売上高(2022年度)は推計で約1479億円となり、前回調査(※2)の約1111億円を大きく上回る結果となった。前回から約368億円、約33ポイント伸びており、コロナ禍によるダメージから回復しPR市場が拡大傾向にあることを示している。コロナ禍以前の前々回調査(2019年実施)との比較では14.7%の伸びとなっている。
※1:回答が得られた各社の売上高合計を基に、PR業各社の従業員数(中央値)などを勘案してPR業全体の売上高を推計
※2:調査実施2021年、対象期2020年度
取り扱い上位項目では、パブリシティ業務やマスコミ対応業務などが中心的業務となっていることに変わりはないが、前回は上位に入らなかった動画制作が目立っている。
ニーズ増加項目では、SDGs/ESG、ダイバーシティ/インクルージョン、CSR/CSVなどの社会課題対応に関する業務や、コロナ後を見すえたリアルでの記者発表会やイベントなどに対するニーズの増加が今後見込まれている。
ただし、前回との比較でみるとPR手法の開発やサービスの多様化が前回よりも下がっているのに対して、質的向上や優良なアウトソーシング先の確保は増えており、業務の種類・量よりも質の向上をより重視していることがうかがえる。
前回との比較では、「売上拡大」が下がっているのに対して、社員のモチベーションや働き方、人材確保など、人的資産の充実を課題として重視していることがうかがえる。
調査方法:郵送法
回収率:24.7%
調査実施時期:2023年3月
調査実施機関:ハミングバード
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※1:回答が得られた各社の売上高合計を基に、PR業各社の従業員数(中央値)などを勘案してPR業全体の売上高を推計
※2:調査実施2021年、対象期2020年度
今後の見通し(売上・景況感)
- 58%が売上が増加傾向にあると回答、前回(49%)に比べて明るい見通し、との結果となった。
- 現在の景況感は19%(前回11%)が「よい」と回答。低いとはいえコロナ後の回復の兆しが見える。
- 今後の見通しは、「現在よりもよくなる」が47%で最多。「変わらない・横ばい」が32%、「現在より悪くなる」は7%で、景気の先行きについては楽観論が優勢となった。
取り扱い業務傾向
広報・PR業務の取り扱い上位項目(複数回答)
- パブリシティ企画実施(79%)
- 対面の記者発表会PRイベントの企画運営(74%)
- マスコミ対応(72%)
- リテナーでのPRコンサルティング業務(70%)
- モニタークリッピング作業(65%)
- オンラインでの記者発表会PRイベントの企画運営(65%)
- オウンドメディアやソーシャルメディアの企画運営(63%)
- 情報収集分析(61%)
- 動画の制作プロモーション(60%)
- 対面でのセミナーシンポジウムの企画運営(60%)
- 編集タイアップ広告(60%)
取り扱い上位項目では、パブリシティ業務やマスコミ対応業務などが中心的業務となっていることに変わりはないが、前回は上位に入らなかった動画制作が目立っている。
今後、ニーズが増える業務トップ10(複数回答)
- SDGs/ESG投資関連コミュニケーション業務(61%)
- オウンドメディアやソーシャルメディアの企画運営(58%)
- インフルエンサーを活用したコミュニケーション(56%)
- 動画の制作プロモーション(51%)
- ダイバーシティ/インクルージョン関連コミュニケーション業務(51%)
- CSR/CSV関連コミュニケーション業務(46%)
- グローバル広報(46%)
- インフルエンサー向けイベントの企画運営(42%)
- 広報PR効果測定業務(40%)
- パブリシティ企画実施(39%)
- マーケティングコンサルティング業務(39%)
- 情報収集分析(39%)
前回からの伸びの目立つ、ニーズが増える業務トップ10(複数回答、伸び率)
- ダイバーシティ/インクルージョン関連コミュニケーション業務(+21%)
- 一般消費者向けイベントの企画・運営(+20%)
- グローバル広報(+20%)
- 対面での記者発表会/PRイベントの企画・運営(+18%)
- 対面でのセミナー・シンポジウムの企画・運営(+17%)
- インフルエンサー向けイベントの企画・運営(+15%)
- 広報・PR効果測定業務(+13%)
- CSR/CSV関連コミュニケーション業務(+12%)
- マスコミ対応(+11%)
- リテナーでのPRコンサルティング業務(+11%)
ニーズ増加項目では、SDGs/ESG、ダイバーシティ/インクルージョン、CSR/CSVなどの社会課題対応に関する業務や、コロナ後を見すえたリアルでの記者発表会やイベントなどに対するニーズの増加が今後見込まれている。
広報・PR業務の重点課題
広報・PR業務を進めるうえで今後の重点課題は、「人材育成・確保」「新しい広報・PR手法の開発」「業務そのもの質的向上」が上位を占めている。- 人材育成・確保(72%)※前回70%
- 新しい広報・PR手法の開発(58%)※前回65%
- 業務そのものの質的向上(54%)※前回41%
- 優良な協力会社・外注先の確保(51%)※前回45%
- 広報・PR効果測定方法の開発(47%)※前回36%
- サービス内容の多様化(44%)※前回51%
ただし、前回との比較でみるとPR手法の開発やサービスの多様化が前回よりも下がっているのに対して、質的向上や優良なアウトソーシング先の確保は増えており、業務の種類・量よりも質の向上をより重視していることがうかがえる。
経営の重点課題
企業経営における重点課題については、「売上拡大」「社員のモチベーションアップ」「即戦力の中途採用者の確保」の順となっている。- 売上拡大(67%)※前回77%
- 社員のモチベーションアップ(65%)※前回57%
- 即戦力の中途採用者の確保(51%)※前回33%
- 働き方改革(51%)※前回45%
- 経営者の後継者育成(32%)※前回26%
- 新卒者の確保(19%)※前回4%
前回との比較では、「売上拡大」が下がっているのに対して、社員のモチベーションや働き方、人材確保など、人的資産の充実を課題として重視していることがうかがえる。
PR業実態調査の概要
調査対象:日本パブリックリレーションズ協会の会員企業206社および非会員企業25社、計231社調査方法:郵送法
回収率:24.7%
調査実施時期:2023年3月
調査実施機関:ハミングバード