データマーケティング支援のGlossom(グロッサム)は、6月21日、スマートフォンユーザーの情報収集動向を時系列に分析する「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査」の調査・分析結果を発表した。

同調査は、SNSやサーチエンジン、メディア、動画サービスの利用率や利用時間を性年代情報と掛け合わせることで、現状の動向やスマートフォンユーザーの意識の変化をとらえることを目的とし、2019年より実施している。今回は、全国の10代から70代の男女1594名に実施した。

この調査結果から、同社は、情報収集におけるスマートフォン利用時間の”頭打ち”が明確になったと言及した。コロナ禍による行動制限が解除されるなか、スマホ利用のための可処分時間の減少が確認されている。

総括

情報収集におけるスマートフォン利用時間の”頭打ち”が明確に
コロナ禍による行動制限が解除されるなか、スマホ利用のための可処分時間の減少が確認できる。SNSの利用時間は、15~19歳で大幅に減少しており、オンラインからリアルコミュニケーションへと、時間の使い方が最も大きく変化した年代だと想定されている。

「TikTok」は幅広い年代に支持され利用率を伸ばす
SNSの使われ方にも変化が起き始めており、友達の近況を知るツールではなく、より自分に合った有益な情報を得るためのツールへ変化してきている傾向が見られた。

「動画サブスク」と「ライブ配信」の利用に差が
可処分時間が限られる中で、ライブ配信のようなリアルタイムに視聴する必要のあるコンテンツは利用率・利用時間ともに減少していた。一方で、動画サブスクは上位サービスから新興勢力まで利用率が伸びている。今後は、サービス利用におけるタイムパフォーマンス(時間の効率性)がより重要視される可能性がある。

調査結果詳細

1.情報収集におけるスマートフォン利用状況
スマートフォンでの情報収集を、「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」の3分類に分け、経年で利用状況を見た。2022年の調査時点で、3分類合計の1日の平均利用時間は2021年から横ばいになり、"頭打ち"を迎えたと予想していた。2023年の調査では、2022年から2023年にかけて「136.4分」から「132.1分」と減少し、"頭打ち"である状況が明確となった。
2021年より前述の3分類「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」に、「動画サブスク」、「ライブ配信」を加えた5分類のサービス利用状況も調査しているが、5分類合計の1日の平均利用時間も2022年から2023年にかけて「190.3分」から「185.2分」と減少している。
「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」、「動画サブスク」、「ライブ配信」のそれぞれの利用状況においては、「ライブ配信」以外は2022年と比較し利用率が上昇している。スマートフォンでの情報収集に費やす総利用時間が減少するなか、サービス間での可処分時間の奪い合いが起きている可能性がある。同社は、それぞれのサービスはより高いタイムパフォーマンスを求められることになる可能性があると言及した。
2.SNSの利用状況
SNSの利用率は、2022年と比較し5.1ポイント上昇。2019年に近い水準まで回復した。
SNSの利用時間は、15~19歳で大幅に減少した。新型コロナウィルス感染症対策の緩和が進み、SNSでのコミュニケーションからリアルコミュニケーションへと、時間の使い方の変化が最も大きく現れた年代であると分析する。
「LINE」、「Instagram」、「YouTube(無料)」、「Twitter」、「TikTok」、「Facebook」の利用状況をみると、「TikTok」が利用率を伸ばし、2022年の13.2%から2023年は18.8%へと上昇した。「Instagram」も2022年の46.3%から2023年51.4%と5.1ポイント上昇している。
「Instagram」と「TikTok」の利用率を年代別・性別で比較すると「Instagram」は女性30代、50代、男性50代と比較的高い年代の利用率が伸びている。一方で、「TikTok」は男性40代を除くすべての性年代で伸びており、幅広い層に支持され始めていることがわかる。
SNSの使われ方にも変化が起きており、SNSでアカウントをフォローする理由として比較的高い「友人や知り合いのアカウント」のフォロー率は、2022年と比較して、「Facebook」、「Instagram」、「TikTok」、「Twitter」のいずれのサービスでも低下している。一方で「企業公式アカウント」や「インフルエンサーアカウント」のフォロー率は上がっており、友人や知り合いの近況を確認するツールとしてではなく、自分に合った有益な情報を得るためのツールとしての使われ方へと変わってきている可能性がある。
3.動画サブスクとライブ配信の利用状況
動画サブスクの利用率は、2022年に低下したものの2023年は55.0%と2021年水準に戻りました。一方でライブ配信は、2022年の29.0%から2023年の26.0%と3.0ポイント減少し、動画サブスクとライブ配信で明暗が分かれた。
ライブ配信は、男性20代、女性20代を除きすべての年代で利用率が低下している。可処分時間の取り合いのなかで、ライブ配信のようなリアルタイム性は不利に働いている可能性がある。タイムパフォーマンスを求める傾向の現れと分析された。
動画サブスクは、「Amazon Prime Video」「TVer(ティーバー)」「ABEMA(アベマ)」「NETFLIX(ネットフリックス)」など利用率上位のサービスがさらに利用率を伸ばした。また、「NHKオンデマンド/NHKプラス」「YouTube有料」も調査を開始した2020年以降大きく利用率を伸ばし、今後も伸びると見られる。

調査概要

調査対象:日本全国に在住のスマートフォンを所有する10代~70代の男女
回答者数:2023年調査1594名、2022年調査1540名、2021年調査1442名、2020年調査1442名、2019年調査2060名
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査時期:2023年調査:3月24日~3月27日
2022年調査:2022年5月25日~5月27日
2021年調査:2021年5月26日~5月28日
2020年調査:2020年6月11日~6月13日
2019年調査:2019年5月31日~6月3日
標本構成:男性806名、女性788名(10代から70代まで各110人前後)